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ポーランドの夜明け?カトリック教会と非自由主義的勢力との終わりなき戦い
宗教とグローバル社会
Sasaki Shinkoポーランド語通訳・翻訳者、ポーランド政治史専門 ポーランド語翻訳者・ポーランド政治史
この記事はポーランドについてかなり偏った情報のみを基にして書かれたものとしか言いようがない。 ポーランドの現状はここに書かれているような白黒が明確なものではない。それは2005年に最初にPiSが政権を取る以前からのトゥスクとカチンスキの確執から始まる。2007年にトゥスクが政権を取り、2015年までPOが政権をとっていながら、なぜ2015年にPiSが圧勝したのか?トゥスク政権時をはじめとするPOの政治には社会が受け入れられないだけの政治利用や傲慢があったからだ。それを是正すべく政権をとったPiSはそれをさらに悪化させた。そして、まだ政権が発足して1ヶ月なので今後に期待したいところだが、現時点でトゥスクの行っていることは、憲法違反であり、やってはならないこと。PiSが8年かけてやったことを1ヶ月でやったとも言える。憲法で定められた大統領恩赦を無視し、議員を投獄したのだから、ドゥダ大統領が「トゥスクの試みをいくどとなく邪魔しようとします」というのも当然のことではないか。大統領恩赦が正しくなかったというのであれば、その制度自体を変える必要があるし、法に則ったやり方でそれをすべきではないか。トゥスク個人または政権のトップ層の判断で正否の判断を行い、法を無視する全く民主主義的ではないやり方はで変えるのであれば、ポーランドは無法地帯となり、激しく民主主義が損なわれてしまう。それを筆者は「正しいことをやっているのだから仕方ない」と言えるのだろうか。だったらPiSが行った同じやり方も肯定されるべきだ。 2014年8月にトゥスクはEUの大統領となるためにポーランドを去っており、2015年にPiSに政権交代した時にはトゥスク政権ではなかった点でもこの記事は間違っている。さらに、低年齢でのPOが勧めていたような性教育を行うことには国民の大多数が当時反対をしており、その結果が選挙に出たのであれば、それは民主主義ではないか? 結論にある「トゥスクがポーランドを解放してくれると考えた」のはあくまでも欧米人であり、ポーランド国内ではトゥスクに期待をする人は多くない。むしろトゥスクに対する信用度は低いと言える。それは、トゥスクが政権をとっていた時の記憶がまだ国民には鮮明に残っているからだ。 いずれにせよ、非常に偏った視点でポーランドの民意をよそに、外からの評価で記事を書くことには抵抗がある。
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EU、ウクライナ加盟交渉開始で合意 ハンガリーは採決から退席
Reuters
Sasaki Shinkoポーランド語通訳・翻訳者、ポーランド政治史専門 ポーランド語翻訳者・ポーランド政治史
このニュースの解釈だと、EUとハンガリーのWin-Winのように取れるが、本当にそうなのだろうか?本当に「歴史に刻まれる」美しい決断なのだろうか? EUは数日前にハンガリーへの補助金凍結を解除した。補助金と引き換えにハンガリーにウクライナ支援に賛同させるためにマクロンとショルツが提案したようだ。だが、そんなことでハンガリーは考えを曲げることはないので、ハンガリーの一人勝ちになるとPOLITICOで批判された。 https://www.politico.eu/newsletter/brussels-playbook/eu-billions-for-putins-buddy/#driving-the-day-eu-billions-for-orban そして今回の結果。今回もオルバンに退出を提案したのはショルツのようだ。だとしたら辻褄が合う。「補助金をやるんだから、ウクライナ支援が嫌なら部屋を出ろ」という話し合いだったということか?最後の切り札にEUの金を使ったということ。最善のための最小の悪のつもりかもしれない。あるいはその認識もないか。いずれにせよ、ウクライナの汚職や賄賂がEU加盟への問題の一つで、EUはハンガリーの賄賂も批判しながら、EUというかドイツはその両国の問題を賄賂で片付けるというパラドクス。ウクライナのEU加盟交渉が始められたのだから結果オーライとすんなり受け入れられるのか…。