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【新常識】効果抜群。「男性育休」はカネで解決できた
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
まさに男性育児支援を専門的に活動している産婦人科医・産業医として、これらの企業の取り組みには非常に着目しています。(代表を務める一般社団法人Daddy Support教会では、行政や企業での実態調査や育児参画・育休取得支援を行っております)
しかし同時に、このような流れに抱いている危機感として、「育休取得」が【目的】になっていることがあります。
もちろん、育休取得率は上がるべきですし、取得期間も長くなるべきです。しかし育休の目的はなんでしょうか?「男性も育児に参画する」ことが目的のはずです。育児は1ヶ月でも、1年でも終わりません。基本的生活の自立までですら5年ほどはかかります。1年取っても、その後育児できなければ意味がありません。
「とるだけ育休」なんて言葉もあるように、取得しても実際の育児参画を促すことができなければ、むしろ逆効果にすらなりません。
真の育児参画のためには、慢性的な長時間労働や育児に伴うキャリアロスにも目を向ける必要があります。育休取って1ヶ月給与もらえても、育児参画してキャリアが止まれば長期的にはマイナスです。
確かに経済的支援を行うことは育休取得には前向きの効果がありますが、あくまで一面でしかない。その中で「取ること」だけが盛り上がることで、本来の目的である「育児参画」がやや置き去りにされている、そんな危機感を私は抱いています。
是非その辺りも調査したり、取り上げて頂きたいところです。
有害物質まみれの猫、行方不明に 広島県
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
ちょっと驚きのニュースです。
六価クロムは産業衛生上は「特定化学物質」に指定され、使用にあたり適切な防護が行われなければ人体に重大な有害性がある物質です。
安全データシート(SDS)にこのような有害性は書いてありますが、記事に紹介している経皮のみならず、粘膜接触や摂取の有害性も示されています。
これらの多くは動物実験で示されてもいるものであり、猫への有害性の詳細までは存じませんが、無害ということはありません。
歩いている猫に触れるのは現金ですが、目撃がないことを考えると、すでになくなっている可能性も否定できません。誤って子供が触れたりする危険性はあり、しばらくは注意が必要です。
【ゼロからわかる】現代男性の新常識?「PMS」の超基本
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産婦人科・産業医として、職場でも潜在的に問題になりやすいこのPMS。是非正しい知識を知って、正しい対応をして頂きたいものです。
まずPMSは病態的にはホルモン、特にプロゲスチンという女性ホルモンの1種の作用が非常に大きく関与するものと考えられています。
しかし、PMSを「ホルモンだけ」で片付けてしまうのも考えものです。ほとんど全てのメンタルヘルス問題は、本人の身体的状態(Bio)-精神的状態(Psycho)-社会的状態(Social)が多角的に関与して成立しています。
例えPMSが投薬治療で改善しても、職場でハラスメントを日常的に受けていれば(社会的状態が良くない)、当然にメンタルヘルス不調を引き起こしかねません。特にこの"Social"の背景に、記事にもあるように日本社会が抱えている、「男女の身体差を考慮していない設計」があることは忘れていはいけません。
つまり、このような記事を読んだ時に「PMSの女性がみんなアプリを使ったり婦人科にかかれば解決する」のような捉え方をしてしまうと、本筋を見逃します。もちろんそれは大きな解決の一助になりますが、これに気付きにくい、ケアしにくい社会も変えていかなければ、本当に「不調による労働損失」をなくしていくことはできないのです。
ケアミーのアプリは自己対処やパートナーとの共有では素晴らしいですが、当然これが会社で上司に情報共有されるわけではありません。このような取り組みが広がると同時に、周囲がしっかり男女の身体的性差についても理解し、潜在的に生じている格差を埋めていくことが不可欠、というのは忘れないでください。
【14選】ジェンダーを理解するために、映画や本に触れよう
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
拙著をお取り上げ頂き、ありがとうございます。一番最後に載っている「ポストイクメンの男性育児」の著者で、産業医/産婦人科医の平野翔大です。(この3月のタイミングでプロピッカーにも選出頂きました)
