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「勝手にパスワード解除ハラ」「上司降格ハラ」…Z世代が本当に遭遇した新種ハラスメントの恐怖「夢ハラ」「ロンハラ」「ビルハラ」って?
集英社オンライン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
若者目線で書かれており、実質的にハラスメントではないことが多く含まれていますが、エンターテイメント目的の記事と理解して読みました。例えば、「夢ハラ」ですが、これはハラスメントというより、「その上司」には話したくないのに立場上断れないと若者が判断して、「でも、話さないといけないのかなぁ」と考える若者の葛藤の表現だと思います。 もしこれがハラスメントレベルで駄目ならば、企業が年に1~2回実施している「人事面談」など、ハラスメント中のハラスメントになってしまいます。人事面談とは、上司が部下のこれまでの活躍を評価し、今後の部下の仕事の目標や方向性を示す場であり、病歴がある方には現在の状況を聞いたり、家族で介護が必要な方がいる場合はフォローして、配置転換の際の情報にする類のものです。この種の面談は、本来企業の人事システムの運営上、重要な意味を持つものです。上司は、部下の人事権があるわけですから、部下の生活環境の情報を知ることは当然に必要なことですし、リスクマネジメントの上でも必要なことだと思います。 近年、大学では、学生が「就職活動」に関することを所属するゼミナールの教員に相談することが、ほとんどなくなりました。しかし、少数は相談をしてきます。相談があれば知っているアイディアは提供し、可能であれば時間を捻出し、つながりがある人物を紹介するなどできます。実際にそのようなことで希望がかなうきっかけになるケースもあります。このような「手段・策略」について、近年日本人は苦手で、外国人留学生が圧倒的に得意だと思います。 近年、大学の「ハラスメント相談室」には、「指導教員に就職先を聞かれた」という「訴え」が寄せられるようになっているそうです。この記事風に表現すれば「就聴ハラ」でしょうか。組織の考え方は、プライバシー重視の観点から、「プライベートに触れてはいけない」ですから、大学界では、教員に対して「個人の就職活動のことは触れない」ようにと、ハラスメント防止指導が行われるようになっています。 過剰な親切心が自らの首を絞める時代、「本来の業務でないところには立ち入らない」が正しい行動との理解が深まれば、結果として、若者が損をする可能性があると思います。
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J&J、1.7兆円規模の和解案提示-ベビーパウダーによる卵巣がん訴訟
Bloomberg.com
高橋 義仁専修大学 商学部教授
同社のベビーパウダーについて、調達した原料タルクに発がん性を有するアスベスト(石綿)が混入したことから、卵巣がんを発症した20名に対し、21億ドルの賠償金支払いが確定しています(ミズーリ州セントルイス控訴裁)。その後、集団訴訟が始まり、窮地に立っています。 非常に多数の訴訟を受け、その対応策としてJ&Jは、ベビーパウダー事業を補償目的子会社LTL Management LLCを設立して債務を移管したうえ、その子会社に対して破産保護申請(事実上の補償額の上限設定)を行いました。しかし2021年10月、この子会社の破産保護申請は、裁判所に棄却されています。 記事にあるように、J&Jが破産法裁判所から補償目的子会社の破産を認めてもらい、この問題の金銭解決の確定を得るには、原告の75%から支持を取り付ける必要があります(米連邦破産法11条)。先の棄却は、多数の原告の支持が得られないことが理由です。 そこで2023年4月、J&Jは、 (1) 現在および将来のすべてのタルク請求を解決するために、補償目的子会社は、最大89億ドルの現在価値を25年間にわたって支払う。 (2) 同社として、ベビーパウダーに使用されていた「タルク」に含まれていた物質とのがん発症との因果関係は、引き続き認めない。 という内容の和解案を提示しました。 また、「現時点の賠償額に本社は耐えられるが、増加した場合は本社自体が倒産する危険性がある(倒産すれば和解金は払えない)」と説明し、再度多数原告の支持を求めました。 しかし、それも進展せず、昨年の提示額に21億ドル上乗せし、110億ドル(約1兆7400億円)での一括和解案をあらためて提示しました。記事には数千人の原告とありますが、過去の報道によれば、同社への潜在的な原告の人数は、約6万人(2万6000件を超える件数)とみられるため、今回の条件の和解も簡単ではないと感じます。(セントルイス控訴裁判決の影響が重すぎます) 当時のタルクは、他社、他の化粧品などにも汎用されていたと思われます。石綿発がん説はあっても、すべての症例の因果関係が不明確なまま巨額集団訴訟で争われている点については、巨大企業の事業リスク(補償が青天井)を明示しており、持ち株会社指向が高まる転換点になりそうです。
