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米メルク、J&Jワクチン生産を支援 バイデン大統領が発表
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
医薬品としてよくみられる従来のタイプの低分子の医薬品製造については、原料からの一次加工品や、場合によっては最終製品に至るまで、外部委託による製造が珍しくありません。しかし、ワクチンなどのバイオ医薬品の場合は、製造に要求される技術的難易度が高いとされるため、研究開発した企業にしか製造方法がわかりません。その場合、ジェネリックメーカーは、簡単にはコピー薬の製造は行えません。そのことも見越したうえで医薬品メーカーは、バイオ医薬品へと商品構成を変えてきています。 新型コロナワクチンの研究開発では、報道等で明らかになっただけでも世界で200ほどの候補がある中、これまでに開発に成功した企業は8社(米-独、米、英、露、印、中3社)に限られています。 これらの企業に新型コロナワクチン需要が集中するために、供給とのバランスが崩れています。世界の大手製薬企業の場合、今回のワクチン開発を行っていない企業、開発途中または断念した企業であっても、バイオ医薬品の製造に関して高い技術力や生産能力を有していることがあり、迅速な供給および供給リスクの低減のために、生産に協力することは、社会的にも価値あることだと思います。 しかし、こういった企業同士、例えば、今回の米J&J(ワクチン研究開発に成功)と米メルク(製造受託との報道)は経営資源が共通領域にあることから、もとより「高度なライバル関係」にあります。本来であれば、J&Jにしてみれば技術流出を避け、独占製造・供給を守りたいという意向が働くはずですが、研究開発ー製造協力が実現する背景には、緊急時における国家による強い働きかけがあるものと思われます。
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武田薬品、米モデルナのワクチンを週内に承認申請へ
朝日新聞デジタル
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米モデルナ製のワクチンは、日本では、武田薬品工業が臨床試験を担当しています。2020年10月29日の報道では、「2021年前半より5,000万回の接種分を輸入し、日本において供給する予定」とのことでした。 さらに、2021年1月21日には、「国内での臨床第1/2相試験(臨床初期~中期試験、成人被験者200例を対象)に、安全性および免疫原性を評価するプラセボ対照試験を開始、最初の被験者に治験薬の投与が行われました」とプレスリリースされていました。この臨床試験は、臨床的な有効性の代わりに「中和抗体活性」で評価するという試験デザインと思われます。おそらく、この臨床試験の成績をもって、臨床第3相(後期試験)を外国のデータと「ブリッジング」して、有効性、安全性を検討することになるのだと思います。 今回、「週内に承認申請」とのことで、「あれ、日本の臨床試験は実施中のはずだがどうなった?」と思い、記事の内容を確認しましたが、やはり実施途中の段階のようです。 記事からは、「米国での臨床試験部分を『先に』審査しておいてください。日本のデータは審査中に提出できる見込みですので、追ってよろしく」という意味にとれます。先行のファイザー社、アストラゼネカ社は「日本での臨床試験実施後に特例申請」を出しています。今回の記事通りだとすると、モデルナ製ワクチンでは「日本での試験結果がまったくなくても審査を開始する」という解釈になります。厚生労働省が公式にこの扱いをするのであれば、おそらく前例のない進め方ということになり、極めて特例的な扱いとして、注目に値します。 仮にそうだとしても、現在臨床試験中の医薬品として、臨床試験成績がない段階での「企業による、時期を指定した(5月中に承認取得を目指すとの)見込み発表」には違和感があります。
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日医工に業務停止命令 富山県 未承認の手順で医薬品製造・出荷
毎日新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