その他の書籍も非常に面白いものと感じます。是非一度、「食わず嫌い」せずに、先入観なく読んでみてください。小説系が受け取りやすいですが、解釈に受け手の考え方が多分に含まれてしまうので、できれば論述系も読んでいただくと良いかなと思います。
さて、せっかくなので「男性でも読みやすい3冊」の1冊としてご紹介頂いた拙著のポイントをご紹介させて頂きます。
本書は題名の通り、「男性育児・育休」にスポットを当てた本です。育児・介護休業法が改正され、大企業には取得が強く促進されていますが、これは「男は仕事、女は家事育児」に対する大きなパラダイム・シフトだと考えています。
しかし男性の育休は「男性自身が育児参画を望んで進んだ」というより、「女性の社会進出や少子化の問題の処方箋」として進められたという背景がある、ここに私は焦点を当て、「男性が家事育児をすべきだ」ではなく、「男性が家事育児をできるようになるためには、社会的に何が必要か」を紐解きました。
実はこの流れにおいて参考になるのが、女性の社会進出の流れです。つまり男性の家庭進出と逆の流れであるからこそ、女性の社会進出で生じている諸問題を考えるこは、今後男性の家庭進出で起きる問題を予測するのに重要なのです。そして何より、この問題は男性が当事者になりますから、男性にとって以前よりは捉えやすいものになるはずです。
このような問題に取り組むことは、最終的には男性にも女性にも、皆が生きやすい社会につながる、というのを本書ではご紹介しています。
この話題はどうしても男性対女性の二元論になりがちです。しかしフラットな目線で見れるようになると、決して対立論ではなく、多くの同一の問題を抱えていることがわかります。
是非拙著を皮切りに、根強い問題であるこの問題への知識を広めて頂ければ幸いです。
【DE&I】プルデンシャルが「男性中心」から変わる。なぜ?
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産業医・産婦人科医としてこの領域に多く携わっていますが、「女性活躍のカギは、トップの腹落ち感」、これ本当にその通りで、本質を捉えた記事だな、と感じました。
トップの取り組みとか発言ではなく、「腹落ち感」これが凄く大事なのです。社会的に必要だから、求められているから、受動的にやる、という空気感が決して少なくないこの分野において、トップ自ら腹落ちできるまで理解を深め、その上で取り組む。そこまでしなければ、実効性のある取り組みにはなりません。
実際に2008年に多様化推進チームが立ち上がっていましたが、取り組みが進んでいなかったのが記事にも書かれています。2021年から再度取り組まれましたが、腹落ちするために必要なのは、分野に関する理解と、きちんとした基礎調査・データ=ファクトを出すこと。プルデンシャルでは「獲得率」はたしかに男性優位なものの、「継続率」に女性の強みがあることも認識しておられ、これをどう活かすか?という点からアプローチがされています。
当然男性と女性は異なる性であり、それにより強みも異なります。これをステレオタイプとして誰しもにあてはめてしまうのは問題ですが、異なる強みを認知した上で、活かすための方策を考えるのは結果として「多様な強みを認識し、活かす」ということにつながります。
結果、最後に書かれていますが、こういう取り組みは「男女問わず多様な生き方を促す」ことにつながります。ここに至るために、今男女格差があるなら女性に力を入れて進める必要がある、この考え方こそが真の「DE&I」ではないでしょうか。
自らも研修に取り組んだにもかかわらず、女性社員からアンコンシャス・バイアスを指摘されてしまったという赤裸々な経験含め、「いいこととしてのダイバーシティ」ではなく、「必要なこととしての、挫折も含めたダイバーシティ」の共有。本当に価値のある記事だと感じます。
「やせ薬」の副作用に悩む人の駆け込み寺、TikTokが映すブームの裏側
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産業医かつ医療ジャーナリストとして、医療発信や広告規制も専門にしていますが、皆さんに是非知って頂きたいのが「医薬品の広告」についてです。
特に肥満薬などの自由診療分野ではこのような広告規制を逸脱したものが見られやすく、より注意が必要です。
当然にこのような逸脱をする事業者は遵法意識が低いということになりますから、もし使用者に副作用など有害な事象が起きたとしても、適切な対応は期待できません。結果困るのは利用者の皆さんであり、広告規制について知り、逸脱しているような事業者のサービスは利用しないことが身を守るためにも重要です。
この記事は海外のものですが、日本では医薬品・医療機器の広告に対しては、薬事法による広告規制がされており、国よりガイドラインも出されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
日本では医薬品の広告について、