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「ちゅ~る不買運動は起きない」は甘い!いなば食品が一刻も早く始めるべき危機管理対策のポイント - 元文春編集長が「今」語りたいこと
Diamond Online
高橋 義仁専修大学 商学部教授
元週刊誌編集長の目線として、週刊誌が売るために「記事を仕立てる」手法について、興味深く読ませていただきました。確かに、週刊誌が考えるインパクトが高い手法の逆をいけばそのリスクを抑えることができます。その意味で当記事をお勧めします。 記事前半の論点は、「商品の安全性」について言及すれば読者をひきつけることができるという内容です。証言の寄せ集めによって内容が構成されていますが、科学的な根拠をもとにしているとは言えません。全体像として、「こんな経営者だからこんな粗悪な商品が売られているに違いない」というトーンでまとめられています。 私は「ちゅ~る」を舐めたことはありませんので、塩分量を実感したことはありませんが、一般に動物が、「ナトリウム(塩分)への耐性は高くない」という点は事実だと思います。しかし、これが病気のもとになるかは与える量との関係によるので何とも言えず、それよりも「量的に多くを与える飼い主側に原因がある可能性にはまったく触れず、いなば食品経営者を叩く構図をつくる手法に製品を使う」発想が恐ろしいと思います。 自身の経験または出典を調べて信憑性を確認する方には、このような週刊誌の手法はまったく効果的ではありません。しかし、一般にこの手法が有効とされるなら、読者は賢くならなければいけないと感じます。 いなば食品に関しては、「新卒雇用」の問題がありました。この点についてはおおむね事実と認識し、今後企業が改善を図らないと、優秀な人材が採用できなくなるという点において、経営リスクが高いと思います。 記事には、「就職エージェントを叩くことも週刊誌記者の仕事」と書かれています。このケースで就職エージェントは、「いなば食品」の広告主の立場です。広告代理店は審査機関ではないため、掲載基準を満たしていれば募集広告の掲載はできたでしょう。その責任を就職エージェントに求めることは困難です。記されている労働基準法・労働契約法違反の疑いの捜査は「労働基準監督署」の仕事です。 週刊誌が不祥事を起こした企業の広告を掲載したことは幾度となくあると思いますが、そこで週刊誌が非難を受けたことや自己反省をしたことは記憶にありません。私自身、週刊誌に正統派の記事を頼まれて書くことは歓迎していますが、週刊誌の興味の対象にはなりたくないと感じます。
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カスハラ「対応いたしません」 厳格な方針発表―JR東グループ
時事ドットコム
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事に書かれている内容のカスタマー・ハラスメントには、企業は本来対応すべき必要は全くありません。発表された方針に賛同します。お客様と事業者は契約関係に基づく、対等な関係ですから、犯罪相当行為には毅然対応することになんら問題ありません。ただ、JRのヘビーユーザーである私の感覚では、JR東およびグループ企業は、以前から、むしろ相当に毅然とした顧客対応をしていたと思います。 JRグループの場合、規則が合理的に設計されていないことがあり、かつ現場の裁量も極端に制限しており、「現場でよく問題にならないな(なっているだろう)」と感じることがよくあります。親交がある関係者によれば、「本社の絶対的方針に、現場が一切意見を言えない一方通行かつ極めて厳格な社内規定」が現場をそうさせているようです。 最近経験したケースとしては、在来線の電車運行時間間隔を調整するためとして、在来線を意図的に遅らせたことが原因で、目的地までの最終新幹線に間に合わなかったにもかかわらず、宿泊の補償はもとより、顧客の乗車券と特急券を乗り遅れとして無効にするケース。(駅係員さんによれば、在来線担当は新幹線と連絡を取る権限が与えられておらず、何もできない。駅員としては指令に従うことが仕事の範囲と教えられている、との回答) A駅→B駅→C駅までの長距離ルートで、販売した駅員さんはA→BとA→Cの価格が同額で販売されていることは知りながらも、乗客にはこれを説明せずにA→Bまでの切符を販売したうえ、その後乗客がA→Cに行き先変更をする必要があり、変更しようとしたら、「記載区間と異なるから」として、B→Cの区間を別途請求するケース(途中下車を伴わず)などがありました。旅客収入拡大のために策定している規則のようですが、独占企業だから成立するだけと感じています。 JRグループの場合、こういったところにもトラブルの原因があるように感じますが、このような発生原因は、航空会社には見られない種類のものと感じます。
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吉本興業 松本人志さん関連報道を受け 対応を発表 「100名以上に対するヒアリング」「時代に寄り添う意識の醸成・徹底を図る必要性を痛感」
