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ドンキ、米スーパー買収を発表 海外事業を強化
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
ドン・キホーテには「海外100店出店計画」があり、実際2019年には香港、20年にタイとシンガポール、21年には台湾、と急速に海外出店を進めてきました。香港にはすでに4号店まであります。
これまで日本の小売業がアジア諸国に進出する時は「アジアの富裕層」を購買層として想定してきましたが、富裕層はそんなにいないし、欧米製品を愛用しているので、うまくいかず撤退するケースが相次いできました。ドン・キホーテは「アジアで増えている中間層」を明確に標的にしているところが違いますね。
「海外100店出店計画」は、2019年には始まっているので、新型コロナウィルスとは関係なく継続されているということでしょう。しかし、東アジアが中心の構想だと見られていましたが、米国への展開は意外です。
日本のスーパーの海外展開にはヤオハンの急展開と1990年代の破綻という苦い経験があります。ドン・キホーテにどれほどの市場調査に基づいた勝算があるのか、ヤオハンの二の舞にならない手立てがあるとよいと思います。
ドン・キホーテが非常事態宣言下のタイで出店する深い事情
https://diamond.jp/articles/-/233553
イスラエルがワクチン外交へ 大使館のエルサレム移転後押し
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
イスラエル政府は、まずパレスティナ自治政府の統治地域に住む400万人のパレスティナ人にワクチンを提供するのが先でしょう。人口400万人で人口密度が高く、毎日千人程度が新規感染確認されていて、増加傾向にあります。横浜市内だけで毎日千人の感染が確認されているようなものです。
もっとも、イスラエル政府のワクチン外交はそう単純ではなく、パレスティナ人に対してファイザーやモデルナのワクチンは提供しませんが、ロシアのスプートニク・ワクチンが送られるように手回ししています。実際のところ、パレスティナ人の間で感染があまりにも広がり、イスラエル人にも影響が出ると困るのでしょう。隣国の内戦中のシリアへもやはりロシア製ワクチンが届くように手配しています。
ワクチン外交といえば中国が有名ですが、チェコなども中国製ワクチンの提供ならば受けることができます。しかし、ヨーロッパ東部や中南米の国は、ハンガリーなどは中国ワクチン導入に踏み切ったものの、国民に中国製ワクチンを接種することには躊躇う国が多いです。かといって、ファイザーやモデルナのワクチンを提供してくれる国はありません。
自国民用のワクチンは世界でも圧倒的な早さですでに確保したイスラエルは、これから外交カードとしてワクチンを輸出しようとしています。

【必見】ユニコーン創業者が、大臣になる理由
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
東南アジア7億人市場、といっても、別に単一市場ではなく、1人当たりGDPも、資本主義か社会主義か、といったところから国によって全然違う、というのは大前提です。
その内人口2億5千万人を超えて圧倒的に大きいのがインドネシア、人口1億を超えたのがベトナムとフィリピンです。
どの国でもスマートフォンがどんどん売れて、テック企業が急速に伸びているのは同じです。東南アジア最貧国であるミャンマーでもそうです。
ただ、外国人が投資をしやすいか、その国独自のユニコーン企業が現われているか、というのは国によって違います。ベトナム人が非常によく使う通信アプリ、Zaloなどに早期に投資できていれば、莫大なリターンがあったでしょう。しかし、社会主義国のベトナムでは、外国人の株式購入に大きな制限があります。
ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーのような社会主義的性格が強い国では、ユニコーン企業が現れにくいし、あっても外国人の関与がむずかしいです。
インドネシアとフィリピンは、資本主義とはいえ、巨大財閥があり、流通や小売、建設、重厚長大な製造業は、現地財閥との提携無くしては入って行けないです。