2021年2月26日のNHKニュースで先に報道がありました。日医工は日本でのジェネリック医薬品最大手です。問題の本質は、医薬品の製造販売業に携わる企業が、国際的な製造基準に基づく施設毎認可の手順を遵守せずに製造した結果、問題が発覚した75品目を回収というものです。不正内容は様々で「認可されていない手順で製造」、「中間品質検査を省略(記録がない)」、「工場内の環境モニタリングを行わない中で製造」、「製造出荷後の安定性基準を満たさない」などです。同社はコスト意識が強く、「問題ないだろうから省略しよう」といった「改善」を不正に適時行っていたということが読み取れます(医薬品製造では、万が一にもあってはなりません)。健康被害につながらなかったことは幸いでした。 同社は、2020年4月ごろから、次々に関連の製品回収をしています。所在地の許認可権を持つ都道府県が処分を行い、業務停止命令の期間はおよそ1か月間とのことです。 医薬品製造に関する行政処分としては、2021年の福井県「小林化工」の他医薬品成分の高濃度混入による死亡例を含む健康被害の事案(116日間の業務停止処分)がありますが、日医工の方は、実際の「健康」被害者がいないことにより軽い処分になっているものと思われます。それでも、2016年の熊本県「化学及血清療法研究所(現KMバイオ)」の日本脳炎ワクチンを長期間にわたり承認書とは異なる方法で製造していた事案(110日間の業務停止処分)と比べても、バランスを欠くほどに軽い処分と感じます。 同社が「大きすぎる」ため同社の医薬品の供給が滞れば患者さんへの医薬品の供給がストップし逆に健康被害が発生しかねないこと、そこまでいかなくても医薬品の流通に大きな影響を与えることなどがあり、厳しい処分に至っていないのではないかと思います。 同社の製造する医薬品は、先発企業の特許がなくなった後の後発薬のため「国が設定する価格(薬価)が安い」ジェネリック医薬品です。保険財政負担の低減を目的として、国自身が数値目標を掲げて推奨していることも影響しているのではないかと推測します。
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富山県が日医工に業務停止命令へ
www.knb.ne.jp
高橋 義仁専修大学 商学部教授
先に2021年2月26日のNHKニュースで報道がありました。本日はNNN系列で富山県を放送対象地域としたKNB(北日本放送株式会社)によるものです。日医工は日本でのジェネリック医薬品最大手で、富山県を代表する企業で、近年業績が急上昇していたこともあり、「富山県民の期待を裏切った」というニュアンスでしょう。 問題の本質は、医薬品の製造販売業に携わる企業が、国際的な製造基準に基づく施設毎認可の手順を遵守せずに製造した結果、問題が発覚した75品目を回収というものです。不正内容は様々で「認可されていない手順で製造」、「中間品質検査を省略(記録がない)」、「工場内の環境モニタリングを行わない中で製造」、「製造出荷後の安定性基準を満たさない」などです。同社はコスト意識が強く、「問題ないだろうから省略しよう」といった「改善」を不正に適時行っていたということが読み取れます(医薬品製造では、万が一にもあってはなりません)。健康被害につながらなかったことは幸いでした。 同社は、2020年4月ごろから、次々に関連の製品回収をしています。所在地の許認可権を持つ都道府県が処分を行い、業務停止命令の期間はおよそ1か月間とのことです。 医薬品製造に関する行政処分としては、2021年の福井県「小林化工」の他医薬品成分の高濃度混入による死亡例を含む健康被害の事例(116日間の業務停止処分)があります。本件とは異なり、実際の「健康」被害者がいないことにより軽い処分になっているものと思われます。それでも、2016年の熊本県「化学及血清療法研究所(現KMバイオ)」の日本脳炎ワクチンを長期間にわたり承認書とは異なる方法で製造していた事例(110日間の業務停止処分)と比べても、バランスを欠くくらいに軽い処分と感じます。 同社が「大きすぎる」ため同社の医薬品の供給が滞れば患者さんへの医薬品の供給がストップし逆に健康被害が発生しかねないこと、そこまでいかなくても医薬品の流通に大きな影響を与えることなどがあり、厳しい処分に至っていないのではないかと思います。 同社の製造する医薬品は、先発企業の特許がなくなった後の後発薬のため「国が設定する価格(薬価)が安い」ジェネリック医薬品です。保険財政負担の低減を目的として、国自身が数値目標を掲げて推奨していることも影響しているのではないかと推測します。
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勤務時間中のコロナワクチン接種 「欠勤扱いとせず」 日本生命