・効能効果について、客観的に認められたもの以外を示してはならない(顧客満足度、成功率、日本一などの表記は誇大広告になる)
・口コミ、体験談などの表示をしてはならない
・価格について他と比較したり、不当に安く見せてはならない
・芸能人などとの関係を過度に強調してはならない
というようなものが定められています。
これらに該当するような事業者は利用しないほうが賢明といえます。
実は離職の一因? 経営層も女性も知っておきたい「男性更年期」の事実
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産婦人科医・産業医としてこの手の話は相談もよく受けますし、講演などの依頼もあります。「男性の更年期」はキャッチーで最近よく語られますが、上手く活かせば有用なものの、少し注意して扱いたい内容だと感じています。
まず病態としては確かに男性もホルモン(テストステロン)の減少はありますが、その減少スピードは女性に比べ遥かに緩やかです。女性が閉経(=排卵の集結)という明確なラインがあるのに対し、男性にはありませんし、女性の更年期はほてりや精神症状以外にも、脂質異常症や骨粗鬆症など多くの病態に関わっています。
また忘れてはならないのは、女性の更年期も「ホルモンだけのせい」ではなく、心理社会的な要因(子供の巣立ち、職務役割上の変化、親の病気、自身の病気など)が多分に関与して成立しているということです。特に精神的な症状はホルモンだけで一元的に説明するのではなく、その周囲の環境にも目を向ける必要があります。
男性の更年期とされる症状も「精神的な症状」「身体的なほてり・筋力低下」「性機能の低下」とされますが、当然にうつや加齢でも生じる症状です。特にメンタルヘルスの問題は、女性でも挙げた様に役職によるものや、体力の低下によりハードワークしにくくなること、子供の巣立ちによる家庭環境の変化なども多分に関連します。また記事にあるようにストレスがテストステロンに影響を与えることもあります。(これも女性と同様)
つまり、色々と「男性更年期」だけで語ってしまうと危ういものであり、当然に40-50代は様々な病気も起こしやすい時期であることを踏まえた対応が必要なのです。
これらの要素を無視して、「男性更年期」という言葉が独り歩きするのはやや危なさがあります。更年期と思い込んでいたら何か身体的な病気やうつが隠れていた、という事態もありえますから、自己診断により放置してしてしまうのは危険です。
ただ男性はこのような精神身体的な悩みを、打ち明けたり相談するのがやや不得手とされています。このような男性更年期が話題になることで、「自分の悩みを診てもらう」という選択肢が増えることは望ましいことですので、是非「自らの心身に向き合うきっかけ」としつつ、悩んだら早めに医師に相談頂ければと思います。
女性の働きやすさ、日本は29カ国中27位 英誌エコノミスト
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
この手のランキングは色々と読み方に注意が必要で、ランキングそのものより計上した内訳を見るのが大事です。とは前置きするものの、この評価は妥当と言わざるを得ない数字が並びます。
記事でも触れられていますが、まず大きく影響したのが「女性管理職の割合」で最下位、そしてもう1つは女性役員の割合、更に性別の平均賃金も指摘されています。
これらは以前から問題視されており、また相互に相関し合う問題です。未だに扶養制度などが制度的に残っていること、社会的キャリアで存在する差が埋められていないことなどが原因となっているのではないでしょうか。
これを「女性の意欲」などと語る向きもありますが、労働基準法上の女性保護規定(女性は深夜残業をしない、など労働上の扱いが異なった)が撤廃されたのは1999年。25年というと長いかもしれませんが、その時の新卒世代がやっと役員などになる時代が今、ということです。法律によりすぐに待遇が改善されたわけではありませんから、この影響を早期に是正しようとするならかなり強力なキャリア上のアクションが必要ですが、「男性差別」などを理由に、男性中心社会が持続されてしまっているのが今の日本です。
皮肉にも、この手のランキングで下位にある日本・韓国で少子高齢化が進んでいる、というのは、因果関係では明らかでないにしても何かしらの相関はあると言えるでしょう。
入学式カメラマン約100人をXで募集、「正直怖い」と批判続出 撮影会社は中止発表&謝罪「軽率だった」
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
ぜひ皆さんに知っていただきたいのは、小児性犯罪と言うのは、想像より遥か近いところに存在するということです。
webなどでは日々様々な盗撮画像がやり取りされています。最近では某予備校で発生した、正社員講師複数名による盗撮も話題になったタイミングでした。
