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東証、グロース市場上場の基準上げ検討 「小粒」批判強く - 日本経済新聞
日本経済新聞
朝倉 祐介アニマルスピリッツ 代表パートナー
2017年当時よりPost-IPOスタートアップの成長性が低いこと、その一因としてのスモールIPOの横行等の問題提起をし続けて来ました。また十分なサイズ感での上場が実現できるよう、「レイトステージ投資/クロスオーバー」を標榜してTHE FUNDを設立し、実際に課題解決に取り組んできました。 また、IPOすること自体がが目的化し、上場後の継続成長そっちのけでIPOを急ぐ起業家も目にしてきました。「最速上場を目指す」「最年少上場を目指す」という発言を聞くと複雑な気分になりますし、それを煽るかのようなメディアの言説を見ると辟易します。実際、レイトで成長資金を提供するTHE FUNDにとって投資上の最大の競合は他の投資家ではなくマザーズでした。 その点で記事にある「小粒上場」に対する問題意識は非常によくわかります。 一方で、上場基準を引き上げることについては、当時も今も一貫して慎重な立場を私はとっています。この手の論調はずっと以前から存在しますが、懲罰的に上場基準を引き上げることは、盛り上がりつつあるスタートアップ立ち上げの機運に冷や水を浴びせかけることになりかねないからです。 スモールIPOが一律に悪とは思いません。過去にはSHIFTやZOZO、モノタロウ、エムスリー、日本M&Aセンターなど、上場時の規模感は決して大きくなくても上場後に継続成長を実現したPost-IPOスタートアップは存在します。 本質的に重要なのは、上場か未上場での追加調達なのか、スタートアップ側が意思を持って選べる環境を整えることでしょう。 この点、2022年以降、海外機関投資家は一気に引き上げ、レイトステージの投資家は再び急減してしまいました。海外投資家に依存した資金調達環境の脆弱さを目の当たりにしたこともあり、レイトステージに資金を粛々と安定供給する投資家の必要性を感じ、方々で問題提起する次第です。 今、上場のハードルが上がると、成長資金を獲得したくても得られないスタートアップが続出するのではないでしょうか。 本質的には上場のハードルを上げること以上に、東証に大量に存在する低迷企業の退出を促すことに取り組むべきではないでしょうか。「入るのは難しくて後は楽」では日本の大学の体たらくと変わりません。 投資家保護も重要ですが、「投資は自己責任」の原理原則に基づいた規律ある新陳代謝を望みます。
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