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【基礎から理解】国会「予算委員会」で予算の話をしない理由
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
記事本文でご説明していますが、予算委がスキャンダル関連の質問が多く(今国会はさらに特殊ですが)、論戦が盛り上がるのは以下のような理由があります。
・専門的で膨大な予算案の内容に踏み込んでいられない。
・与党は調整・了承の上、閣議決定済みのものであり、また野党は、内容を修正できるとは思っていない。
・予算委はNHKで全国放映される。(他にも委員会はたくさんありますが、テレビ放映されるのは、予算委と本会議だけ。)
・一問一答形式なので、論戦ムードになりやすい。総理や閣僚の答弁に対して、質問者はさらにたたみかけることもでき、場が盛り上がる。
ちなみに、予算委は、質問者の周りに与野党の議員がずらっと座っているので、ビジュアル的にも、人間模様が垣間見えます。(画面に映っている人たちは、カメラを直視はしないけど、実は、自分が映っていることを十分意識していて、角度などを調整しながら、座っている人もいます。)
予算案や法律案を作成するのは各省庁であり、国会質疑は、内容への影響という点では、ある意味限定的・形式的ですが、予算や法律が、主権者たる全国民を代表する国会議員で組織される国会で審議され、その議決を経て成立した、という『オーソリティ』は、不可欠かつ唯一のものです。
野党の国会質疑が、批判のための批判に終わるのでは無く、実質的な意義あるものになるためには、政権交代があるかが大きいです。英米のように頻繁な政権交代が想定されていれば、野党が国会で政府の政策を批判し代替案を提案することは、自分たちが政権を担う際にどういう政権運営をするのか具体的に示すことを意味し、より責任感と緊張感が増します。
同様のことは、選挙公約等にも言えて、(一部野党は)「政権交代が起こらないと思っているからこそ、実現不可能な、耳に聞こえの良い政策ばかり並べたもの」ができてしまう、ということにもなります。
いずれにしても、自民党は、今の国民の政治不信に本気で向き合う必要があります。
【独自】自民・藤原青年局長ら辞任 女性ダンサーに口移しでチップ渡す 近畿の自民青年局の懇親会
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
うわぁ、と思う映像ではありますね。。
とりあえず、制度のご説明だけしますと、
党の青年局というのは、男女関係なく、若手の議員全員がメンバーで、党本部(国会議員)、都道府県連(県議)、市町村支部(市議・党員)に、それぞれ組織があります。国会議員青年局は、台湾を含む外交や地方へ出向いての活動などをしています。(私が所属していた頃は、東日本大震災の被災地にうかがったりしていました。)
今回の研修+懇親会は、自民党和歌山県連の青年局(若手の県議がメンバー)が主催して、藤原さんや中曽根さんは、招待された側だったということなのでしょう。(自分の選挙区のある都道府県ではなく、党青年局を代表して、地方を巡回しての訪問。)
であれば、「もてなされる側」が「もてなされる方法」について、その場で異を唱えられるか、というと、ちょっと難しかったかもしれませんね。。(まあ、そうであってもこれは・・・、なんですが。)
世の中の皆さん誤解していますが、(超重鎮は別として)国会議員が県議より上、なんてことは全く無く、やんわりと提案はあっても、強く言うことを聞いてもらえるものとは思っていません。
和歌山県の自民党県議団29名のうち、女性は1名だけで、年齢的に青年局のメンバーではなく、そうすると、おそらく、この懇親会会場には、女性議員がひとりもいなかったと推察されます。
意外かもしれませんが、通常、どの都道府県でも、自民党は、国会議員よりも市議よりも、県議が、一番女性の割合が低いと思います。「なぜそうなのか」そして「その状況ではどういう価値観が支配的であるか」を考えれば、こういうびっくり仰天なことが起こり得るのかもしれません。そういう意味では、根の深い問題です。