このようなタイミングで、(自身も父親であるという)この方が、さも素性の知れない方を集めるように見えてしまい、非難を呼んだ格好です。
本人は100人どうしても集めねば、という思いでエントリーしやすいように応募条件を設定したのかも知れませんが、これが「身元や素性の確認が甘い」と見られてしまいました。
実際に盗撮目的の方が紛れ込んでいたのかは分かりませんが、予備校の件などから分かるように、社会的には一見普通の子供好きを装うことも少なくなく、面接をしたとしても排除は容易ではありません。(小児性犯罪にグルーミングがつきものというのも覚えておくと良いです)
これを機に是非「子どもの写真を性的対象として消費する」ということがあることを認識し、このような事案のみならず、SNS等での子どもの写真の使い方、自分で防護するための教育などを改めて重要視していただきたいところです。
不妊治療のつらさ、スタートアップの技術が軽減-フェムテックで成果
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
ヘルスケアスタートアップ複数社を外部支援する産婦人科医としても、この領域には注目しています。
紹介されている子宮内フローラ検査やデジタル化の取組は素晴らしいと思いますし、特に技術は高くてもオペレーション面に問題を抱えがちな日本の医療制度においてデジタル化の為す意味は大きいです。
しかし「フェムテック」という言葉の定義については、一度立ち止まる時がきているのではないでしょうか。
ここで紹介されている子宮内フローラについては、臨床現場で用いられる研究開発技術の1つとすれば、これまで発明されてきた様々な技術と本質的な違いはありません。ICT技術を高度に用いているわけではなく、やや「フェムテック」という用語が広範に用いられている印象を受けます。
確かにこのような素晴らしい技術が「フェムテック」とされることはあまりデメリットもないのですが、最近「フェムテック」と付ければ何でも良い、のような風潮もあり、「猫も杓子もフェムテック」のような状態にもなりつつあります。明らかに妥当なエビデンスを欠く妊活関連グッズが「フェムテック」と名乗るような事例も少なくありません。
わかりやすいアイコンとして「フェムテック」という言葉は認知度拡大に寄与しましたが、安易に使われるようになったのも現実です。
伊藤忠、全役員の女性比率30%以上目指す-男性育休も必須化
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産業医・産婦人科医として男性育休・女性の健康経営などを専門にする立場として、非常に大事なことと感じます。
伊藤忠商事は「社内出生率」の公表など、以前からかなり先進的な取り組みをしてこられた総合商社です。既に21%というのもかなり高いですが、日本国内ではなく世界に目を向ければまだまだ低いとのことで、女性役員比率を上げる目標を更に引き上げました。但し同社HPではまだまだ社内取締役は全員男性、常務以上も1名のみと、相対的には男女差が見えられる状況です。ここがどうなるのかは注目です。
また男性育休の必須化も、有給で取れるようにして金銭的なデメリットをなくす方向に動いており素晴らしい取り組みと思います。
(なお有給の企業独自休暇は正確には「育児休業」ではなく「育児目的休暇」と呼ばれます)
卵子凍結についても、駐在による妊娠・出産・子育ての問題は多くで問題視されており、一つのソリューションとしては良いと考えます。
なおこのような「アファーマティブ・アクション」については批判もありますが、積極的な逆措置が必要なことはこれまでの歴史からも示されています。長い社会的歴史が作ってきた差は数年で是正できるものではなく、一度意図的に手を入れない限り、このような格差は再生産されやすいのです。
有名な例として、昔は「黒人は知能が低い(※意図的に差別用語を使用しました)」ということが、科学的データに基づく形で事実として語られていた時期がありました。しかしその後、人種で生物的な知能としての差があるのではなく、社会や教育がこのような差を生み出していたということが判明した、というものがあります。社会的な差が早期に是正されることが重要であることが示された一例と言えるでしょう。
【新プロ・オーナー】国際女性デーこそ「みんな」の経験談を
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
「国際女性デー」というタイミングで、男性に特化した活動を行う医師として選んで頂いたこと、面白いご縁と感じております。産業医・産婦人科医であり、男性の育児・育休の支援活動を行っております、平野翔大と申します。