TBS NEWS DIG
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「芸の肥やし」と言えば何でも見逃されるような時代は終わっており、「社会的に許されない行為を所属タレントに分別させるように対策を施す計画」に関するプレスリリースです。 笑いをビジネスにするにあたって、「自虐的な内容」は自らがエンターテイナーとしてとるものですから生き残ることができると思います。一方で、他者を貶めてとるタイプの笑いや、自虐的な内容であってもその表現対象が特定の集団を対象にしているものなどは、「人権」が認識される時代にはそぐわないと思います。そのような視点から、「笑いの内容」にコンプライアンス(法令遵守)が適用されることに対して、賛同します。 (1)のガバナンス(企業統治)体制の強化については、プレスリリース中には明確に示されていません。本来、コーポレート・ガバナンスという専門用語は、第一義的には、企業経営に対する監視体制を指します。プレスリリースでは、外部から招聘した監視チーム(ガバナンス委員会)により、「所属芸能人がやっているおかしなこと」が指摘されていることが読み取れますが、「指摘されるまで現経営陣では善悪の判断がつかなかった」といっているのと同義であり、他業種からはあまりにもかけ離れた低い見識です。そうであるなら、監視チームレベルの見識を有するメンバーを社外取締役メンバーとして選任するなどの方法により、経営陣自体の改革が必要になってきます。 (2)のコンプライアンス(法令遵守)の周知徹底は、上記(1)の確実な実施に対して、不可欠な実行プランという位置づけだと思います。 (3)の人権の尊重・人権ポリシーの策定について、今後も取り組まないのであれば、社会的存在としての企業とは見なされないでしょう。今回策定の理由について「芸能活動も例外ではないから」としています。当然のことだと思います。 (4)のSNSポリシーの策定については、何らかの制限をつけることを意図していると思います。例えば、コンプライアンス教育、コンプライアンスの理解度試験などの合格者にSNSでの発信資格を与えるようにするなどのことを考えているのかもしれません。 芸能を管理することについて、賛否両論あるとは思いますが、少なくとも人権を侵害して取るタレント活動(笑い)は不法行為ですから、これを行わないよう、管理組織としての対策は必要になるでしょう。
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保湿塗り薬、10月に負担増 美容目的の不適切利用、是正も―厚労省
時事ドットコム
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「ヒルドイド」という商品名で処方されている医薬品(一般名:ヘパリン類似物質)は、医療用医薬品(保険適用薬)です。医療用医薬品とは、医師が診断した上で発行する処方箋に基づいて、薬剤師が調剤して渡される薬です。 「ヒルドイド」を次の疾患以外で保険使用する(してもらう)ことは認められません。 血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期) ヒルドイドのような長期に医薬品として薬価掲載されている医薬品は、政府の裁量により、度重なる薬価切り下げが行われています。現在は最も使われている「ヒルドイドソフト軟膏」では、薬価は25g入りで600円弱とかなり安い価格になっており、医療保険が適用されれば、3割負担の約180円で入手できる計算です。「ヒルドイド」の主成分「ヘパリン類似物質」含有の一般用医薬品(薬局で処方箋なしで買える医薬品)もありますが、医療用医薬品の「ヒルドイド」と比べるとかなり高い価格で販売されています。 このような経緯から、おそらく不正に入手された「ヒルドイド」が、転売され、利益を上げるものが出てきているようです。なお、医薬品の販売許可を持たない者が医薬品を販売したり譲渡したりすると、医薬品医療機器等法(薬機法)第24条第1項の無許可販売に該当することになり、刑事罰として3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は併科される(薬機法84条9号)といった、相当に重い罪に問われます。 「『ヒルドイド』の違法な入手が急増していて、保険財政を圧迫する原因になっているから」とし、「先発薬の自己負担を特別に引き上げる」というのは、本来筋が通りません。まずは違法行為の取り締まりを強化すべきですが、不十分と思えるため、単に特定の医薬品の自己負担(原則3割)を引き上げる口実に使っているという解釈をせざるを得ません。(実際、「ヒルロイド」に限った話ではありません) なお、「ヒルドイド」は、血液の凝固を妨害する性質を有することから、「僅少な出血でも重大な結果を来すことが予想される患者」には、絶対に使ってはならない「禁忌」指定されています。