腕時計シェア「トケマッチ」元代表に逮捕状 ドバイ逃亡か 横領容疑
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
事業開始の頃は分かりませんが、昨年12月の段階での「キャンペーンで駆け込みの時計集め」は、明らかに「売り飛ばして逃亡」を計画してのことでしょう。
「自分の物を他人に貸して貸料を取る」ビジネスモデルは、物によってリスクの違いが大きいと思います。
・不動産は持ち逃げできません(居座られるリスクはありますが、そうした場合について法律が細かく決めています。)
・自動車は持ち逃げは可能ですが、売買が容易ではないですし、レンタカーというビジネスモデルとして確立しています。
・(賃貸物件に設置されている)家電は、無いと借りた本人が困るし、そこまで高額ではありません。
一方で、「高価な時計や宝飾品」は、持ち運びが容易で、売買も容易(高価な時計はシリアルナンバーで足は付くわけですが、売買行為自体は容易ですね。)で、需要が高い、しかも、価格が非常に高い、といった点から、賃貸やシェアリングするには、所有者のリスクが高すぎます。しかも、売り先が善意の第三者であると認定された場合には、基本的に、取り返せません。
SDGs等の観点からも、シェアリングエコノミーの拡大は大切だと思いますが、リスクの大きさに応じた注意(貸主も社会も)が必要だと思います。
スーパーチューズデー 共和党トランプ氏 15州中14州で勝利確実
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
前回大統領選で、バイデン大統領に票を投じた人々は、トランプ政権のハチャメチャを収拾するために、ベテランのバイデン氏に1期を託した(その後はハリス副大統領等に引き継ぐ)と考えた人が結構いたのではないかと思いますが、ハリス副大統領の不人気、民主党の若手有力候補は今回ではなく次の大統領選を狙う、などの状況で、どう考えても高齢のバイデン大統領がもう1期に挑戦、という状況になりました。
米国経済の状況は良好とはいうものの、その恩恵は富裕層に集中していることもあり、自身の生活に満足していない国民も多く、移民問題への反発、ガザ・イスラエルやウクライナへの介入よりも国内に目を向けろ、という声も大きく、民主党支持者でも、トランプ氏に投票する、あるいは投票に行かない、という話を結構聞きます。バイデン政権の種々の政策は、決して悪くないと思いますが、ガザやウクライナといった国際政治状況が、現政権に大きくマイナスに作用しています。
本選まであと8か月あるので、どうなるかはまだ分からない、とはいうものの、日本も「なんでトランプ氏が人気なんだ」「トランプ大統領になったらどうしよう、困る」ではなく、「なったらどうするか」を考えておかなければなりません。
トランプ氏が、NATO脱退すらほのめかしている状況を考えれば(なおバイデン政権は、昨年12月に、NATO脱退に米国議会の関与を必要とする条項を盛り込んでいます。)、我が国は、防衛費や在日米軍駐留費の負担増、といったことに留まらず、そもそも、我が国有事の際に、米国が助けてくれるのか?という、そもそもの、そして、より深刻なことまで心配して、対策を練らないといけないのではないでしょうか。
在米日本大使館のテイラー・スウィフト異例声明、ザワザワする外交官たち
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
「テイラー・スウィフト氏がスーパーボウルに間に合うか」は、米国民にとって、スウィフト氏、そしてスーパーボウルの両方が、そもそも極めて大きな関心事項であることを踏まえれば、今回の「在米」日本大使館の対応は、「情報としての必要性・有用性」や茶目っ気といった観点からも、大変ポジティブなものだと思いました。各国外交の発信のスタンダードにかんがみても、違和感は無いです。(「他のアーティストはどうするんだ」なんて、ナンセンスなこと、誰も言わないと思います。)
在京の各国大使や大使館も、様々なウィットとユーモア溢れる発信をしています。日本の外務省・在外公館は固すぎると思いますので、むしろ、もっとどんどん、やっていただいた方がいいと思います。