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
企業と個人との間の「就業規則」によって規定される内容です。おそらく、重要指定感染症のワクチン接種に関しては、就業規則に入っていないので、その取扱いについて「従業員有利な方向で決めました」ということだと思いますが、記事には重要なことが書かれておらず、よって複数の解釈ができます。この記事から想定できることを考えてみます。 現実的には、広い意味で感染症で仕事を休む時の扱いは、就業規則の内容によって、(1)有給休暇扱い (2)欠勤扱い(有給休暇が与えられていないケース) (3)(有給休暇とは別の)病気休暇のケースと、大きく3つに分かれると思います。(企業との就業規則を受け入れて就業している場合は、従う義務があります) 単に軽傷や予防的治療での医科・歯科通院の場合は、(1)または(2)の扱いのところが多いと思われます。インフルエンザワクチンの接種の場合も同様だと思います。 そこで、記事は、2つの解釈が考えられます。 (a) 有給休暇のある従業員が「有給が使える」ことを指している場合 理由を問わず有給が取れることを考えると、「欠勤扱い」としないが、「有給休暇」をとってくださいと単に言っているだけのことですので、当たり前のこととしてニュースに値しません。 (b) 有給休暇のない従業員の場合、または、有給休暇がある従業員が「有給を使わないでコロナワクチン接種ができる」ことを指している場合 「本来は『欠勤扱いか有給取得での対応』のはずだけれども、コロナワクチンの接種に限り、会社はその時間の給与を支払います(勤務免除 ※)」という、特例的な「対価」を、企業が従業員に対し(折衝も経ず)新規に与えたということになりますので、従業員には恩恵となります。(※ 有給休暇と勤務免除は異なる概念です) 気持ち的には、社員に気持ちよく働いてもらうためにも、また国の防疫戦略に社会貢献するためにも、企業は「固いこと」を言わず1~2時間程度の「有給の外出=勤務免除」を与えたほうが良いと思います。コスト的にも、有給休暇の処理などをするコストを考えるとその面でも得策ではないと思います。
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アストラゼネカがモデルナ株売却、ワクチン期待で株価上昇=英紙
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
医薬品の研究開発は10年以上かかることが普通にあり、その間に必要になる費用も高額です。メジャーな医薬品の場合、市場に出るまでに、千~数千億円の費用が必要になりますが、その間の収入はありません。したがって、バイオベンチャーには、研究開発能力はもちろんですが、資金調達の能力が求められます。 大手製薬企業は、自社での研究も行っていますが、新しいタイプの医薬品といわれる「バイオ系」にはこれまでのノウハウが蓄積されていないことがあり、バイオベンチャーに出資することは、(1)自社が携わる新製品を獲得できる可能性 (2) バイオベンチャーのキャピタルゲイン獲得 という、2つの目的の実現のために有益です。逆に、一般的には、大規模な製薬企業の方が、医薬品の開発力(認可当局との折衝を含む)やマーケティング力が高いと言われています。 今回、製薬大手のアストラゼネカは、「新興バイオ製薬ベンチャー・モデルナ社の株価が(新型コロナウイルス・ワクチンの研究開発の成功で)調子よさそうな時に株式を売却する。しかし、提携は続ける」ということでしょう。両社はそれぞれ新型コロナウイルス・ワクチンの開発に成功していますが、「キャピタルゲイン獲得目的」以外の売却理由はないと思います。
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ソフトバンクG和解で16億ドル支払い ウィーワーク創業者らに
SankeiBiz
高橋 義仁専修大学 商学部教授
