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ENEOS系、またセクハラ=グループ企業の会長解任
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
「またENEOS!」と報道されていて私もそう思うところはありますが、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)は2023年1月にENEOSと事業統合をしたばかり。22年10月にENEOSがJREを2000億円で買収するというニュースが流れたときには、ずいぶん高い買い物をするなと思いましたが、本当に高くつきましたね。
安会長は、鹿島建設を早期退職して、JREを創業した方。風力発電事業者の業界団体である日本風力発電協会は、日本風力開発(株)が、衆院議員の秋本真利被告への贈賄罪で前社長が起訴される事態になって退会し、協会の会長職も辞すことになったので、安氏が後を継いで会長に就任したばかり(23年12月)。また会長交代ですね。
ただでさえエネルギー業界には女性が少ないのに、こういう情けない残念な事態を引き起こして、ますます不人気にしないでほしい。腹立つ。
オイシックス、藤田会長の「放射能汚染水」発言で謝罪
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
こうした非科学的で不適切極まりない発言に対して、株価下落や不買運動が起きるようになったのは、健全な動きですね。
ただ、本件は「高齢の会長がよくわからないつぶやきをしてしまった」といった甘い認識で済ませてはいけないのだと思います。
藤田会長は、農業関係者を含め多くの方がご指摘の通り、これまでも種子法、種苗法、農薬関連などでさまざまなデマをまき散らしてきたそうです。そしてそうしたデマをまき散らすことで、「そうではない安全なもの」を売るというビジネススタイル。こういうモデルは、関係者に対する風評加害にとどまらず、消費者に対して不当に高いものを買わせる不誠実な商売です。
通販生活やクレヨンハウス、生協なども、こうしたビジネスモデルをとってきましたが、いい加減もう許すべきではないでしょう。
いまベルリンに来ており、昨日大使館の方と会話する機会がありましたが、中国が処理水放出を理由にホタテを禁輸したことについて、データをもって非科学的であることを説明したらドイツの方たちはわかってくれた、と仰っていました。それでも相当苦労されたそうです。そうした努力を、福島みずほ氏のような政治家やこうした企業の顔のお立場にある方が踏みにじるのは見たくない。有権者、消費者が意見を発信していくことが大切ですね。
脱炭素と安定供給の板挟み 次期エネルギー計画に複数案
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
エネルギー基本計画は三年に一度程度見直すことが政府の義務になっています。基本計画は、文章で綴られる定性的なものなのですが、それに付随して公表される長期エネルギー需給見通しは将来のエネルギー構成を描くものです。
これまで、先進国でもこんな計画を作っているのは日本くらいなもので(欧州などで、再エネの比率などの目標はありましたが)、国際会議で話すと驚かれることもしばしばありました。
前回の計画から「これは必ず達成する計画ではなく、ビジョンのようなもの」という趣旨の注意書きが付されていましたが、2050年が近づいた今回はさらに辻褄のあう計画にするのが難しくなっている、というか、経産省は悶絶することになります。
本来、発電事業を自由化したのですから政府が計画を書くのも変な話といえば変な話なのですが、エネルギー政策の日本における重要性を考えると仕方ないとも言えます。
COP28では、各国から1.5℃目標を北極星に例える発言が聞かれましたが、そういう捉え方で考えるのか、温暖化の目標に対してそういう捉え方をすれば環境面からは非難され、必達目標として計画を書けば、エネルギー安全保障に悪影響を及ぼしかねない、複数シナリオを示して逃げれば、企業が混乱する。
いや、ほんとに悶絶です。
東北電の原発費用、電気料金を底上げ 女川2号機再稼働しても…引き下げ効果の約4倍に
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
電力・原子力関係の報道がヒドイというPickを昨日もしたところですが、ホント、多いんです。
この記事も、この世界に長い立場からすると、引用している学者さんのお名前見たところで、だいたいの想像がつくのですが、多分そうじゃない方も多いので今日もコメントします。(以前NewsPicksでも、この先生のインタビューのみで特集記事を構成しておられたので、批判申し上げたことがあります)
記事の概要は、
・東北電力の原発関連による電気調達費用は維持管理コストを含め年間1,617億円に上ることが、龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)の分析で分かった。