余談ですが、仕事上の必要性を感じ(「米国大統領選に影響を与えるシンガー」について知りたい)、東京ドームのスウィフト氏のコンサートを(直前に追加席を公式販売していたので、自分で手配して自腹で)行きました。
アジア圏の各国から本当に多くの方がコンサートに来ていたこと(欧米の方は、現在日本に住んでいる方が多いと思いますが、アジア圏は旅行で来ている方が多そうでした。)、また、エンターテイメントのいろんな意味での力の大きさなどを、感じました。(が、私は人生と心の闇を包むようなレディー・ガガが好きです。)
30年ぶり肥満症の新薬販売 ウゴービ、食欲抑制作用
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
ウゴービの「適応外使用」には、下記のような問題があります
・深刻な副作用の可能性
・国の救済制度の対象にならない
・真に必要とする患者に薬が届かない
・医師法違反の疑い 等
ウゴービの処方対象は、「肥満症」と診断され、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを有し、食事・運動療法で効果が得られない人で、肥満度を示すBMIが35以上か、27以上で運動機能障害等がある人に限られており、「肥満症」でない方が、減量目的で使用するものではありません
GLP-1受容体作動薬の副作用として、低血糖症状(頭痛、めまい、吐き気、動悸、視覚異常等)や急性膵炎、下痢,便秘,腹痛等があります。ウゴービの副作用の発現割合は、68.0%(1.7mg) 54.3%(2.4mg)となっています。
さらに、適応外使用の場合には、これまでに知られていない、思わぬ副作用につながる可能性も否定できません
糖尿病や肥満症の治療の一環として処方された場合は、副作用含め、医師による総合的・継続的なフォローが行われますが、ダイエット目的のオンライン処方では、対応を断られるケースも報告されています
医薬品の副作用により、入院等が必要な重篤な健康被害が生じた場合に,医療費や年金などを給付する公的制度として「医薬品副作用被害救済制度」がありますが、救済対象はあくまでも、医薬品を適正に使用した場合に限られ、適応外使用の場合には、基本的に救済給付を受けられません
以前から、GLP-1受容体作動薬の需要の高まりに生産が追いつかず、昨年3月から一部が出荷停止や限定出荷となり、医療現場では供給不足の状況が続いています。糖尿病患者が、血糖値のコントロールが悪くなると、生死にかかわる合併症などが憂慮されます
在庫ひっ迫を受け、国は、①医療機関及び薬局に適正使用を求め、②卸売販売業者には、ダイエット目的で処方することが明らかな医療機関には納入しないよう、依頼しています(2023年11月9日厚労省通知)。
診察や処方は医師(+歯科医師)しかできませんが、一部のオンラインクリニックでは、処方権限の無い看護師や、相手が誰だか不明、あるいはチャットの問診のみで、GLP-1受容体作動薬を処方されるケースが確認されています。医師以外が医行為を行うことは、医師法違反(3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金)のおそれがあります
衆院政倫審は28、29両日開催で大筋合意 自民と立民 5人は「非公開開催」の意向
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
政倫審は、国会議員に、政治的道義的に責任があると認められるかどうかを審査する国会の委員会で、ロッキード事件を受けて1985年に国会法124条の3に基づき設けられました。与野党の国会議員が委員となります。
政倫審を開催することにより、与党としては「政倫審でちゃんと説明をしたことで責任を果たした」、野党としては「政倫審に引っ張り出すという手柄を立てた」ということで、『両者の顔が立つ形』ということかと。
政倫審には、国会の証人喚問(憲法第62条に基づき、国会の衆議院・参議院が、議案等の審査及びその他国政に関する調査のため、証人を喚問し、その証言を要求する)における偽証の罰則(議院証言法6条1項、3月以上10年以下の懲役)のようなものはありません。