インドネシアの財閥は日本と似たところがあり、伝統的産業は寡占しても、ネットを活用したテック産業にはあまり入ってきませんでした。そこに、ユニコーン企業が台頭できる空白地帯がありました。
フィリピンは頭脳流出が著しい国です。ユニコーン企業が現われない根本原因はおそらくそこです。GDPの10%が海外に出稼ぎに行ったフィリピン人の送金で成り立っている国ですが、送金問題はフィリピン人の非常に大きな関心事なので、そういうアプリの需要はあるでしょう。
ミャンマーで大規模デモ 国軍に抗議、ゼネスト呼び掛け
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
きょうはこれまでで最大の規模のゼネストが呼びかけられています。
軍側は、最大都市ヤンゴンの交通を封鎖しています。
昨夜も夜間の逮捕が進み、600人ほどが逮捕されています。夜間はインターネットを完全遮断するという措置は、すでに何日も続いています。
軍も、ストライキとデモが拡大するばかりで収まらないことに焦りはあるでしょう。
若い世代がストライキもデモも中心になっていますが、やはりインターネットを遮断してしまうような軍政は受け入れらられないのでしょう。国軍側は、このあたりの感情もまるで理解していないようです。インターネットも使えない国になれば、祖父母の時代のような、日の出とともに田畑で働きだし、日が沈むと寝る、という何の楽しみもない生活に逆戻りしてしまいます。
反軍政デモで2人死亡 当局発砲、犠牲3人に
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
鎮圧は、数万人が集まる最大都市ヤンゴンの大規模デモではなく、局所的に強硬になっています。潰しやすいところから潰すのでしょう。たとえば、2月20日の夜中、ヤンゴンでは夜中に
自分の地区の警備をしていた自警団の男性が、何者かに頭を撃ち抜かれて即死しました。
昼間に数万人がデモをやっているところで数百人射殺するよりも、毎晩何十人か射殺したり誘拐して、「デモに行くと夜中に殺される」という噂をソーシャル・メディアで拡散する方が、国民を萎縮させる方法としては効果的です。昼間のデモの時は、軍と警察は顔写真を撮り続けていれば効果があります。
2月20日に2名が射殺されたのは、第2の都市マンダレーで、ストライキ中の造船所と支援に来た人々の集まりでした。それほど多くの人々が集まっていたわけではありませんが、軍の兵士も投入されて、実弾射撃で鎮圧しました。
https://twitter.com/NyinThar/status/1363066238818131969
国軍は、公務員や国営企業でのストライキを特に問題視していて、特にそこから潰しにかかっています。
マンダレーで鎮圧にあたっているのは、2018年のロヒンギャ虐殺の実行部隊であった第33師団です。師団全体が米国の制裁対象になっています。この任務のために、実績のある第33師団は先週マンダレーに配置転換されました。
ミャンマーで部隊展開以降最大のデモ
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
ヤンゴンのような数万人が集まるデモは、国軍の側もさせるがままです。一方で、夜間にデモの指導的立場にあった人々を自宅から連行したり、各所で何者かが火をつけたりして、徐々に混乱と不安を広げています。
国軍は戦いのプロなので、敵に勢いのある時に正面からぶつかろうとはしません。徐々に撹乱しながら、敵の疲れるのを待ち、不安と混乱を広げ、崩れだしたらそこから突き崩していきます。
以下の動画は、昨夜、ストライキを組織している鉄道労働者たちの宿舎が取り締まられている様子です。
https://twitter.com/soezeya/status/1362055393434767367
https://twitter.com/ShweSinHan1/status/1362072194805686274

【衝撃】日本人が見えていない、日本の「ビッグビジネス」
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
日本でテレビ放映される新作アニメは年間200作品を越えています。そのほとんどは深夜帯です。1年間に200の新作ですから、日本人でもそれらを全部観ている人などいません。「新作を全部視ていなければオタクとはいえない」というような文化はもうなくなりました。