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ヒルドイド、10月に自己負担増 保湿薬、医療費抑制で厚労省
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「ヒルドイド」という商品名で処方されている医薬品(一般名:ヘパリン類似物質)は、医療用医薬品(保険適用薬)です。医療用医薬品とは、医師が診断した上で発行する処方箋に基づいて、薬剤師が調剤して渡される薬です。 「ヒルドイド」を次の疾患以外で保険使用する(してもらう)ことは認められません。 血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期) ヒルドイドのような長期に医薬品として薬価掲載されている医薬品は、政府の裁量により、度重なる薬価切り下げが行われています。現在は最も使われている「ヒルドイドソフト軟膏」では、薬価は25g入りで600円弱とかなり安い価格になっており、医療保険が適用されれば、3割負担の約180円で入手できる計算です。「ヒルドイド」の主成分「ヘパリン類似物質」含有の一般用医薬品(薬局で処方箋なしで買える医薬品)もありますが、医療用医薬品の「ヒルドイド」と比べるとかなり高い価格で販売されています。 このような経緯から、おそらく不正に入手された「ヒルドイド」が、転売され、利益を上げるものが出てきているようです。なお、医薬品の販売許可を持たない者が医薬品を販売したり譲渡したりすると、医薬品医療機器等法(薬機法)第24条第1項の無許可販売に該当することになり、刑事罰として3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は併科される(薬機法84条9号)といった、相当に重い罪に問われます。 「『ヒルドイド』の違法な入手が急増していて、保険財政を圧迫する原因になっているから」とし、「先発薬の自己負担を特別に引き上げる」というのは、本来筋が通りません。まずは違法行為の取り締まりを強化すべきですが、不十分と思えるため、単に特定の医薬品の自己負担(原則3割)を引き上げる口実に使っているという解釈をせざるを得ません。(実際、「ヒルロイド」に限った話ではありません) なお、「ヒルドイド」は、血液の凝固を妨害する性質を有することから、「僅少な出血でも重大な結果を来すことが予想される患者」には、絶対に使ってはならない「禁忌」指定されています。
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イーロン・マスクも服用する「うつ病治療」の薬物「ケタミン」を試してみた | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
クーリエ・ジャポン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
違法薬物に手を出したかのような見出しですが、正しくはスコット教授自身がうつ病を患い、その治療のために、専門家の管理下の元で、ケタミンが選択された経験の記述です。 ケタミンは低用量で麻酔時の呼吸抑制が比較的少ない麻酔薬として使用されています。それでも呼吸抑制の副作用が公表値として2~3%ありますので、安全という意味ではなく、専門資格を有する医師の位置立会いの下、静脈注射で投与されます。問題が発生した場合にはすぐ対処できるよう、呼吸・循環管理機器が整備された手術室での使用が義務付けられています。 麻酔薬は目的ごとに多くの医薬品が存在していますが、ケタミンは副作用として、強い依存性や幻覚、妄想などといった精神症状が現れやすいため、他の麻酔薬が優先して使用されるケースが多くあります。ケタミンの依存性は、世界各国で問題を発生させています。そのため、日本をはじめアメリカ、フランス、中国、東南アジア諸国等において、麻薬等の規制薬物に指定されていますので、違法に入手して手を出した者は、重い処罰を受けます。 近年、ケタミンの精神病領域での研究が進んでおり、専門的な学術書から学説を学ぶことは可能ですが、一般の方が自分の意思でこの麻薬を使用すること自体が厳重に禁止されていることから、麻薬取扱資格を有する臨床研究者に期待するしかありません。
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紅こうじ、原料から他の2物質 昨年6~8月製造ロット
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