政倫審で、これまで記者会見などで説明されている話以上のことが出てくるとは考えられず、国民の高まる政治不信が払拭されるものにはならないと見込まれます。
「中学受験と海外留学」両立時代の最先端教育
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
海外のボーディングスクールは保護者に相当な資金力がないと無理ですので、決して一般向けではないですよね。(そういう層だけを対象にしている番組ということでしたら、失礼しました。)
ある意味、我が国でこれまで広く開かれていたグローバル教育のルートである、日本の大学を卒業してから、研究機関や職場が、組織への将来的貢献への投資として、費用を負担する形で、海外の大学院へ留学する日本人が著しく減少していることにこそ、強い危惧を覚えます。
日本の中高一貫校等から直接海外の大学に行くルートも、出てきてはいますが、数は多くありません。
そういう意味で、日本の教育が、総じて見ると、グローバル化からはほど遠い状況にあること(理由はいろいろあると思いますが、字数が足りないのでまた別の機会に)、そしてまた、教育格差の問題も、引き続き重要な論点と思います。
ちなみに、わたくしは、「中学校に入ってからアルファベットから学ぶ『典型的な日本の英語教育』(←もちろん、これはこれで問題大)」しか受けておらず、海外旅行に行ったのは大学生になってから初めて、というような状況にいましたが、社会人になって後、米国の大学院で学び、外交官としての仕事もちゃんとできましたので、「早い時期からそういう環境にいないから無理」なんてことは、決してありませんので、どなたも諦めないでくださいね。
そして、世界のどこで、あるいは、何語で、学び、働き、生きるかにかかわらず、その人に「中身」があることが最も重要であり、まずはそこの学びが基本であることは、古今東西、変わらないであろうと思います。
転職「1年から2年」働けば可能に 民間業者の転職仲介認めず 「技能実習制度」に代わる新制度の政府案 関係閣僚会議で了承
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
母国での研修や渡航費などを、すべて受け入れ企業が負担することで成り立っていたのだと思いますが、そこはどうするのでしょうか。
立地と職種で、受け入れ企業は明暗が分かれるだろうと思います。
ちなみに、どことは言いませんが、悪質な監理団体(日本側で受け入れ支援などの仲介を行う法令上の団体。なるのは簡単。)がたくさんあり、まさに、これが技能実習制度の闇の根幹のひとつだよな、と思っていました。受け入れ企業から高額のお金だけ取って、約束した現地での研修を全くやっていなかったとか、ありました。まさに無法地帯。
厚労省に話したら、「書類上ちゃんとやっていることになっていれば、監理団体は日本にあって日本の管轄でも、現地での研修の状況などについては(内政干渉になるため)現地まで行って調べることができない。」って。
・・・こんなんだったら、この制度は、早晩ダメになるだろうな、と思っていました。
なお、間に入るそうした監理団体に驚愕しながら、私は首都圏の病院と介護施設で、留学生と技能実習生を、母国で面接するところから、ずっとサポートしてきましたが、皆、日本と職場が大好きで、介護福祉士の資格を取得した方もいます。ゆくゆくは母国で介護施設を作りたいと頑張っています。毎年、ディズニーリゾートに行きます。
おそらく人種差別的なことも含め、ひどい扱いをする業態の受け入れ企業もあるのだと思います。日本を選んで来てくださったすべての方に、日本に来てよかったと心から思ってもらえるように、と切に願います。本人のためにも、日本のためにも。
きれいごとでなく。
小澤征爾さん死去 88歳「世界のオザワ」の訃報に国内外で追悼
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
ボストン交響楽団の音楽監督をお務めのとき、私ども留学生など現地の日本人が、楽屋にご挨拶にうかがうと、いつも気さくにお話しくださいました。今思えば、普通、巨匠はなさらないことで、それがまさに小澤さんらしさであったのだと思います。