そもそもの問題は、ソフトバンクグループが「WeWorkにさらなる投資する約束をしていたのに果たさなかった」というものでした。「反故にされた約束」とは、30億米ドル(約3200億円)の公開買い付け(TOB)についてで、2019年10月にこの約束をソフトバンクが取りやめる発表をしていました。 今回の和解により、WeWorkがすでに上場している特別買収目的会社(SPAC)に吸収合併してもらう方法により上場を果たせる見込みとの報道がされています。これにより、これまでに大規模出資をしていたソフトバンクが出資金を引き上げる手段を得ることができます。 2020年3月期のソフトバンクグループの決算報告で、すでに約4916億円相当の出資をWeWorkに行っているとの発表がされていましたので、これの回収が可能になるのであれば、その対価として見合うものだと考えているのでしょう。それにしても、公開買い付けしたときには受け取る「対価としての株式なし」に、創業者ニューマン氏らに約16億ドル(約1700億円)も支払うというのは驚きです。これ以外、何かのウラがないか、いささか疑念を持っています。 ソフトバンク側がWeWorkのTOBを取りやめた理由として考えられたのは、WeWork共同代表(実質的な最高権力者)だったアダム・ニューマン氏(後、退任)の放漫経営で、企業ガバナンスの欠如にも大きな問題があるとされていました。これには、私的に還流される高額報酬、複数の関連企業が絡む複雑な出資関係、圧倒的な収益性の悪さ、WeWorkに都合が良いと思われる決算の方法(非上場なので、ある程度は「我流」が通ってきたのだと思います)などが含まれ、これらがソフトバンクの株式公開買い付けと並行して行っていた、WeWorkの新規株式公開(IPO)の準備段階で明らかになり、株式市場が問題視したことなどでした。
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来春卒業の大学生の就職活動 本格化 きょうから企業説明会
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
コロナ禍におけるオンライン化の流れは、地方の大学生と都市圏の企業にとって朗報です。優秀な学生の流入によって競争が増える都市圏の学生と優秀な学生の確保が難しくなる地方の企業にはデメリットになるでしょう。 「本日から企業説明会が解禁になりました」というニュースには、毎年違和感をもっています。この基準は、日本の大企業の経営者が会員になっている「日本経済団体連合会(経団連)」のガイドラインとしての傘下企業のルールですが、日本の基準のように取り扱われ、経団連外の企業も概ねこれに従っている状況です。下手な動きをして、企業倫理が問われたり(問われません!)、横並びを無視して睨まれたくないという、なんとなくそんな雰囲気が日本にあるからでしょう。 実際は、拘束力は全くないので、(あまり公開していませんが)小規模かつ競争力のある外資系企業は独自の動きをしているようです。日本企業で競争力のあるところについては、このような採用の仕方は限界だと思いますが、気付いてないのでしょうか? 人事関係者が戦略的に動くべきですが、伝統的な日本企業の文化では難しいのでしょうね。 それとは別ですが、「就職活動に配慮してください(出席にしてほしい)」などと申し出る学生さんがいますが・・・「授業に出なくてかまわない」ということが配慮なのでしょうか? 就職活動は私的な活動であり、「就職活動を大学の履修実績に認定する」などということは「教員としての不正行為なのでできない」と伝えています。 大学は学ぶところで、得た能力を引っ提げて学生は求職する。企業は、その能力を基準に合格を出すという、三者の正常なバランスが日本の競争力を創るはずですが、現状うまく機能していないと思うところがあります。これができないと国際競争についていけないはずなのですが・・・
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福島復興事業で「鹿島」元幹部が下請けから金銭…「発注見返りに2億円」
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
官が入ると贈賄・収賄にあたる事案でも、民間から民間への金銭的便宜の供与については、それ自体の犯罪性は問われません。しかし、復興税ほかの多額の税金が投入されている東日本大震災復興事業におけるこのような事案については、世間から厳しい目が向けられて当然だと思います。 民間企業側も、当然ながら取引先企業が「贈与」に関する費用を上乗せし、本来の利益が減りますので、企業の就業規則で「関係者から利益供与を受けることを厳禁」としている場合がほとんどだと思います。本件でも幹部社員が、その適用をもって「懲戒解雇」されている模様です。なお、内規による解雇は、例えば、就業規則に兼業禁止とある企業の社員が解雇されるというケースと同質のものです(本件の処分内容の方がはるかに重いと思われますが・・・)。 