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【ハマスの急襲】イスラエルを巡るビジネスと政治の思惑
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加藤 喜之立教大学 文学部教授
テロリスト集団ハマスの犯した残虐で卑劣な行為はゆるされざるものです。ただし、その行為に対して高く燃え上がった憎悪が、イスラエルをはじめとして、他の国々の指導者たちや人々の判断を誤らせてはいけません。世界がイスラエルの側にたち、この地域に巣食う積年の恨みや悲しみの歴史、さらには近年の経緯を無視して、ハマス、そしてそこに隠れる200万のパレスチナの人々を糾弾するとき、9.11のときのように、より広い範囲でまた長い期間、この地域に混乱と苦しみをもたらす可能性があるからです。その点からいえば、元英国保守党のリーダーであるウィリアム・ヘーグがタイムズ紙に載せた文書は一読の価値があるように思えます。 https://www.thetimes.co.uk/article/hamas-has-set-a-trap-that-israel-must-avoid-kpv562gm7 ヘーグによると、ハマスの残虐な行為の動機としては、イスラエルへの嫌悪感、穏健派パレスチナ人への反感、奇襲をかける機会など多様なものはあるでしょうが、彼ら抜きに発展するこの地域に混乱をもたらすことだといっています。特に、近年、イスラエルがサウジアラビアと急接近しており、両国はサイバーセキュリティー、防衛システム、銀行、医療、教育、農業で協力し、さらには首長国のエネルギー企業は、イスラエルのタマール・ガス田の権益を所有しています。ハマスにとっても、またその背後にいるイランにとってもこの二国間の接近は懸念すべきものなのです。 こうした背景はセンセーショナルなニュースではあまり流れてこない情報です。この攻撃直前までイスラエルは分断寸前であり、ネタニヤフ政権が暴走を始めていたことなども、知られるべきでしょう。フランスのマリーヌ・ル・ペンの言葉のように、テロリズムを糾弾することは重要ですが、安易に感情的な連帯を示す前に、なぜこうした非道な行いが起きたかを知りるべきではないでしょうか? 犠牲者すべてに黙祷を捧げます。神をも恐れぬ戦争犯罪者たちが、一刻も早く正義により裁かれることを祈ります。そして早急にこの地に平和が訪れることを。
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