異国の地で、人種的な差別やいろいろにしんどい思いを、それぞれにかみしめながら励む日本人皆にとって、小澤征爾氏は、大きな誇りでありましたし、もっとずっと昔から、そうした高い壁を乗り越え、ご活躍されていたことは、どれだけの才能と努力とお人柄故であったろうかと、感嘆していました。
いつまでも輝く大きな星のごとき存在です。合掌。
国家公務員のマイナ保険証利用率低迷 4・36% 武見敬三厚労相「低すぎる」
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
マイナ保険証の利用率は、国民全体で4.33%、国家公務員は4.36%ということで、記事は「率先して使うべき人たちが・・」という内容ですね。
(ちなみに、厚生労働省の本省では8.39%ですが、地方の労働局などを合わせると4.88%となっています。厚労省では、庁舎への入館証とマイナンバーカードを一体化したために、「大事なものをプライベートで持ち歩けないから、受診の際も持って行かない」という声がありました(笑))。
日本全体として、「医療機関も患者も、マイナカードを保険証として使えるようにはしているが、実際に保険証として使っている人が少ない」という状況があります。
人口に対するマイナカードの申請率は79.1%で、そのうち、保険証としての利用登録をしている率は73.8%ですので、上記を単純計算すると、人口に対するマイナ保険証登録率は、58.4%となります。(2024年1月)https://www.digital.go.jp/resources/govdashboard/mynumber_penetration_rate#guidance2
そして、マイナ保険証に対応済みの医療機関は、2023年9月時点で86%でした。
使わない理由は様々で、紙の保険証が使えるからそのままにしている、メリットが分からないので積極的には使っていない、医療情報の取扱いに不安がある、機械が使いこなせない、医療機関の側も積極的に使用を促さない、等々、複合的なものだと思います。
また、マイナ保険証の利用率は、年齢区分が高くなるにつれて上がってきて、65~69歳が最も利用率が高く(約7%)、そこから、ガクッと下がります。デジタルが苦手な高齢者層が、最も医療機関の受診率が高い方々でもありますので、そこへのアプローチも重要ということになります。https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001193993.pdf
なんであれ、新たな大きなシステムを導入する際には、紆余曲折があると思いますが、本年12月に、紙の保険証は原則廃止、となりますので、そこで一定の進展があると予想されます。
(本稿は、現状の進捗状況などのデータと背景を考える趣旨であり、マイナカードやマイナ保険証それ自体の是非について、論ずるものではありません。)
京アニ放火、25日判決 青葉被告の責任能力は―死刑求刑・京都地裁
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
本件については、精神鑑定も判断が分かれていますが、裁判での被告の発言からは、計画性や、善悪を判断する弁識能力、行動をコントロールする制御能力等が認められ、したがって、「完全な心神喪失で刑事責任能力無し」とはならないように思われますが、どうでしょうか。
「心神喪失者の行為は罰しない」ということの法律論はもちろん理解しますが、どの事件でもそうですが、ご遺族にとって、そうした結論は、到底納得できるものではないでしょう。
改めて、被害者の方々のご無念、ご遺族の深いお悲しみを思います。
2001年の池田小事件をきっかけとして、心神喪失者等医療観察法が制定され、「継続的かつ適切な医療・観察・指導を行うことによって、病状の改善、同様の行為の再発の防止を図る」ことになりましたが、再犯リスクが高いとされる人格障害の場合は責任能力が認められることが多いため、本制度の対象にはならないといった問題も指摘されます。