小林製薬は、自社紅麹による健康被害の問題を2024年3月22日に発表しましたが、その後も自社では原因究明ができず、今回、医薬品のリスクの所在を認識できる能力を有する機関が調査に乗り出して、原因究明を進めていることがわかります。しかし、今後数か月、動物実験が必要になる場合は1~2年程度の時間が必要になるのではないでしょうか。 調査に時間がかかりすぎる印象を持つかもしれませんが、不純物が混入していたとしても、不純物による健康被害を結論付けるためには、ロットごとの不純物の濃度を分析したうえ、不純物の濃度と健康被害の因果関係を検証する必要があると思います。過去に健康被害の原因になることが明確にわかっていない不純物に疑いをかけた場合は、その不純物を用いて動物実験を行い、健康被害が起こることを確認することから始める必要があります。 今後、国家が、動物実験により安全性を検証する能力を有する他の製薬企業に、分析業務を委託する可能性もあります。原因究明については、しっかりした能力を有する機関の分析を待つしかありません。想定される可能性については、過去のコメントで触れていますので参照ください。(当時の意見は、現在も変わりません) 「紅麹健康被害 死亡5人のうち70代が3人 90代が1人 3人には既往歴あり 厚労省」(TBS 2024年4月9日) https://newspicks.com/news/9826095/?ref=user_1310166 「『紅麹原料』製造途中のサンプル保管 究明のてがかりになるか」(NHK 2024年4月08日) https://newspicks.com/news/9822704/?ref=user_1310166 「紅こうじサプリで腎疾患6人入院 小林製薬、想定と異なる成分か」(共同通信 2024年3月23日) https://newspicks.com/news/9748891/?ref=user_1310166 医薬品製造では必要になる事前審査なのに、サプリメントとして売り出すことができればコスト高につながる審査をスキップできる現状では、事故の発生確率を減らすことは難しいままになります。
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オゼンピックで「できちゃった」、不妊治療効果の可能性巡り議論噴出
Bloomberg
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「記事を見て、個人の判断で当医薬品を妊娠目的に使用する方が出てこないよう」願いたいです。医薬品はベネフィットとリスクの両方を確認して、適正な使用法が決められます。少なくとも片方が未確認のものは、特定の例外的な使用を除いて、治療薬にはなり得ません。記事に記載されている「ベネフィットの可能性」のみが広がることの悪影響の方が大きいとみられるため、記事配信の公益性に疑問をもちます。 オゼンピックに関しては、前臨床段階での動物での胎児の奇形形成が確認されています。専門的な知識を十分にお持ちでない方がこの記事を見て、どこかからこの糖尿病と重度肥満にのみに対し医師の処方が許されている「オゼンピック」を入手して独自の判断で使用することについては、極めて高いリスクが伴います。ヒト胎児での奇形形成確認のための臨床試験は、倫理的な理由から実施できないため、今のところ確認されていませんが、当医薬品に期待すべき範囲は、今のところ糖尿病や重度肥満の範囲であり、妊娠を望む方は、使用期間には確実な避妊をすべきです。 催奇形性のリスクの重大性については、1960年代に全世界1万人規模で発生したサリドマイド事件をご参照ください。 医師が処方のために、また薬剤師が医師の処方が適正かを確認するために、事前に熟知しておくよう義務付けられている内容「添付文書」でのオゼンピックの妊婦に関する警告文には、以下の内容が明示されています。 9. 特定の背景を有する患者に関する注意 9.5 妊婦 妊婦、妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリンを使用すること。動物試験において、臨床用量に相当する又は下回る用量(最大臨床用量でのAUC比較においてラットで約0.3倍、ウサギで約0.3倍、サルで約2.6~4.1倍)で、胎児毒性(ラット:胚生存率の減少、胚発育の抑制、骨格及び血管異常の発生頻度増加) 、ウサギ:早期妊娠損失、骨格異常及び内臓異常の発生頻度増加) 、サル:早期妊娠損失、外表異常及び骨格異常の発生頻度増加)が認められている。これらの所見は母動物の体重減少を伴うものであった。
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いなば食品、日本語が意味不明な釈明コメントが物議…ヤバい同族企業の典型例か
ビジネスジャーナル
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事に書かれている内容が事実であれば、問題点は3つあり、第1に労働契約法上の契約違反、第2に社宅運用に関する一般的な認識のずれもしくは違法行為、第3に企業側の公私混同(労働基準法違反および創業家の税務上の問題の存在)です。 第1の労働契約が締結された後に企業側が一方的に給与を下げたという内容は労働契約法上の違法行為に当たりますから、従業員は従う必要はまったくなく、企業には本来の給与を請求できます。企業が応じなければ、司法に訴えれば解決すると思われます。 第2の社宅運用に関してですが、本来社宅とは福利厚生の手段として活用されるものであり、使用する「権利」を従業員に与えられるというものです。