今回は、「贈与」を受けたことには法的な問題はありませんが、その金銭を税務申告しなかったことによる所得税法違反(脱税)が疑われ、税務署の査察を受けているという状況です。贈与側からの証拠が取れているわけですから、所得税法違反(脱税)として、今後は、税務署から何らかの処分を受けることになると思います。 本件は、「一社員の行動により企業倫理が問われる事態になった」以上の事実は明らかになっておらず、組織性は感じられませんが、このような行動によって、企業全体のブランドに傷がつきます。特に、復興事業関係の事案には世間が目を光らせていますので、企業は警戒していると思います。
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医師ら優先接種用ワクチン配送へ 第3便到着、52万回分
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
これまでのニュースをざっと見直してみると、第一次優先接種としては医療従事者4万人程度に実施しているとのことで、今後は、第二次優先接種者(医療従事者など370万人)、第三次優先接種者(高齢者など3600万人)に拡大される計画が報道されています。 2月21日に第2便として45万回あまりの接種分が届き、第二次優先接種者(医療従事者など370万人)の一部に充てられています。本日3月1日には第3便として52万回分が到着し、同じく第二次優先接種者の一部に充てられることになるとのことです。 ウイルス感染に対しハイリスクであり、感染対策として最も優先して保護すべき医療従事者が第二次優先接種者となることは、当然と思われます。 第三次優先接種者(高齢者など3600万人)分については、時期の明言が避けられるようになっていますが、同社が日本政府と優先供給契約しているとされている2021年内の配分を前提として、ファイザー社が種々の利害関係を受け止めながら調整しているものだと思われます。 ワクチンの効用の点を世界的視点で客観的に考えると、「日本のような感染率の低い国よりも感染率の高い国を優先することが望ましい」との考え方は当然にあるでしょうから、早急に入手して国民の防疫対策を進めたいと考える(他の先進国と同様に優先供給の協力金を支払い済みと思われる)日本としてはもどかしいと思う点はあるとは思いますが、「国際協力の視点から我慢が必要」という考え方があってもよいのではないかと思います。 しかしこれにより、少なくとも経済の回復は遅れますので、賛否はあるでしょう(ただし、政策次第でもあります)。
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アルツハイマー病進行、AIで予測精度85% 富士フイルム
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事中、「アルツハイマー薬の開発失敗が相次ぐ背景には、アルツハイマー病に移行しない患者が臨床試験に参加し、薬の有効性を証明しにくい状況が影響している」とありますが、(1)アルツハイマーに移行する患者と(2)移行しない患者が混在すると、(1)の方で医薬品の効果があったとしても、(2)では両群に差が出ず、結果、両群での「統計的有意差」が表れにくくなり、結果的に臨床試験に失敗するという恐れを指しています。 したがって、「移行するか否か」という「予後」を判断する指標である「診断基準」は有益です。また、これにより、ある種のアルツハイマーのサインがあっても「治療をせずとも構わない」という属性の人がいれば、予防的医療などコストをかける必要がないわけですから、医療費を下げたい機関(政府など)も推奨したいはずです。 しかし、気になるのはAIという言葉です。AIが機械学習を意味し、「機械が自動で学習しだんだんと賢くなっていき、最終的に機会が判断する」ことを指すのであれば、これが世界の先端医学に応用されるまでには、相当な時間がかかるでしょう。 医学では、「(臨床研究の)根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine = EBM)」が重要とされています。研究の蓄積は、論文として世界で公表されて初めて「成果=根拠」として認識されます。研究論文で重視されるのは、「実際に臨床投与されたときの結果」であり、この積み重ねにより治療方針が精緻化されます。 