社会全体で、引き続き考えていかねばならないことがたくさんあると思います。
首相、岸田派解散へ 批判回避、安倍派にも解散論
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
総理としては「国民の政治不信に対して、派閥の解散が必要。であれば、他派閥に先がけて」ということだと思いますが、これを受けて、他派閥がどう対応するか(根回し無しの突然の方針表明だったようですが)、そしてなにより、仮に「派閥を解散する」として、具体的に何が変わるのか、がポイントです。
まずひとつ単純に目に見えて分かるのは、派閥のパーティーがなくなる→派閥としてのカネ集めをやめる→所属議員への氷代・餅代などの配布がなくなる、ということで、求心力・結束力は低下します。
ただ、「ポスト、すなわち、候補者の公認や閣僚の登用に、一切『客観的で公正な基準』が無い」という日本政治のブラックボックス、そして、「議院内閣制で、(党員及び)党所属議員によって選ばれた与党のトップが国の総理になる」という仕組みで、『権力闘争』をその本質とする政治の世界においては、“派閥的なるもの”は、完全には無くならないだろうと思います。
平和的な意味では、仲間作り、若手育成、勉強・政策作りといった観点でも、存続するのではないでしょうか。(現在も「無派閥」と分類される、そういったグループが存在します。)
なお、少し論点変わりますが、「派閥からの年に数十万~数百万円の氷代・餅代」がなくなっても、①痛くもかゆくもない世襲・富裕層の議員と、②それが痛手になる一般家庭出身の議員の「政治における経済格差」の問題があり、日本ではますます「お金持ちしか議員になれない」流れでしょうか。
政治を経験した身としては、今の日本政治では、永田町でも地元でも、当たり前のようにかなりのお金が必要、お金に価値が置かれてしまっている、そうでないと生き抜いていけない、という根本のところを、なんとかしないといけないだろうと思います。(「選挙にお金がかかる」といった単純な話ではないのですが、そこはまた別の機会に。)
また、当然ながら、派閥を解散さえすれば、国民の信頼回復、とはいかず、「政治資金の流れの透明化」、それを具体的・制度的にどう担保するのか、法改正も含めた見通しの提示が必要です。
【一挙公開】プロピッカーが選ぶ「読んでよかったビジネス書」10
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
典型的な「ビジネス書」ではないかもしれない&あまり手軽な感じではなく恐縮なのですが、ピケティ氏の新著「資本とイデオロギー」を挙げさせていただきました。
私は、政治の現場にいたとき、折に触れ、一般の方に対して「国民は決して『お客様』ではなく、一人ひとりが、この国や地域のことを考え、より良い未来を共に作っていく同志だと思います。」と呼びかけていました。本当にそう思っていました。批判や要求だけではなく、どうか共に考えましょう、と。
国の未来は、決して一部の為政者が決めるものではなく、国民一人ひとりが「考える」ことにより、形作られていくのだと思います。そのためには、現状をできるだけ正確に理解し、分析し、判断することが求められ、そのベースとなるものを増やし、豊かにしていくこと、その泉に水を注いでくれるもののひとつが「読書」なのだと、思います。
上記書評に書いた通り、ピケティ氏の主張には賛同できかねるところもあり、また、どんな論点にも様々な説があるわけですが、必ずしも、どれが”正解”かということが大切なのではなく、自らの泉を増やし、人生を、仕事を、組織を、国等を、少しでもより良きものに、としていくことが、さらなる力や希望になっていくのではないかと思います。
・・・と、前向きなことを申し上げつつ、年明け早々起こったとてつもない不条理に、愕然とします。
能登半島地震、羽田空港事故――新たな年が明けたばかりの今、多大な苦しみ悲しみの只中にある方々に、深く思いを馳せ、亡くなられた方々のご冥福を祈り、行方不明の方々のご無事と救出を願います。寒さや物資の不足に苦しむ方々のご不便が一刻も早く改善されますように。
【超簡単】今から間に合う、「自民パー券問題」何がダメ?
