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曙ブレーキ、検査データを改ざん 11万4千件、2001年から
共同通信
安部 正一郎株式会社Pros Cons 代表取締役
まず、記事を素直に読むとミスリードしそうだが、カーメーカー向けの定期報告に関するデータの修正や過去データ流用の事案であり、日常検査の改ざんでは無い点は注意が必要だと思う。 以下、引用は報告書より。 >「なお、アフターマーケット用ブレーキ製品~は対象となっておりません。」p.14 >「当社は、お客様から指定された定期検査のほかに、当社が出荷する製品の品質を保証する目的で製造工程において日常検査を実施しています。」p.21 "不正はいけない"と切り捨てるのはたやすいが、日本の製造業の品質管理のリアルをよく表している一件なのではないだろうか。 一般的に、検査水準には下方硬直性があり、検査はコストセンターとみなされる。 「検査水準は落とせないが、コストを落とせ」「1秒でも早くやれ。」「なぜ、バラツキがでる。4Mで考えろ」「5why考えろ、それがカイゼンだ。」こういった号令のもと、QC、TPS活動がどんどん進んでいき、管理数値やカイゼンの水準が高まっていく。 検査水準の低下につながるから「この検査はムダだ」と言い出せず、検査精度を100%に近づけるほどコストは高まるが、コストセンターには充分な投資はできない。 改ざんしたのも過去データを流用したのも、もうどうしようもない所まで行き着いた結果なのではないか。 世界を席巻したかつてのお家芸が失われた何十年を通じ呪縛と化し、皮肉なことに品質の足を引っ張ってしまっている姿が今回の事案のように思えてならない。 報告書からは、品質に対する強い思いの一方で、現場に依存し、コントロールができていない様子が伺える。 >「なお、当社は従前より、製品の性能を十分余裕を持ったレベルに設定し開発生産しており~」p.3 >「なお、当社は、社内管理のため、お客様指定管理値よりも厳しめの社内管理値を定めて、~」p.13 >「固定された従業員が長年にわたり担当し、上長や他の従業員がその業務内容をほとんど知らない状況が生じ~」p.15 >「各製造拠点では業績を重視した生産の合理化により指定検査に必要な人員・工数を削減することもあった。」p.15 色々と対策が列挙されているが、「(3) 検査内容・検査項目の見直し」が一番今後のために効くのではないかと思う。そもそも検査とは何で、何のために行うのか。こういった姿勢が本来のカイゼンなのだろう。
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