さて、本件、アルツハイマーの「予防」薬候補が有効かどうかを検討するための臨床試験で、臨床試験をする前の投与対象の選択を(該当する臨床試験の成果がないのに)AIがブラックボックスのなかで判断するという手順は認められることはないはずです。この考えが的外れとして、「(機械判断を)認めましょう」となると、「ならばそもそも臨床試験は必要ない」となります。 こういった論理は、「臨床医学」や「医薬品開発」でのベースですので、「機械に任せて・・・」ということは、今後10年や20年の内には、おそらく実用化されません。ただし、「画像の何%に病変が」などというルーチン的業務の「機械サポート」については、単なるデータを専門領域の技能を有する「医師のサポート」のために提供する場合には有益であり、すでに実用化もされています。
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外国からの研究費、開示を義務付けへ…先端技術の流出防止・虚偽報告に罰則も
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「公的な研究費に関する指針を年内に改定する。資金源の透明性を高め、先端技術の海外流出を防ぐ狙いがある」ことに関し、複数の論点が書かれています。資金源の開示は必要と思いますが、「なぜか」について分析してみます。 (1) 透明性を高める 日本は世界から周回以上遅れているという印象を持ちます。例えば、世界の医学研究の領域では、「利害関係の可能性のある資金提供者」として、製薬企業や医療機器の企業の名称を公表論文に正確に記載しないと審査が通りませんが、知る限りこれを1990年代以前から実施しています。実力があれば、10~20社ほども資金提供者名が論文中に並びます。 領域によっては莫大な資金が必要なので研究費の提供は喜ばしいこととして歓迎されます。他方、「情報の信憑性」を判断するためにに役立ちます(透明性の確保)。基本的に、基本的に研究資金の提供者は「賞賛」されています。この点の考え方や透明性の確保の方法については、日本は20年~数十年遅れています。 (2) 先端技術の海外流出を防ぐ狙い・・・ 実効性が乏しいばかりでなく、「『研究とは何か』ということを知らない関係者の妄想」とみられます。そもそも大学などが取り扱う研究成果は、世界の同領域の研究者により相互確認(査読と言います)を受け、世界中に「公表論文」という形で発表されます。つまり、その論文で公表された時点で秘密ではなくなります。この点で、優れた研究成果は国家機密とは対極の位置づけにあたります。世界の大学・公的研究機関はこのような形で、世界共有の財産の形成に貢献しています。 (3) 研究者による先端技術の流出とは何か 学界は、「先端技術を世界に提供し、科学の発展のために活動」をします。しかし、現に政府内・企業内の「研究者」「委員」として知り得た機密を外国に提供して協力するケースについては、問題でしょう。しかし、もはや研究活動ではなく、研究の形態をとる「契約上の利益供与」にあたりますので、それを抑止することは、利益を供与した方と研究者で取り決められる内容だと思います。 民間の研究所の話であれば、研究者の自由意思による働き先はおそらく制限できません。「日本が研究費を負担するのは嫌だ」というセコイ話なら、すでに研究費を受け実績を積んでいる海外の研究者を招聘すればよいでしょう。日本の研究環境がよければ来てくれるでしょう。
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ソフトバンクグループ、WeWorkと和解
ケータイ Watch
高橋 義仁専修大学 商学部教授
そもそもの問題は、ソフトバンクグループと傘下のビジョンファンドが「WeWorkにさらなる投資する約束をしていたのに果たさなかった」というものでした。「反故にされた約束」とは、30億米ドル(約3200億円)の公開買い付け(TOB)についてで、2019年10月にこの約束をソフトバンクが取りやめる発表したとのことでした。それまでにもソフトバンクは多額投資しており、現在もソフトバンクは、WeWorkの筆頭株主です。 ソフトバンク側のTOB取りやめの理由として考えられたのは、WeWork共同代表(実質的な最高権力者)だったアダム・ニューマン氏(後、退任)の放漫経営で、企業ガバナンスの欠如にも大きな問題があるとされていました。