アニメの視聴者層は多様化し、もはや一体化したオタクの共同体などというのは、過去のものです。そもそも、オタクという文化も属性も絶滅危惧種です。関心が多様化したので、「おまえあの名作を視ていないのか」というようなマウンティングは意味をなさなくなりました。これと同じことが、世界の日本アニメファンの間でも起きている、ということです。
毎年200もの新作テレビアニメがリリースされる国など、日本以外にありません。しかし、アニメ制作会社の労働環境がブラックであるのは広く知られたことですが、毎年200の新作、というのが過重な労働量となって、制作会社スタッフにのしかかっています。長時間労働、薄利多売の業界です。
日本アニメのグローバル展開を支えているのは、何といってもNetflixとAmazon Primeとbilibili動画(とYouTube)です。日本のアニメ業界は、収益面においては、中国の動画サイトに加えて、Netflixからの発注で、何とか一息つけている状態です。
日本アニメが生き残るのに必要なのは、当たり前ですが、日本でアニメの制作が続けられることです。今起きているのは、中国の国策支援で潤沢な予算を持つ中国のアニメ会社が、日本のベテランアニメスタッフを高待遇で次々に引き抜く、ということです。アニメの制作工程もグローバル化しているので、人材交流も必要ですが、制作の主導が日本か中国か、というのは、アニメ文化の中身がまるで違ってきます。
日本はアニメやゲームをつくりたい人間(YouTuberもいいですが)が世界中から集まってくる国であるべきで、好待遇でつくりたいものを自由につくれる環境があってこそ、人が集まってきます。ブラックな労働環境を見て帰ってしまう外国人も多く、微妙な段階にあります。

【緊急提言】経済を回すには「ゼロコロナ」戦略に舵を切れ
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「ゼロコロナ」戦略の代表例は間違いなく中国でしょう。それは、毎日何千万人でも徹底的に検査を行い、巨大な収容施設を用意しておいて、陽性が出れば、泣こうが喚こうが、その人の商売が潰れようが、強制的に隔離する、というものです。濃厚でなくても接触者も隔離します。このために、人民解放軍も動員されました。
こうすれば、限りなく「ゼロコロナ」に近い状態を維持して、発生してもすぐに抑え込めます。中国の「ゼロコロナ」戦略をよりパーフェクトに実行したのが、台湾、ベトナム、シンガポールでしょう。似たような戦略をとろうとしたものの、徹底できなかったのが韓国です。韓国では、クラスターのあった新興宗教の教会や同性愛者のコミュニティに検査を行うことが何か月もできずにいました。日本は、検査も隔離もまるで不徹底でした。
2020年の東アジアのGDPの実質成長率を高いところから並べます。
台湾 +2.98%
ベトナム +2.91%
中国 +2.3%
韓国 -1%
インドネシア -2.07%
日本 -4.8%
人口500万人の島国であるニュージーランドはモデルになりません。ニュージーランドは、外国人の入国を早期に制限するだけでも、十分対策をとることができました。米国もヨーロッパ諸国もニュージーランドのようにはいかないことはわかっています。かといって、中国式「ゼロコロナ」はできないので、ワクチンしか頼るものがないのが実情です。
ロックダウンでドリアン消費に陰り 中国依存高まる マレーシア
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
2019年のタイとマレーシアにはドリアン景気が訪れました。つくればつくるほどアリババが買い上げて中国で売ってくれました。自分の畑をドリアン畑に変える農家が続出し、ドリアン長者が現われました。そしてマレーシア国内ではドリアン価格が高騰し、ドリアンは東南アジアの庶民には手の届きにくいぜいたく品になってしまいました。
2020年は、様相が変わりました。特にマレーシアでは外出制限が強く、マレーシアの国内需要が急減しました。まだしも幸いなのは、中国にはまだ売れる、ということです。それでも値崩れを起こしています。
今のマレーシアの農産物の売れ筋はゴムでしょう。ゴムの樹からとれるゴムは、医療用ゴム手袋などの製造に需要があり、価格が上がり続けています。
グローバルな情勢に合わせて右往左往しても、次の年には儲かるかわからない、というむずかしい産業になっています。
