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世界物流の要、二大運河を襲う二つの大問題
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
最近のパナマ運河・スエズ運河の情勢は,短期的に混乱を招いて急激な運賃上昇がもたらされたケースもありました.エジプトのように通航料収入が減少して財政収入に影響を受けたケースもあります.しかし,物流について考えたとき,全体影響はあまり大きくなかったと評価できると考えています.これはコロナ禍とちがって,経済におけるモノ需要の拡大や労働力不足が強くならなかったこと,輸送サービスを供給するために十分な船腹が存在することが大きな理由です.代替ルートもあります.
もちろん輸送の遅延により日本では輸入に遅れが生じており,英国でも紅茶の品不足が一時的に報じられるなどの事態がありました.しかし,英国では品不足は一時的と報道されましたし,小売業者も消費者に対して在庫が十分にあることを周知したため、パニック買いは発生しなかったとのことです.また、販売価格に対する海上輸送運賃やコンテナ運賃の比率は大きくないです.この辺を前提に対応をするのが良いと思っています.
オリックスが中堅海運を買収 3000億円、事業承継で最大
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
三徳船舶は関西では大手の船主さんで,77隻の船舶を保有しています.パートナーを通じてフィリピンの商船学校を支援するなども行っています.ドライバルクの船舶規模は商船三井の半分くらいです.結構大きいです.
加藤さんのコメントにもあるように愛媛をはじめ,西日本には船主さんがたくさんいて,地元ではリッチな企業になっているところも多いです.この業態の船主さんが日本に多いことは日本の海運にとっては大きなメリットがあったと考えています(海運会社のリスクを分担する存在がたくさんいるわけですし,造船業や金融業の有力顧客です).
とは申せ,現在の海運,造船が置かれている状況を考えると,船主さんは今後,海外オペレーターや造船所との取引を増やしていくことになります.後継者不足などもあるということで,とくに小口の船主さんのようなところのM&Aをオリックスのような企業が行うのはわかる気がします.もともとシップファイナンスやってますし.
ちなみに,船を貸し出す際には船主さんが雇った船員さんが船を動かします(もちろん異なるタイプの貸し出し方法もあります).
中国造船業界、新造船受注量で世界の3分の2獲得
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
造船については,学術研究(※)で示されている通り,中国や韓国による造船所への補助金の問題はあるにしても,日本側も海運会社の方々からも「日本の技術が特に高いわけではない」といわれているのは技術力の問題も指摘しておきたいと思います.日本の海運会社や船主が中国の造船所を選ぶ事態も起こっております.
数年前ですが,拙著で以下の通り言及していたのを思い出しました.『近年、日本の造船業の技術力に対しては「設計を中心に技術力に懸念を感じる」という意見も聞かれる 。』(運輸と経済2021年7月号”日本の海事政策と瀬戸内海事クラスター”)
造船業に対しては以前海事局長をしていた大坪新一郎氏(造船技官出身)も人材の薄さ,システム化の遅れについてインタビューで苦言を呈していたことがありました.すでに5年前の話なので変わっている部分もあるんだと思いますが...
https://www.kaijipress.com/news/shipbuilding/2019/11/146026/
(※)とかに解説があります
https://cepr.org/voxeu/columns/detection-and-impact-industrial-subsidies-case-chinese-shipbuilding
NORMAL
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