これには、私的に還流される高額報酬、複数の関連企業が絡む複雑な出資関係、圧倒的な収益性の悪さ、WeWorkに都合が良いと思われる決算の方法(非上場なので、ある程度は「我流」が通ってきたのだと思います)などが含まれ、これらがソフトバンクの株式公開買い付けと並行して行っていた、WeWorkの新規株式公開(IPO)の準備段階で明らかになり、株式市場が問題視したことなどでした。 違約金を払いたくないソフトバンクに対し、違約金を求めるWeWorkの構図で、両社の「争点」は、ソフトバンク側の契約違反を訴えたWeWork側の「責任の度合い」だったと思われます。 2021年1月28日には、WeWorkがすでに上場している特別買収目的会社(SPAC)に吸収合併してもらう方法により上場を果たす計画があることが報道されていました。これが実現すればWeWorkの資金繰りが改善することが見込まれ、すでに大規模に出資をしていたソフトバンクも出資金を引き上げる手段を得ることができます。 ここで両社が手を組むと、共にメリットが大きいということになりますので、合意条件はわかりませんが、「そこそこで手を打ち、早く上場を実行しよう」という目論見になったのではないかと想像します。
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武田薬:糖尿病治療薬4剤を帝人ファーマへ譲渡、1330億円-負債減へ
Bloomberg.com
高橋 義仁専修大学 商学部教授
糖尿病領域は、かつて武田薬品工業の主力領域でしたが、現在の同社の説明では、「今回の譲渡対象製品は、今後も患者さんのニーズを満たす重要な役割を担うものの、当社の長期的成長を牽引する主要ビジネスエリアの製品には該当しません。」とのことです。しかし、この売却が有利子負債の圧縮を目的としていることは明らかです。 同社は2018年に、アイルランド製薬大手「シャイアー」を買収し、現在は売り上げベースで3兆円を超えています。買収時点で、武田薬品とシャイアーは同規模の会社で、株式の時価総額に関してはシャイアーが武田薬品を上回っていたことから、「小が大を飲み込む」買収、また、日本企業の過去最大規模の買収劇として話題になりました。その結果、武田薬品は、国内2位の企業に対して売上ベースで2.5倍ほどの規模を持つという、国内製薬企業では圧倒的な大手企業になりました。 しかし、当時のシャイアーの買収に要する費用は6~7兆円と巨額で、これのおよそ半分を武田薬品が発行する新株との株式交換で行いましたが、残りの3兆円余りは負債(融資)で調達しました。さらに当時の武田薬品に約1兆円、買収先のシャイアー自体にも2兆円程度の有利子負債があったため、買収直後の有利子負債は、6兆円程度に膨らんでいたとみられます。 一方で1株180円の年間配当は続けており、利益に対する配当金の比率は2019年度決算で128%、2020年度決算で634%(収益の5倍以上を配当金として拠出)とそれだけでも内部留保の流出が止まらない状況にあります。 買収直後時の試算で、仮に資本コスト(利子)が1%で年間600億円、2%なら年間1200億円の利払いが必要な状況になってしまったため(正確な数字は知りません)、武田薬品はその後有形資産、無形資産を売却し、有利子負債を減らす努力をしています。今回の売却で、さらに900億円程度の圧縮が見込めます。 最近では、創業地大阪本社ビルの売却、大阪工場の一部売却、アリナミンで知られる同社一般用医薬品事業の売却、一部の国の海外事業の売却などを行い有利子負債の圧縮を行っていますが、今回の虎の子「糖尿業事業の売却」(前年度売上高308億円)には、今後の収益性に対する不安がよぎります。 武田薬品の「親会社所有者に帰属する当期利益(連結)」は、2018年度1,352億円、2019年度442億円です。
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LINEが資本金を1016億円減らす減資 LINEモバイルが資本金128億円・準備金57億円、LINE Financialが資本金455億円、LINE Payが資本金210億円減らす
Social Game Info
高橋 義仁専修大学 商学部教授
