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最大15万円を支給 オンデーズの「社内出稼ぎ制度」、1年が経過して見えてきたこと
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
人手不足の「濃淡」解消のための面白い取り組みです。転勤や勤務地をまたぐヘルプはこれまで従業員に我慢を強いて実施されるものでありましたが、昨今の自己実現重視と「個」尊重のキャリア観では、強制しかねるものになってきました。
同じように、たとえば公募制度での異動を促進すると、とたんに「不人気な勤務地」「不人気なポジション」問題に頭を悩ますことになります。
(逆に言えば不人気ポストでも無理やり異動できるのがそれまで日本企業の組織運営上の圧倒的なメリットでした。なぜかあまり自覚が無い人が多いですが、国際的には異常ともいえる慣習です)
オンデーズは、そこを金額的な手当てと複数店舗を見られる育成観点で乗り越えようとする施策です。人件費に余裕がある全国チェーンでは、模倣がでてくると思います。
みんな大好き?「世代論」で今年の新入社員を見てみると…「1日で辞めた」との声も、「新NISAタイプ」だそうだが
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
■世代論は世代論批判と常に一緒に現れてくる言説です。実証的にはほとんど立証されない言説なので、世代論もいつでもできますし、批判もいつでも簡単にできます。
例えば大卒離職率など長期的にほぼ変わっていません。「すぐやめる」新人など全体で見れば昔から一定です。
■特に最近は情報社会化で「世代」の期間が短くなって、より苦しいものが多いですね。実証的には、大きな社会イベントがない限り、少なくとも5-10年くらいの括りで見ないとコーホートとしては括るのは難しい印象です。
■それでもなお世代論なるものを積極的に読み解きたいのならば、世代論とは、後続世代のことを「どう見たいか」という欲望の言説として見ることができます。
そこにはベテラン世代が苦しむ部下のメンタルヘルス問題やハラスメントに厳しすぎる風潮など、「その他の問題」が背景として存在します。
つまり、世代論は合っていようが合っていまいが、「こういう世代だからしょうがない」というラベリングと諦念の言説として機能しているということです。
■また、世代論は、その論者が「どこを見ているか・見たがっているか」も表します。ジョブ型や雇用流動化言説と同様に、今の多くの世代論は「正規雇用者(しかも大手)」のことしか見ていないことがほとんどです。あとスタートアップ界隈の論者はアメリカのことばかり見がちです。
同様に、かつて、パートアルバイトが注目されたときには「フリーター世代」という世代論が隆盛しました。みな忘れ去りましたが。
■このような「言説の消費」のような視点を持つと「安直な世代論」とも「実証主義的世代論批判」とも違う視座が得られます。社会学タームで言えば、機能主義的な視座です。
新社会人のスピード退職 相談多数 背景は 離職防止でAI活用も
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
■退職リスクは当然統計的には弾きだすことはできます。こちらは経歴や休みといったハードデータレベルのようですが、「キャリア価値観」「就業価値観」のようなソフトデータを組み込めばよりモデル精度は上がっていくでしょう。
■しかし、入社前選考プロセスに組み込まれると危ないですね。内定辞退リスクの問題が大炎上しましたが、離職リスクの事前察知は「裏でコソコソやってる」感があるためにいくら許諾を取ったとしても反感を買いやすいでしょう。
■私見では、人も組織も「変わっていくのが当たり前」という可変性の高まりと、組織内のリアリティは組織内でも統一されていない(どんな組織に見えているかが、メンバーによって違う)という現実の多層性を考えると、組織と人の「マッチング」発想はもう限界に近いと考えています。※この点は、拙著「転職学」で議論しました。
「自分が快適なのが一番」パジャマで出勤しはじめた中国の若者たち | “進化系”オフィスルックに衝撃
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
一部だとは思いますが、社会の個人化を示す面白い現象ですね。
装いは「個人の嗜好性」だけではなく「他者の目」をどれくらい気にするか(内面化するか)によって変わってきます。顧客折衝の無い職種がカジュアルになるのは万国共通です。顧客の目が気にならないから。
また、中国は初対面の他者への信頼が低くて既知の知人への信頼が高い、極端な「身内びいき」社会です。だからこそ通勤途中の「見知らぬ他者」の目が気にならず、社内の「身内」の評価が変わらないならもう装いを気にしないのかもしれません。日本も同様の社会なので、日本でも増えてくるかも。
あとはパジャマ通勤者たちが、電車通勤なのか車通勤かも知りたいですね。
【必修】転職=正解?年収アップに繋がるキャリアの作り方
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
能力主義管理が普及した70年代、その狙いは「脱・年功序列」でした。そして能力主義管理がいきわたった2000年代以降、ジョブ型・職務給が人気を集め、その狙いもまた「脱・年功序列」。
日本企業の戦後人事管理は「脱・年功序列」という夢を追い続けながら、需給バランスの波に揺られてきた歴史です。そしてまた「NEO年功序列」という話。ビジネス健忘症はそろそろやめ、本質的議論をするべきです。
まず、ジョブやパフォーマンス=「実力」と呼びたがるものだけで処遇は決まりません。ポジションが上がるほど、「会社の事業を多く経験している」「社内コミュニケーションのツボがわかっている」といった経営層として必須の「能力」が、当然処遇に紐づく。そのため賃金は年齢と比例するし、その係数は企業業績に依存する。これがどの世界の組織マネジメントでも共通の原則です。外資系コンサルでもトップポジションはベテランばかりです。
組織マネジメントの変数を無視して「実力主義」に見える賃金をいくら唄っても、リアリティのない空論ばかりになります。
【仰天】面接を麻雀に変えたら、社員がやめなくなった
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
麻雀採用、以前からありますね。麻雀やその他ゲームを採用に用いると「〇〇力が見れる」「仕事に通じる」などもそのたびに議論になります。
では、それが採用後のパフォーマンスを少しでも予見できているのでしょうか。ババ抜きや人狼ゲームよりも麻雀の予測力のほうが高いのでしょうか。誰もきちんとトレースしません。
企業や採用担当者が見たがる「〇〇力」は、抽象度と文脈依存性が強すぎるが故に、ほとんど「見ている気になったつもり」レベルのものです。大卒離職率3割などもずいぶん昔から変わっていません。
新卒採用は真実性ではなく"事実性"で回っている、と良く言いますが、「見たつもり」を重ねることで意思決定しやすくするプロセスです。結局、このようにメディアに載ることでの採用マーケティング効果が最も確実に見込める効果でしょう。
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