実は2019年からpickはしており、約3年近くpickerからは離れておりました。当時は一人の臨床医として医療関連の発信をしておりましたが、今では産業医や社会活動家という側面に加え、2022年には単著「ポストイクメンの男性育児」を出版した医療ジャーナリストとしても発信活動をしております。広く社会に関わるヘルスケア領域の情報を、皆さんにわかりやすくお届けしたいと思っておりますので、是非フォロー頂ければ幸いです。
2023年出生数、最少75万人 人口減り幅も過去最大、厚労省
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産婦人科医・産業医・医療ジャーナリストとして各省庁の資料を日々眺めている立場ですが、「少子化」を「子育て」のみで語ってはならないという重要なことをお伝えしたいです。
この領域は科学的・定量的な議論が欠けやすく、当事者などによる印象論・定性的議論が先行しやすい領域なので注意が必要です。
①まず出生率がよく語られますが、出生率の低下とともに深刻なのが「少母化」。そもそも母親となる生産年齢女性人口がすでに急減を開始しており、同じ出生率でも年々子供の数は減っていく現状です。
②また「育てにくい、お金がかかる」ということもよく問題視されますが、現在の少子化は婚姻率の低下でほぼ説明ができ、結婚意思に反して若者が結婚できていない現状があります。(ニッセイ基礎研究所 天野氏レポートに詳しい)
③さらに結婚も遅くなり、これは1人の夫婦が持つ子供数を減らしている。(日本は婚外子比率が低く、ここはほぼパラレルに推移する)
ここでよく「官製マッチングアプリ」とかが出てきてしまうのも大変まずい状況ですが、この未婚化、晩婚化の背景には若年世代の相対的所得水準の低下があります。
つまり少子化対策に最も重要なのは「若者の所得向上」であるにも関わらず、子育て支援のために社会保障料を上げている日本の「少子化対策」は本末転倒と言わざるを得ません。
東京都「カスハラ」防止条例制定に向け調整 制定されれば全国初
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
従業員のメンタルヘルスなどに日々向き合う産業医として、「カスハラ」は特に日本では難しい問題だと感じます。
これまでパワハラ、セクハラはじめハラスメントは基本的に法律や指針でも企業が対策を行うべきもの、とされていました。
しかし、カスタマーハラスメントについては、顧客が行うものであるため、企業にその予防、対策を行わせることが難しく、他のハラスメントとは少し扱いが異なっていました。
例えばセクハラであれば、行為者に対して注意・懲罰を行うことで対応ができましたが、カスハラにおいてはこのような行為は難しくなります。
このため、これまで実効性のある取り組みはできてきませんでした。
今回、多くの企業が集積する東京都において、罰則はなくてもこのような取り組みが行われる事は、メッセージとして非常に大きなものではないでしょうか。
カスハラは問題行為であることがより認知され、企業がNOと言いやすくなる、従業員を守りやすくなることが期待されます。
相次ぐ「ストロング系」の新規販売終了は撤退か戦略か。サントリー、キリンの対応は?
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
まさに「企業の社会的責任」という考え方から出てきた大きな方針転換でしょう。
高度数であることと飲みやすさを両立したいわゆる「ストロング系飲料」は、その安さ・スッキリした味、そして酔いやすさのために、多くの層に受け入れられた反面、依存症や健康障害のリスクが高いことも指摘されていました。
「糖質オフ」「カロリーゼロ」などの健康志向に訴求した商品も多く、ともすれば健康に配慮しながら良く酔える製品、という扱いを受けていた節もあります。
この背景にはビールに対する税金の上昇など、既存のアルコール商品での競争が厳しくなっていたというメーカー側の事情もあり、登場したことに対して一概にメーカーを批判はできません。しかしこのようなプロモーションが健康障害を招いたという状況が、企業の経済活動によるメリットを上回ると判断する企業が出てきた、という意味で大きなポイントになりました。
特にこの10年は、以前はなし崩し的に黙認されていた大学における未成年者飲酒が問題になったり、「アルハラ」という言葉が広がったりと、アルコールに対する市民の感覚も変化した時期です。
特に新型コロナウイルス感染症の広がりから「家飲み」「オンライン飲み」が広がったことも消費傾向を変化させました。
また今回、厚生労働省から「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が提示されたり、記事にもあるように純アルコール量の記載が求められるようになったことも含め、高度数飲料への風当たりは厳しくなっています。