数日前、GoToトラベルなど政府事業やオリンピック関連事業を多く請け負う大手旅行代理店JTBの報道「資本金を減資し1億円にする」と同じ目的と思われます。JTBがやるのなら、もはや「やらなければ損」という感じで堰を切ったようにアクションの早い企業が動くことは想像できましたが、まずはLINEが早々に意思決定をしました。他にも多数現れるでしょう。 「中小企業」の恩恵、例えば税制優遇、公募に対する特例扱い、各種経営監査の省略等々、相当な範囲に及びます。これを利用することで、経営効率が向上します。今回、「こっそり」やろうとしていたところ、バレてしまいました。実際にすることは、「純資産内での科目振替」という帳簿上の処理だけでしょう。 税法に基づき節税スキームを実行することは正当な行為です。しかし、企業の社会的責任(CSR)の視点では望ましくありません。CSRは、企業が自社の利益のみを追求するだけではなく、「すべての利害関係者に対して責任をもち、経済全体の持続的発展や活性化やより良い社会づくりを目指す自発的な取り組み」と知られています。 CSRの階層に関する学説では、低次責任(基本的な責任)から順に、(1)法的責任 (2)経済的責任 (3)倫理的責任と並びます。CSRよりもさらに高次の責任に (4)社会貢献(慈善活動)が位置します。「番号が若いほど必須」の責任です。 (2)には「従業員やその家族に経済的な報いを与えての社会の経済活性化」や「納税での貢献」、雇用責任(雇用に対するポリシー)があたります。社会の富を集めている企業の「中小企業化」は、(3)の倫理的視点からも疑問です。 一方で同じ企業が、CSRへの取り組みを大々的に「社会的な課題を解決していくことが私たちのCSR活動」と熱心に広報することとのバランスに違和感があります。https://linecorp.com/ja/csr/ 経済貢献(大規模雇用・納税)をする企業に対して、もっと賞賛が必要だとも思います。一方、法人税制の抜本的な見直しや、私企業の行為ではありますが、資本金の額による証券取引所への上場除外条件の設置など、政策面でのルールで縛らないと「中小企業化」がCSRに反する行為だと思っていない企業は、これからもこっそりと「中小企業化」していくでしょう。ある程度「大企業が損をする構造の見直し」も必要です。
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75品目自主回収 医薬品大手「日医工」に業務停止命令へ 富山県
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
日医工は日本でのジェネリック医薬品最大手の企業です。医薬品の製造販売業に携わる企業が、国際的な製造基準であるGMPに基づく施設毎認可の手順を遵守すべきであるということを知らないはずはなく、これだけの品目がそれに沿わなかったということは、「企業体質に問題」という判断がなされてしかるべきでしょう。 問題のタイプは、「認可されていない手順で製造」、「中間品質検査を省略(記録がない)」、「工場内の環境モニタリングを行わない中で製造」、「製造出荷後の安定性基準を満たさない」など様々です。ここから、同社はコスト意識が強く「問題ないだろうから省略しよう」、「こうすれば合理的」といった「改善」を認可を取り直さずに適時行っていたということが読み取れます。医薬品製造は安全・確実が最優先されるためこのことは許されません。 同社製造現場では、慣れてきて問題ないと判断されれば、製造コストの低減に役立つ様々な業務の合理化、例えば、「自主的な調合の手順の改善」、「多めの作り置き」などを行い、それが企業内で黙認されてきたという社風が読み取れます。先発・後発の品質基準に差はありませんが、少なくとも「確実性を含めた」同社の安全性品質が劣ることを示しています。今回はたまたま何らかの査察が入り、芋づる式に問題点が次々に出てきたということだと思います。 同社は、2020年4月ごろから関連の製品回収をしていますが、その品目が75品目に及ぶということです。所在地の許認可権を持つ都道府県が処分を行いますが、業務停止命令の期間はおよそ1か月間とのことで、非常に軽いように思いますが、そこには、事情も垣間見られます。 まず、福井県「小林化工」の他成分の高濃度混入の事例とは異なり、実際の「健康」被害者がいないこと、同社が「大きすぎる」ため同社の医薬品の供給が滞れば患者さんへの医薬品の供給がストップし逆に健康被害が発生しかねないこと、そこまでいかなくても医薬品の流通に大きな影響を与えることなどがあります。 また、同社の製造する医薬品は、先発企業の特許がなくなった後の後発薬のため「国が設定する価格(薬価)が安い」ジェネリック医薬品です。保険財政負担の低減を目的として、国自身が数値目標を掲げて推奨していることも影響しているのではないかと推測します。 いずれにせよ、健康被害につながらなかったことは幸いでした。
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