・今年5月以降に予定する女川原発2号機の再稼働で、同社が主張する料金原価の引き下げ効果(年間372億円)の約4倍に相当する。
・標準家庭(使用電力量月260kWh)で試算すると、再稼働による料金引き下げ効果は月額140円の一方、原発を維持することによる費用は月額611円となる。
・消費者庁の電気料金アドバイザーも務める大島氏は「月140円安くなるために、611円を支払うことが不合理なのは明らかだ」と語った。
とのこと。
これに対して、東北電力さんが既に抗議をされていますので、詳しくはそちらをご覧いただけれればと思います。
https://www.tohoku-epco.co.jp/information/1238940_2521.html
大島さんの試算は、いずれも東北電力の規制料金値上げ時における公表資料の中からデータを採っておられますが、なんと、「女川2号機単体が再稼働することによる料金原価低減効果」と、「東北電力原子力の全ユニットに係る運営費用および他社原子力との受給契約に基づくコストの合算」とを比較しておられるとのこと。東北電力さんは女川だけでなく東通にも原子力ありますし、もはや「何と何の比較をしてるの?????」としか言いようがありません。
原子力のコストが安いとは言いませんが(安価な電力を大量に供給するポテンシャルはある技術ですが、そのためには、建設時の資金調達コストを低下させるような制度設計や、稼働率を向上させる規制活動などが必要)、こういう試算を世に出すのはいかがなものかと思います。
メディアはそういう試算であることは認識して出したのか、認識もしていなかったのかわかりませんが、いずれにしても質が問われます。
志賀原発、変圧器故障など複数トラブル…北陸電「新しい知見に基づき安全対策講じる」
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
読売新聞もこんなレベルの記事を出してしまうんだなと驚いたというのが率直な感想。
さすがに北陸電力さんが抗議をされ、それを受けて、タイトルは修正したようですが、もともとは「志賀原発の変圧器、最も強い揺れに耐える「クラスCでも壊れる…修理見通し立たず」という見出しでした。
このタイトルを見ると、最も高い耐震性を備えているべきものが壊れた→原発、危ないとなるでしょうが、
耐震重要度分類は、最高がSで、その下にB、Cと続きます。
(下記を参照ください)
https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_2699.html
変圧器はCクラスで一般産業用機器と同等の耐震性でよいとされます。もちろん壊れないに越したことはありませんが、原発の安全性は「多重防護」、即ち、何かが壊れても他の外部電源やら電源車やらで安全性を確保するという考え方で設備を形成します。
いずれにしても、北陸電力さんの抗議の内容を見ると、この記事は相当ひどいものですね。
北陸電力さんの抗議はこちら。
https://www.rikuden.co.jp/opinion/index.html?1707108232
一部週刊誌が「書いて売ればいい」になっているとして批判されていますが、電力・原子力に関する報道は以前から、そうですよね。今回も、抗議されてちょこっとタイトル変えて済ませていますが、大手電力や原子力発電に負のイメージを与えることが目的化しているような記事が多いのは極めて残念です。
批判すべき点は批判すべきで、それがむしろ健全性を高めると思っていますが、復旧に全精力を注ぎながら、住民の方たちに不安を与えないように広報活動もせねばならないのですから、こうした、まったく箸にも棒にも掛からぬ記事で邪魔することに、私は大義は無いと思います。
愛知のJERA火力発電所で爆発 けが人なし、5時間後鎮火
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
以前視察させていただいた発電所での爆発とのことで驚きましたが、人的被害が無かったのは何よりでした。
この武豊火力は1号機の運転開始が1966年。もともとは中部電力の設備でしたが、今はJERA(中部電力と東京電力の火力部門の合弁会社)が運営しています。
武豊火力は、設備が老朽化していたこともあり、2011年当時、2号機は長期停止中、3号機は長期停止となるはずだったと記憶しています。しかし、福島原子力事故後、当時の菅総理から浜岡原子力発電所に停止要請が出たことにより、中部地域の供給力確保のため、緊急で再稼働させた発電所です。
当時の発電所長が「浜岡に停止要請が出たという報道を見て、それまで書いていた廃止の作業計画をどけて、再起動の作業計画を書き始めた」と仰っていたのを思い出します。
今回は、5号機(石炭と木質バイオマス発電)が運転中だったそうですが、爆発の15分後にそちらは停止させています。
事故の解明と早期復旧を期待します。
なお、JERAのプレスリリースは今日(1月31日23:20時点)3報まで出ていて、下記の通り。
https://www.jera.co.jp/news/information/20240131_1808
それにしても、なんて1月でしょう!!!