こういった背景を通じた企業の戦略判断ではありますが、以前から顕在の「ワンカップ」のように、より高度数で依存症の原因になっているアルコール飲料がなくなっているわけではありません。このような商品がなくなることで、飲酒行動にどのような変化が生じるのかは注視が必要です。
夫以外の精子で体外受精、都内クリニックが開始へ…提供者情報を子に開示
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
私自身が医学部を卒業し、産婦人科医となった者です。
大変重い決断をされましたが、実施クリニックは大学とも関係がある、経験・症例ともに豊富なクリニックであり、ここが行う意義は非常に高いと思います。
もちろん賛否両論あると思いますが、私は賛成です。
条件としてクリニックは
・夫婦の子供への告知義務
・非匿名で行い、18歳以上になると精子提供者と子供が接触可能
・子供の近親婚を回避するための確認が可能
・当事者家族の会を開催
を掲げ、無論これまでに出ている学会ガイドラインなどを踏まえた上で対応し、実施に際しても細かい条件まで詰めています。
さらにはパブリックコメントを募集するなど、大変熟慮した上での対応がなされたと思います。
先日pickしましたが、個人間の性行為による精子提供が行われ、しかも身分偽装が判明し問題となりました。
どうしても夫婦のみでは子供を望めない夫婦が、この様な選択肢が途絶えている事は、さまざまな問題を引き起こしています。
しかし法制度の整備などは不十分であり、特に年齢的な制約の大きい不妊症患者にとっては、法整備を待っていられないのが事実です。
そうであるならば、きちんとした医療機関が、適切な方針を開示した上で行うことの方が遥かに有益ではないでしょうか。
ワクチン2回接種どうし 少人数で会食も全員感染 新型コロナ
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
「ワクチンは感染予防効果がない」は本当にどこから出てきた言説なのでしょうか、、、
mRNAワクチンにはしっかりと予防効果はあります。2回接種ではオミクロン株にはかなり有効性が下がる(10%とも)のは事実ですが、3回目接種で60-70%程度の予防効果が得られるので、「感染予防効果がない」は間違いです。
また市中で感染しているのはオミクロン株のみではなく、デルタ株もまだ一定存在し、こちらにはワクチンは2回でも60%以上の効果が示されています。
また日本人のワクチン接種率は既に8割近くになっています。ワクチン接種で感染率が下がっても、数が多いので当然、「感染数」で見ると接種者の感染も増加します。
今の状況で、2回接種の方の感染が頻発するのはこの様な理由であり、「効果なし」はインフルエンザワクチンでよく言われていた話との混同からか来る言説で、正しくはありません。
また感染リスクの高い行動も明らかです。マスクしない、大声を出す、狭い室内などがこれに該当し、飲酒を伴う飲食は明らかに高リスクです。
現場で見てても、飲食もしくは家庭内での濃厚接触からの陽性はよく見る反面、職場などではあまり見ないのが現状です。
報道としてそこを重点的に報じるかはさておき、感染拡大期については、飲食という「マスクを外さざるを得ない行動」はどうしてもリスクが高く、他業種より重点的な対策(と適切な補償)は必要なのは事実です。
ただこの事例の場合、最初の発熱者が3日後なので、彼は飲食前から感染していた可能性は高く、その方が同じ卓に感染させた考えるのが妥当でしょう。(細かいシチュエーションまでは知らないですが)他の4人の関連はあまり考えません。
クレベリン、広告根拠なし 大幸薬品に再発防止命令
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
まともな医師ならまずお勧めしない「クレベリン」。
ここまでされても引き下がらない大幸薬品は、もはや「薬品」の名前を冠していい企業だとは思えません。
問題は多数存在します。
・主成分の効果が高濃度という限定的環境で起きる効果にもかかわらず、その濃度を出せない商品である
・成分的に有害な可能性があるにも関わらず、そこには触れない
・医薬品・医薬部外品でもないのに、「除菌」など明らかに効果がありそうなワーディングで広告
→「病気への効能を謳っていないので問題ではない」と反応
確かに法的にはグレーでも、その考え方は人の命に直結するヘルスケア業界では本当は持っていていいものではありません。
「売るためなら何でもあり」の姿勢が、この様な業者や大手メーカーでもみられることがあるのは、大変残念でなりません。
指摘されて対応するならまだしも、消費者庁の指摘にまで反論する姿勢は、もはや倫理や、医療の原則である「Do not harm」を無視したものであり、到底許容してはならないと思います。
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