スー・チー氏の拘束 さらに継続へ 軍への反発一段と強まるか
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「無線機を違法に輸入して使用」というのは、スー・チー氏のボディーガードが使っていたトランシーバーのことです。この容疑は、2月1日にスー・チー氏を逮捕した時点でのものです。「バターナイフを持っていたから銃刀法違反」といった類の、逮捕するための逮捕、微罪逮捕というやつです。
2月16日にスー・チー氏は新たな容疑で起訴されたことが明らかにされました。自然災害防止法違反、ということですが、何かというと、新型コロナウィルス感染拡大の可能性があるにもかかわらず家族以外の人間に会った、というものです。このような容疑で逮捕された人間は、ミャンマーでは他にもう1人、やはり2月1日に逮捕されたウィン・ミント大統領です。
この2つの容疑についての次の裁判は3月1日で、裁判は何か月も続く見込みです。拘留は、その期間中は続く可能性が高いでしょう。
スー・チー氏勾留17日まで延長 裁判所の許可なく逮捕可能に
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
拘留期限は国軍側がその気ならいくらでも延長できます。
その間にも、軍・警察による弾圧が強化されつつあります。今はまだ全力で弾圧するのではなく、主だった指導的人物を割り出して夜中に拘束したり、混乱と不安を拡散させている段階でしょう。
きょう、第2の都市マンダレーであった警察による銃撃の模様。普通に実弾を水平に連射しています。死者はいないようですが、負傷者は確認されています。
https://twitter.com/walone4/status/1361325012670636042
https://twitter.com/SweSettAye1/status/1361294308523999233

【干場弓子】出版不況「3つの要因」と「2つの成長戦略」
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
日本の国内市場が中途半端に大きいのが海外進出が進まない理由、というのは多くの産業についていわれてきたことです。それでも、日本の国内市場が収縮していく以上は活路を求めて海外進出していく、というのが今までの「失われた30年」であったと思います。
それまでの製造業に加えて、小売業も、飲食業も、食品企業も、不動産業も、東アジアを中心に海外展開していきました。成功例もあれば失敗例もあります。
その中でも、出版業が国内市場にしがみつかざるをえなかったのは、言語と文化を前提とした産業だからでしょう。教育産業、公文やベネッセのようなところは、むしろコンテンツとしては世界共通のところがあり、東アジアで急速に広まりました。しかし、出版業は、集英社や角川のようなマンガ大手を除けば積極的な展開は限られていました。アニメならすぐ広まるのですが、マンガは簡単ではありませんでした。いわんや、小説などは中国、韓国、台湾以外では、かなり購買層が限られます。中国、韓国、台湾は世界中でも別格で、ライトノベルなども相当に売れています。
それら以外のコンテンツで日本発の本がヒットすることもあります。「ときめき片付け」とか「生きがい」とかです。しかし、こういうのは何の拍子でヒットするのか、本当にわかりません。
ある程度安定した需要が見込めるのは、日本発の絵本ですね。これも中国、韓国、台湾ですが、すでに安定した市場があります。韓国で近年最も売れた日本の本といえば、『おしりたんてい』でしょう。日本の絵本は欧米の絵本以上に共感を得やすく、教育効果があり、翻訳されたものはかなり売れています。

【週末に読む】バイデンの中国外交、7つのファクトチェック
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
バイデン政権の対中外交は、オバマ政権への回帰ではないでしょう。ただし、米国は中国に対する決定打を持っていない、というのはオバマ政権の時から変わりません。
キャンベル氏は、2019年に「武力衝突なき競争 アメリカはいかにして中国の挑戦に応じながら共存するか」という論文を発表しています。
https://www.foreignaffairs.com/articles/china/competition-with-china-without-catastrophe