誰も疑問視しないのであれば、政治はやはり腐敗している。 https://www.politico.eu/article/european-council-summit-updates-eu-enlargement-ukraine-aid-budget-russia-sanctions/#1293609 確かにWin-Winで終わったが、勝ったのはドイツとハンガリー。ドイツはEUの金を使ってハンガリーの邪魔を最小限に抑えた手柄でWin。ハンガリーは多額の補助金も得られ、退出することでEUからの恨みを最小限に抑えられ、ロシアに対してもEUに賛同はしなかったという最低限の面子が保てたというWin。 私は個人的にはウクライナ支援には賛成だし、ウクライナが納得のいく形での戦争終結を強く望んでいる。だが、今回のWin-Winが美化され、史上に残る美しい出来事のように語られるのには抵抗がある。
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ウクライナ支援の行方は ポーランド総選挙 いずれの政党も単独過半数に届かない見通し
TBS NEWS DIG
Sasaki Shinkoポーランド語通訳・翻訳者、ポーランド政治史専門 ポーランド語翻訳者・ポーランド政治史
このような私情が入った記事には抵抗がある。PiSに関しては、このような書き方が多いが、白と黒に分けるような報道の仕方は報道の公平性という意味でいかがなものかと思う。 重要なのは、なぜPiSはEUと協調できないのか。それをポーランド市民は8年間なぜ支持してきたのかであり、それを追求しなければポーランドの意思を知ることはできない。 移民政策にしても、確かにPiSは不法移民の受け入れや、EUからの強制的な移民受け入れ数を指定され、それを受け入れなければ罰金を支払わなくてはならないことに反対をしている。だが、ウクライナ移民をどの国よりも率先して受け入れたのはPiS政権のポーランドで、移民全てに反対しているわけではなく、不法移民の流入に反対をしており、それは国民の大多数が支持しているという事実が、ここでは全く伝わってこない。 ウクライナ支援の「自国優先」に関しても、ウクライナからの穀物輸入禁止のことを言っているのだと思うが、穀物輸入は禁止するものの支援は継続すると述べている。野党連立が政権をとった場合、どれだけの支援をするかは不透明で、特に数党の連立となるため、党間で足並みを揃えるには困難を伴うだろう。
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ポーランド野党、勝利主張 下院選、政権交代の可能性
共同通信
Sasaki Shinkoポーランド語通訳・翻訳者、ポーランド政治史専門 ポーランド語翻訳者・ポーランド政治史
これはあくまでも出口調査の結果をもとにしたもので、開票結果が出るまではなんとも言い難い。もし、出口調査の結果が開票結果と同じだった場合、PiSにとっては連立を組むのは非常に難しいだろう。同盟(Konfederacja)は一枚岩の政党ではなく、内部でかなり異なった考えがある政党だ。同盟=極右という見方が海外では一般的だが、必ずしもそうとも言えない。内部で方針、考え方に大きな違いがあるのが同盟だ。それだけに今後、どういう動きを示すか掴み難い。 出口調査通りの結果となったとしても、野党KOは単独で勝利したわけではなく、こちらも連立を強いられる状況だ。もし、連立を組み政権を取れたとしても、第3の道(PSL、ポーランド2025)のおかげとも言える。となるとKOがやりたいようにできるわけではなく、第3の道を配慮しながらという難しい状況が続くだろう。 さらに大統領は2025年までは現職のドゥダ(PiS)のままで、公共テレビも国立銀行も憲法裁判もPiSの傘下にある。連立により過半数が取れたとしても大差ではない。これらを踏まえるとしばらくは混乱状態が続くのではないか。 また、万一トゥスクが首相になった場合、ポーランドには相当数の反トゥスク派がおり、それはトゥスクが政権をとっていた時の経験による深い嫌悪によるものだ。そういうなかで、政権運営をするのは困難を伴う。 現政権PiSが政権をとっても、KOが政権をとっても困難を強いられるだろう。
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