電力供給、進まぬ分散 大手寡占で災害時にリスク - 日本経済新聞
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
これは・・目が覚めるほどのひどい記事。
急速に人口減少が進む中、水道や電気など、ネットワーク型のインフラを今までどおり維持することは難しくなっており、分散型システムの導入が必要であることは、そのとおりです。
公益事業学会でも先日のセミナーで、「再エネ最大活用・GXと分散型電力システム」と題して、電事連の方にも参加いただいて議論したところです。
ただ、今回の震災からの復旧が遅いという批判から、いまの電力システム改革論を展開するのはいただけない。
能登の復旧作業の進捗がはかばかしくないのは、道路の寸断や渋滞がひどいことが大きいと聞いています。
記事の内容ですが、まず、「安定供給の責任が求められる発電や送配電は大手の寡占が続く状況だ。」という一文だけでも電力システム改革を理解できていないことが良くわかる。自由化というのは、発電と小売り事業に対して行われるもので、一般送配電事業は規制事業として残ります。ここを自由化したら、いろんな会社が送電鉄塔や電柱への設備投資をして、国中に設備が乱立することになりかねない。
東日本大震災後の計画停電を契機に、日本は「日本の今の電力システムに課題がある」としてシステム改革を急速に進めたわけですが、こういう雑な印象論で制度改革を進めるとろくなことになりません。例えば当時、「価格メカニズム(需給がひっ迫したときには、値段を上げて需要を抑える)があれば計画停電が防げた可能性があった」という議論がありました。しかし、東京電力が震災で失った供給力は太平洋岸・東京湾の火力発電所など、全体の三分の一程度にもなります。価格メカニズムがあっても、一部計画停電は避けられなかった可能性があります。一足飛びに「システム改革だ!」としたことは、相当反省すべきことだと思います。
そもそも、再エネも震災で被害を受けることもあるでしょう。この記事が言うように大手でなく、地域の事業者が電力供給網を構築するということになれば、設備のストックなども彼らが持つのか。DIYで修理できるような設備形成でなければ、より復旧への時間がかかることもあり得るでしょう。今も全国の大手電力会社から600-700人の応援が現地入りしていると聞きます。新電力がこういう技術人材を抱えられるのか。
再エネ推しも、システム改革推しもいいけれど、最低限の勉強をしたうえで記事を書いてほしい。
大手電力の電気代、低すぎなら独占禁止法違反の恐れ 公正取引委員会 - 日本経済新聞
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
記事元の提言も読みましたが、残念ながら、安定供給に対する理解が浅いことと、問題の本質から目をそらした内容だと感じました。
小売り全面自由化から8年経ってもなお、「経過措置」として規制料金制度が維持されており、問題の多くはそこにあります。
維持された規制料金制度のもとでは、転嫁できる燃料費に上限が設定されており、「不当廉売上等!」の制度になっています。競争に歪みがあるというのであれば、公正取引委員会はまず経産省に対して、予定通り規制料金制度を廃止せよと苦言を呈すべきところです。
また、不当廉売が競争を阻害しているというのであれば、消費者の不信感という曖昧な話を持ち出して値上げさせまいとした、先日の消費者庁の行為も批判すべきでしょう。
記事では「火力や原子力など大規模発電は大手電力が握る」としていますが、事業リスクを取らない小売ビジネスを認め、安定供給に必要な投資が行われなくなっていることは、理解されているのだろうか?
排出量取引、企業に参加促す 政府が20兆円支援の要件に
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
イブニングスクープとありますが、国の支援は、GXリーグへの参加等のコミットメントをした企業に限るとすることは12月14日のGX実行会議の資料で示されていたことです。
(下記のP.29)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/dai10/siryou1.pdf
政府はカーボンプライシングの制度として、排出量取引と賦課金(税金とほぼ同義ですが、額の変更について国会を通す必要が無い)の2種類を導入するとしています。
排出量取引については、既に始まっている自主的な取引制度を26年度ごろから本格化させ、2033年頃からは電力に対して有償オークションを始めてCO排出分を強制的に買い取らせるような仕組みにしていくこととしています。
一方で、化石燃料については、それを輸入する企業に対して2028年度ごろから燃料ごとの排出量に応じた賦課金をかけるということになります。
CO2に対してコストをかけるために、なぜ2つも制度を入れるのだと思われるでしょう。私も本来は一つの制度にすべき、あるいは、制度は2つだったとしてもせめてCO2のコストはそろうようにしなければ制度が歪む、と主張してきましたが、一方で、排出量取引の詳細設計などには時間がかかること、小規模な排出事業者には排出量取引は適さないといったような事情もあり、2つの制度が入る予定です。
欧州の影響か、排出量取引を推す方も多いのですが、行政コストの肥大化や政府による計画経済化(排出量は活動量に大きく左右されるにも関わらず政府が業界ごとの排出量を設定する)、ロビーイングの温床となる、短期的なクレジット取引が優先して長期的な技術開発が劣後することもある、など弊害も指摘されています。
欧州の産業界の人と話すと「今からカーボンプライシングやるのに、排出量取引するの?!(=EUの苦労を見てたんじゃないの?!)」と言われることも結構あります。
詳細設計はこれからですので、今後も注視していく必要があります。
電力システム改革:錯綜する電力諸政策/所要費用と国民負担
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
大晦日ですが、記事をアップしました。公益事業学会でご一緒させていただいている、東急株式会社の阪本さんの論考です。
今の電力システム改革は、何がしたいのかわからない。自由化しながらも規制料金を残し、さまざまな規制を強化したり、電気事業に社会福祉などの国策の代行を求めたり。
けっきょくさまざまなコストを上昇させることになっていることなど、鋭い指摘をいただきました。電気学会に投稿された論文をベースにした論考で、ちょっと長いのですが、年末年始のお時間のあるときにどうぞ。
デマンドレスポンス(DR;電力供給力不足の際に、節電等の需要側コントロール策を実施する)を議論する政府の有識者委員に「実務を知らないと断言する」とおっしゃっていますが、複数のエネルギー事業会社の立場から長年DRに取り組んできた阪本さんの悲鳴だろうなと思いました。
ご一読いただければ幸いです。
NORMAL
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