トランプ政権にしてもそうですが、米国からの武力行使という選択肢が無い以上、中国側からの武力行使を抑止したうえで、経済面の競争で中国を圧倒するしかないでしょう。軍事においても経済においても要になるのは、日本はもちろんとして、インドでしょう。それに、英国、オーストラリア、東南アジア諸国、ヨーロッパ諸国の同盟強化によって、この競争で優位に立つ、というのが目標になります。
そうなると、バイデン政権の対中外交のうえで、やはりTPPがカギになります。米国のアジアへの関与はかつてアジア太平洋とかAPECとかG2とかいっていた、中国との共存協調を前提としたものではありえなくなっています。
ミャンマーでプライバシー保障法停止 令状なしで拘束可能に
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
国軍側は、昼間に数万人のデモを正面から弾圧するのではなく、夜間に反クー・デタの運動の指導的立場になりうる人物を片っ端から連行しています。昨年の総選挙で選挙管理委員会を務めた人たちも地区レベルの末端まで拘束していますが、これは、(国軍側の政党が大敗した)総選挙が不正なものであったと自白・証言させるためでしょう。
国民のプライバシーと身の安全を保障するいくつかの法律を国軍が停止したことにより、
・令状無しでの無差別の拘束
・拘束した人間の無期限の拘留
が可能になりました。
国軍は経済オンチですが、戦いのプロです。そして彼らの得意とする戦いは、2017年のロヒンギャ虐殺のように少数民族の社会を壊滅させることです。それは、情報戦から始まります。まず、社会に不安を拡散します。
2月12日、国軍は2万3千人の受刑者に恩赦を与えて釈放しました。彼らは国軍から、各地で放火や略奪、暴行を行うことを条件に釈放されたという噂が広がりました。実際、国民の大多数がそう信じているし、おそらく国軍も積極的にそういう噂を拡散したでしょう。
こうなると、フェイスブックは諸刃の剣です。今、専ら広まっているのは、元受刑者たちが火をつけて回っているとか、子供をさらっているとか、暴行された、貯水タンクに毒を入れていた、とかいった投稿です。実際、夜間の火事は多発しているようです。国軍がロヒンギャ迫害を始める時にやったのと同じ手法です。
町の人々は地区ごとに自警団を結成し、検問を設けています。地区に住んでいる医師や教師、大学生を夜間に警察が逮捕しに来るのを警戒している、ということもあります。そして、火をつけに来た元受刑者ではないかと疑わしい人間がいると拘束してリンチしたりしています。そういう投稿もフェイスブックで拡散されています。
軍は直接手を下さず無秩序と混乱、疑心暗鬼をつくりだし、やがて人々にあきらめさせ、国軍による統治もやむなしと受け入れさせる、というのは、軍政が権力を固める際に古典的な手法です。1990年代のアルジェリア内戦や2010年代のシリア内戦中も散々使われた方法です。国軍は、人々がこれに抵抗する術が無く、非常に効果的であることをよく知っています。
国連、スー・チー氏ら解放要求 内容後退、中ロに妥協
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
国連人権理事会の決議は、何の拘束力もありませんが、各国が自国の立場を表明する場にはなります。また、米国が脱退していることもあり(バイデン政権で復帰しました)、国連の中でも、中国やその友好国、あるいはサウディアラビアなどが活発に支持を集める活動をする場にもなっています。
特別会合では、米国とEU、オーストラリアなどの同盟国がミャンマー国軍を強く非難、日本は「民衆への暴力はよくない」といった主張をしました。
中国は特別会合を開くこと自体に反対で、「各国の国内問題を人権問題として扱うことは内政干渉になるのでやめるべきだ」という主張でした。ロシアは、ミャンマー国軍を最も擁護し、やはり米国などが内政干渉をしているとして非難しました。
国連人権理事会というのは、だいたいいつも、このような型通りの展開をします。中国やロシアとしては、単に反対だけしていても利益にならないので、決議内容が可能な限り毒にも薬にもならない内容になるまでゴネてから賛成します。このあたりが、トランプ政権が国連人権理事会から脱退してしまった背景です。

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