従業員はその福利厚生に魅力を感じなければ、使わないという選択肢が与えられているはずです。いなば食品では給与の天引きシステムとして使われ、また社宅経営を企業自身が行っていたと思われる内容ですから、この方法を用いることで、実質的には実質給与の削減がなされているのでしょう。強制なら違法性が高いため、行政から早々に指導を受けると思われます。 第3の問題点は、そのような社宅居住者に、創業家のお世話をさせていたとみられる点です。お世話には強制性はないため、当然に従う必要はありません。もし強制させているなら、対価の支払いが必要になると思います。また、その報酬をいなば食品の経費で支払うことは、税務上許されないでしょう。 同社の株式は、同族の資産管理会社が100%所有しており、外部の目にさらされることもなさそうです。しかし、今回は多額の費用をかけて採用した社員が入社せず、他社に流れたことでいなば食品は莫大な損失を受けています。当然の結果でしょう。また、今後の人事戦略上の悪影響も非常に大きいでしょう。「企業は人なり」という言葉の意味は、経営資源のなかでヒトが最も重要で代替できない資源という意味と理解しています。同社は、人材採用難の現状を全く無視しており、これでは企業経営がうまくいくはずはありません。
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円安に柳井会長「日本にとって良いわけないですよね、これ」企業経営者から懸念の声
TBS NEWS DIG
高橋 義仁専修大学 商学部教授
ほとんどの企業が採用している「ドル建て」の場合、輸出型の企業は円安により、莫大な利益を上げています。例えば、自動車産業などが典型的で、海外で台数ベースの売り上げが拡大しているわけではないのに、ただ、為替変動で利益が積みあがっています。また、「外国人を対象にできる」観光業については大好況に授かることができます。 柳井会長も自社がこのパターンに当てはまっていることはわかっていながら、「企業の実力ではない」と言っているわけでして、おそらく社内で部下に対し、「今の実力は君の実力によるものではない。もっとしっかりと分析しなさい」などと、部門の好業績を報告してくる部下とのやり取りを頭の片隅に置きながらの回答でしょう。 一方、一般消費者にとって、急激な円安は輸入品の購入額の高騰、原料に輸入品が入っていればやはり高騰します。 大学教員の目線としては、海外に出ていくハードルが上がることから、学生や大学等での研究者の海外経験の低迷(円高と物価高で、日本の給与水準では費用が支払えない)により、将来日本人が世界的なフィールドでの活躍が難しくなる(他のアジア諸国人材が優先される)など、将来の国力の低迷が起こることを危惧します。これは現実に起こっています。 海外企業に買収された元日本企業(海外企業の傘下)で働いているものの、幹部の多くは世界を知る欧米アジアなどの外国人が多く、その下で他の先進国と比べ格段に低い所得でこじんまりと生活するというイメージの将来が待っています。 すでに海外での売り上げが十分に大きい企業は、本音では円安は歓迎です。
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富士フイルムが北米に約1800億円投資、抗体医薬品原薬製造設備を増強
Bloomberg.com
高橋 義仁専修大学 商学部教授
抗体医薬品を含むバイオ系の医薬品は研究の難易度は高いのですが、製造についても難易度は高く、先発薬と同等の技術水準を確保することは難しく、したがってバイオ系医薬品のジェネリック薬を作ることが難しいことも、バイオ系医薬品への参入の動機になっています。 バイオ系の医薬品は、大学等の非商業系の研究室で原理が発見されることが多く、特に1980年代~2000年代には、低分子医薬品にはノウハウを持つ大手製薬企業に製造技術が蓄積できていないことが多くみられました。そこで、バイオ系医薬品の研究と量産化を早くから始めていた大手製薬企業には、受託生産事業を事業の中心に据えた企業(ロシュなど)がみられます。低分子医薬品の製造にはない特徴です。 今回、富士フィルムが米国で工場に投資する理由を3点あげます。 (1) バイオ系医薬品の製造は高利益 一般に低分子医薬品の製造コストは低いものの、バイオの場合は一般に非常に高くなります。低分子医薬品の原薬製造とは競争環境が異なるため、富士フィルムはこの領域への参入に対して積極的に動いています。 (2) 新薬研究との相乗効果をねらった製造技術の向上 基礎研究能力を有する企業が製造受託することにより、基礎研究能力が向上する傾向が見られ、その後ロシュなどはバイオ系医薬品にシフトして成功しています。 (3) 米国で事業を行う必要性 企業は医薬品の価格が安い国での事業性には魅力が低く、逆に米国市場には魅力を感じているはずです。日本発祥の製薬企業の米国シフトは加速しており、その一環として米国に製造設備を置く必要があるのも理由の1つだと思います。
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