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
本件についてTVでのわたくしの発言が、改竄・捏造されたネットニュースが、バズっておりますので、Newspicks同志の皆様に、ご説明したいと思います
該当部分の発言は以下です
・候補者になって、地元有力者から「応援してもらいたかったら、金持ってこい」と言われたが断った。だから、いじめはやまなかった
・ただこれはあくまでも、私が「金銭を要求されたが断った経験があった」という話で、今般の不記載について、他の議員がこうしたことに使っていた、と言っているわけでは全くない
・広島新潟京都など、地元での金の話が出たが、ケースによっては、脅かされて泣く泣く渡していることもあるかもしれない
・同じ公募に落ちた地元有力者に恨まれるという構図も多い
・(また別の有力者から)駅の階段から突き落とされ、足を骨折し、三か月間、松葉杖で活動を続けた
・同じ派閥議員が、同じ団体や企業にパーティー券を依頼するので、団体・企業側は、優先順位を付けざる得ず、「先輩の分で手一杯で、若手の分は買えない」と断られることも多かった
これが一部メディアによって、全く違う話に改竄・捏造されて、広まりました。私が、
・「地元にお金を配った」
・「『不記載の金を、議員達は、地元の有権者買収に使っていた』と暴露した」
・「『団体や企業は、20万円以上の購入をしたのに、報告していなかった』と暴露した」
どう考えても、こうした解釈にはなり得ず、強い悪意を感じますが、「我が国の一部メディアは『真実が何であるか』ではなく、『自分たちが報道したいものだけを、報道したいように作って、報道する』」というのは、本当に残念なことと思います
さらに一点
「地元有力者に金を渡さないと、応援してもらえない」と言う話は、「有権者に投票してもらうために金を配る」という類の話ではなく、地元の首長や地方議員等が、意地悪をして「この候補者は応援しない」となると、その地域で実質的に活動ができなくなる、ひどい邪魔をされる、いわば「ヤクザのみかじめ料」のようなもののことで、生殺与奪の権を握られているという話です
それでも私は、お金を一切配らず、必死で地元を駆けずり回って、政策を作り、地域の悩み事を解決し、そうした姿を見て、支援者が増えていき、2回当選をしましたので、やれないことは無い、とは言えると思います
ありがとうございました
巨額裏金疑惑、自民に動揺 広がる疑心、口つぐむ幹部―安倍派パーティー券不記載
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
(本質的な議論とは別の話で恐縮ですが、一点、状況説明を致したく。)
ノルマ以上にパーティー券を売れるのは、重鎮、世襲、有力地元企業の一族などの議員だけで、一般家庭出身の若手は、ノルマ分をこなすことだけでも、ヒーヒー言っており、キックバックとか全く関係ありませんでした。
日頃お付き合いのあるいろんな職域団体等にお願いに言っても、「すでに先輩方の分で手一杯です」と断られたりします。
なので、親族や友人に購入をお願いしたり、自腹を切ったりもしていると思います。
「政治における経済(力)格差」は、とても大きいです。政治は、親ガチャ(しかも、それが最初から最後までずーーーーっと続く。)の最も顕著な分野ではないでしょうか。
米中首脳会談 軍同士の対話など再開で合意 バイデン大統領「最も建設的な会談」
豊田 真由子元厚労省官僚、元衆議院議員 元厚労省官僚、元衆議院議員
実際になににどのくらい進展があるか、今後要注目ですが、米中にしても、中東にしても、外交関係は、(当然ながら)状況によって、どんどん変遷する、ということですね。今回は関係改善の演出の面が強かったとしても、これまでの状況を考えれば、大きな意義があると思います。
ジュネーブでの外交官時代、「味方の敵は敵」「敵の敵は味方」が、ひとつの大事なセオリーと実感しましたが、そうはいっても、その敵味方関係が変遷するわけですから、日本も、(米国に依拠するだけでなく)自国としての責任ある判断と行動が重要ということになります。
(ただし、オーソリティや影響力がほとんど無い中で、自国の存在感を示すためだけのパフォーマンスで、紛争地に乗り込むようなことには、私は否定的です。なお、この場合のオーソリティは、国力軍事力調整力等に基づくもので、G7議長国といった、単なる持ち回りのポジションに存するものではありません。)
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