深江 園子

今のところの「こうだったらよかったのに」を妄想します。 笑えないイジりをした司会者に対して、セレブであり自立した人であり病気を公言して同病者を励ます彼女こそ、マイクを奪ってエレガントに笑み、強烈な皮肉で切り返す。 クリスは負けを認めて笑いも取り、客は喝采と爆笑。 ウィルスミスはそれを見て、ジョークと思って笑っちまったけど、君は本当に傷ついたんだよね、ごめん。とても立派だったよとでも言う。(あくまで妄想です) 実際には、弱きを守る古臭いヒーロー像を公然とやってみせたウィルスミスに大笑いしてしまった。(あのノーモーションはどこで身につけたんだ？) 理不尽な言葉には、よりユーモアのあるよりシニカルな言葉で刺す。殴る代わりに言葉で会場を沸かせることだって、才能豊かで百戦錬磨の彼ならできたはず。とても残念だ。 アカデミーがクリスを採用した失策の反省は必要だけど、ウィルを排除せず出禁のみにしたのは、なかなかの案だなと思う。これで三者が10年間、事あるごとにこの出来事に向き合うことになる。(日本なら剥奪and追放で火の粉を完全に避けるはず) もう一つ気になるのは、芸人の世間との関係。あちらのスタンダップコメディアンのジョークはどぎつい。コメディアンの捉え方が全く違うのか、どんな意見でも主張する権利があるんだと見せつける存在なのか。彼らは芸の中で社会の矛盾を皮肉り、弱者をイジり、それらに加担する自らを嘲笑う。人種問題やら政治やらジェンダーやら、もうハラハラです。で、ライブハウスみたいな店にそれを聴きに来て、おもろい、つまらんという客たちがいる。表向きクリーンな世間をガス抜きする場所。 無論、クリーン中のクリーン、表向きの最高峰であるアカデミー賞で、大物コメディアンが一方的に招待者を傷つけるなんて、あってはならない事だ。しかしこの経緯には、あの時あの場で感じることとのギャップがあるかもよ、となんとなくモヤモヤしたまま注目し続けています。

やってみた系の記事の中でも、みんなが知ってるけどぼんやりしか知らないところをやってくれてていい記事でした！

祖母のアザラシのコートが我が家のクローゼットの負の遺産。ものすごく暖かくて頑丈で、もう冬の災害時用にするしかない。これ、捨てるのは最も悪手なはずなのに見るたび憂鬱。ファーの遺産、みんなどうしているんだろうか。

インスパイアリングな回でした。 20世紀の東京には歩いて楽しい街並みがあり、雑誌でもストリート特集が人気企画でした。それは綺麗も汚いもあい混ぜながら、文学的で演繹的に辿るものでした。 21世紀の東京にはストリートが乏しいです。途切れ途切れに切り刻み、その埋め合わせに屋内の擬似ストリートが増えた。窓の中から鑑賞する建築もいいけど、もう、街並みに風を感じることは贅沢なのかな？ 街を考えるなら、空の下で人間臭さを感じて歩けるストリートこそがポエジーなら嬉しい。