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【提言】「差別と分断」を乗り越える生命科学的思考
島田 祥輔サイエンスライター
書籍の編集協力と、今回の記事を担当しました。
本文の最後にある「思考こそが人類にとって唯一の希望」という言葉は、本の企画が立ち上がった初期のころからあったキーワードです。どのように思考するかは人それぞれだと思いますが、生命科学的思考がヒントの一つになればと思います。思考は人類の特権のようなものですから。
AlphabetのDeepMind、AIベースのタンパク質構造予測で歴史的なマイルストーンを達成
島田 祥輔サイエンスライター
「遺伝子は生命の設計図」と言われますが、正確には「遺伝子はタンパク質の設計図」で、タンパク質が実際の生命活動を担っています(血液中で酸素を運ぶヘモグロビン、筋肉を動かすミオシンなど)。
最近の話題だと、新型コロナウイルスが細胞に感染するときには、細胞表面にあるタンパク質ACE2を認識します。これを認識する新型コロナウイルスの表面にも別のタンパク質Spikeがあります。つまり、タンパク質の構造がわかれば、どの構造の分子がタンパク質の機能を阻害するか、つまり薬の候補を探しやすくなります。
普通なら、実際にタンパク質を抽出して結晶化して計測して分析して……最高の計測機器だと数億円します。これくらいの性能の機器は、国内にも数台しかありません。
それが予測できるとしたら、本当に革命です。
4年くらい前にもAlphaFoldで話題になりましたが、今回のバージョンはさらに予測精度が飛躍的に上がったらしく、昨日の夜からタンパク質構造の研究者の間で話題になっています。まとめのページを載せます。
DeepMindのAlphaFold2、タンパク質立体構造予測コンペ(CASP14)でブッチギリ1位
https://togetter.com/li/1630461
2020年ノーベル物理学賞、欧米の3氏に ブラックホール研究
島田 祥輔サイエンスライター
Roger Penrose博士はブラックホール形成を理論的に示した論文を発表、そしてReinhard Genzel博士とAndrea Ghez博士は天の川中心の恒星の不自然な動きから「超巨大質量のブラックホールが存在しないとこの動きは説明できない」という論文を発表したことです。
ブラックホールといえば、去年初めて撮影成功したこともあるので、なかなかホットなテーマです。
ちなみにRoger Penrose博士は「ペンローズの階段」を考えたことでも有名。無限階段みたいなあれです。ペンローズの階段はエッシャーに大きな影響を与え、クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』にも出てくるので、芸術の分野にも貢献しているといえます。
米英独の3氏にノーベル物理学賞
島田 祥輔サイエンスライター
Roger Penrose博士はブラックホール形成を理論的に示した論文を発表、そしてReinhard Genzel博士とAndrea Ghez博士はブラックホールの周りを動く恒星の不自然な動きから「超巨大質量のブラックホールが存在しないとこの動きは説明できない」という論文を発表したことです。
ブラックホールといえば、去年初めて撮影成功したこともあるので、なかなかホットなテーマです。
ちなみにRoger Penrose博士は「ペンローズの階段」を考えたことでも有名。ペンローズの階段はエッシャーに大きな影響を与え、クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』にも出てくるので、芸術の分野にも貢献しているといえます。
米国人ら3人にノーベル賞 C型肝炎ウイルスを発見
島田 祥輔サイエンスライター
別記事でも書きましたら改めて。
今年の受賞テーマは「C型肝炎ウイルスの発見」です。日本だとミドリ十字社の薬害肝炎あたりが有名でしょうか。肝炎や肝硬変というとお酒の飲み過ぎのイメージがありますが、実際にはウイルス感染がとても多いです。
ざっとまとめると、
ハーベイ・オルター氏:輸血によって感染するB型肝炎以外にも肝炎を引き起こすウイルスがいることをチンパンジーの感染実験によって証明した
マイケル・ホートン氏:B型肝炎ではない肝炎患者の血液にある抗体を使い、肝炎に感染したチンパンジーの中に未知のウイルスがいることを見つけた(ここで初めてC型肝炎ウイルスを命名)
チャールズ・ライス氏:ウイルスが体内で増える仕組みを解明し、このウイルスが肝炎を引き起こす決定的な証拠となった
1970〜90年代にかけての研究で、特に抗体探しは地道な作業です。今はゲノム解析でスピードアップし、新型コロナウイルスは2か月くらいでゲノム解読や感染方法の特定、薬の候補探しが進んでいますが、手順としては当時とそこまで変わらないです。
こうした医学研究の成果は、突然のブレークスルーで生まれるとは限らず、ここに名の上がらなかった多くの方々の努力も含めて、地道に達成されるものがほとんどです。
ノーベル医学・生理学賞にアメリカなどの研究者3人
島田 祥輔サイエンスライター
今年の受賞テーマは「C型肝炎ウイルスの発見」です。日本だとミドリ十字社の薬害肝炎あたりが有名でしょうか。
ざっとまとめると、
ハーベイ・オルター氏:輸血によって感染するB型肝炎以外にも肝炎を引き起こすウイルスがいることをチンパンジーの感染実験によって証明した
マイケル・ホートン氏:B型肝炎ではない肝炎患者の血液にある抗体を使い、肝炎に感染したチンパンジーの中に未知のウイルスがいることを見つけた(ここで初めてC型肝炎ウイルスを命名)
チャールズ・ライス氏:ウイルスが体内で増える仕組みを解明し、このウイルスが肝炎を引き起こす決定的な証拠となった
1970〜90年代にかけての研究で、特に抗体探しは地道な作業です。今はゲノム解析でスピードアップし、新型コロナウイルスは2か月くらいでゲノム解読や感染方法の特定、薬の候補探しが進みますが、やり方としては当時とそこまで変わらないです。
イグ・ノーベル賞、ワニにヘリウムガス吸わせた日本人 ピンポンダッシュの外交官らが受賞
島田 祥輔サイエンスライター
ヘリウムガスを吸わせると声が変わるということは、ワニの声は打楽器のように叩いて出しているのではなく、弦楽器のように声帯を震わせて出していることを意味します。もしかしたら恐竜の正確な鳴き声を再現できるかもしれないということで、イグノーベル賞のコンセプト通り「笑い、そして考えさせられる」研究です。
鳴き声の違いの音声はここにあります。
https://www.asahi.com/articles/ASN9K4JTHN9GPLBJ003.html
あとは4年ぶりに風刺が出ました。平和賞は、インド・パキスタン両国外交官による夜間のピンポンダッシュの応酬。経営学賞は中国で起きた、プロの殺し屋に殺人委託をしたら5次請けまでいってどんどん報酬が下がり、結果誰も殺人を実行しなかったというもの。
「5次請け」の殺し屋、報酬安すぎで手抜きし事件発覚 中国
https://www.afpbb.com/articles/-/3251221
受賞した5人は服役中のため登場せず。
医学教育賞は「新型コロナウイルスのパンデミックを利用して、政治家は科学者・医師よりも人々の生死に影響を与えることを示したこと」。受賞者はトランプ、プーチン、イギリスのジョンソン、ベラルーシのルカシェンコなど9カ国首脳というそうそうたるものでしたが、こちらも登場しませんでした。ちなみにこの賞で日本は受賞しませんでした。

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