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ポーランドの夜明け?カトリック教会と非自由主義的勢力との終わりなき戦い
加藤 喜之立教大学 文学部教授
2024年1月も半分が過ぎてしまいましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。2024年「宗教とグローバル社会」最初の記事は、東欧第二弾、ポーランド!ポーランドでは2015年から8年ものあいだ、極右政党「法と正義」が政権の座にありましたが、昨年10月の選挙でリベラル陣営が勝利し、12月には欧州理事会議長も務めたことのあるドナルド・トゥスクが首相に就任しました。今回の記事ではこのポーランドの政治に大きな影響を及ぼしてきた宗教、とくにカトリック教会について論じています。日本の私たちにはあまり馴染みのない、ポーランドにおける政治と宗教の関係ついての記事ですので、ぜひみなさまからのご質問・コメントをお待ちしております。
自由主義へのハンガリーの挑戦:「もうひとつのヨーロッパ」とキリスト教的なオルバーン政権
加藤 喜之立教大学 文学部教授
極右台頭が目覚ましい欧州において、その一歩先を行くハンガリーのオルバーン政権。先週開催された欧州首脳会議でも、ウクライナへの追加支援に否をつきつけ、他の欧州諸国を落胆させました。新自由主義的な価値観を拒否し、国民保守的でキリスト教的な価値観を重視するオルバーン政権は、グローバル化に疲弊した欧州の、ひいては世界のひとつのかたちではあるでしょう。このハンガリーにおける政治と宗教の関係を今回の記事ではとりあげていきます。今回から数回にわたって「宗教とグローバル社会」では東欧を扱っていく予定ですが、その第一弾としてのハンガリー。ぜひコメントやご質問をお待ちしております!
アヤーン・ヒルシ・アリの改宗と文明衝突の前夜
加藤 喜之立教大学 文学部教授
2023年11月22日にオランダで行われた総選挙では、驚くべきことに反イスラムのコメントで世間を賑わせてきたヘルト・ウィルダース率いる自由党(PVV)が勝利しました。リベラルなオランダでさえも反イスラムを掲げる、つまりは文明の衝突を煽る言説が支持を得るという事実に世界は驚愕しているのではないでしょうか?そうした動きを予言するかのように、その10日ほど前には、元ムスリム、さらには元無神論者、作家で活動家のアヤーン・ヒルシ・アリがキリスト教に改宗したと宣言しました。この宣言は、いまの世相をよく表しているといえます。文明が文明と衝突し、多大な被害を出すことが危ぶまれる現代において、ヒルシ・アリの宣言は個人的な信仰告白以上の意味を持ってきます。彼女の宣言を読みながら、現代における文明の衝突について考えていきたいと思います。コメントお待ちしております!
悲しみを悼みに、怒りを言葉に:ハマスによるイスラエル襲撃を受けて
加藤 喜之立教大学 文学部教授
1400人ものイスラエル人が犠牲となった10月7日早朝のハマスによるイスラエルの襲撃以降、悲しみと憎しみは増大するばかりです。この悲しみと怒りはイスラエルの側だけではなく、パレスチナの人々のあいだにも広まっています。とくにガザへのイスラエル国防軍による攻撃は甚大な被害をもたらし、すでに1500人以上のパレスチナの子供たちが犠牲となったいま、それは当然のことでしょう。このような状況を前に私たちはどのように考えたら良いのでしょうか?怒りにまかせてどちらかの国への連帯を表明する前にすべきことがあるのかもしれません。私の抗議や提言が間違っているのであればぜひ対話をしたいと思っています。全ての犠牲者に哀悼の意を捧げつつ。
【ハマスの急襲】イスラエルを巡るビジネスと政治の思惑
加藤 喜之立教大学 文学部教授
テロリスト集団ハマスの犯した残虐で卑劣な行為はゆるされざるものです。ただし、その行為に対して高く燃え上がった憎悪が、イスラエルをはじめとして、他の国々の指導者たちや人々の判断を誤らせてはいけません。世界がイスラエルの側にたち、この地域に巣食う積年の恨みや悲しみの歴史、さらには近年の経緯を無視して、ハマス、そしてそこに隠れる200万のパレスチナの人々を糾弾するとき、9.11のときのように、より広い範囲でまた長い期間、この地域に混乱と苦しみをもたらす可能性があるからです。その点からいえば、元英国保守党のリーダーであるウィリアム・ヘーグがタイムズ紙に載せた文書は一読の価値があるように思えます。
https://www.thetimes.co.uk/article/hamas-has-set-a-trap-that-israel-must-avoid-kpv562gm7
ヘーグによると、ハマスの残虐な行為の動機としては、イスラエルへの嫌悪感、穏健派パレスチナ人への反感、奇襲をかける機会など多様なものはあるでしょうが、彼ら抜きに発展するこの地域に混乱をもたらすことだといっています。特に、近年、イスラエルがサウジアラビアと急接近しており、両国はサイバーセキュリティー、防衛システム、銀行、医療、教育、農業で協力し、さらには首長国のエネルギー企業は、イスラエルのタマール・ガス田の権益を所有しています。ハマスにとっても、またその背後にいるイランにとってもこの二国間の接近は懸念すべきものなのです。
こうした背景はセンセーショナルなニュースではあまり流れてこない情報です。この攻撃直前までイスラエルは分断寸前であり、ネタニヤフ政権が暴走を始めていたことなども、知られるべきでしょう。フランスのマリーヌ・ル・ペンの言葉のように、テロリズムを糾弾することは重要ですが、安易に感情的な連帯を示す前に、なぜこうした非道な行いが起きたかを知りるべきではないでしょうか?
犠牲者すべてに黙祷を捧げます。神をも恐れぬ戦争犯罪者たちが、一刻も早く正義により裁かれることを祈ります。そして早急にこの地に平和が訪れることを。
恐怖に煽られた政治—米国の白人キリスト教ナショナリズムの高まり
NORMAL
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