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EV航続距離を2倍に?!巨大プロジェクトの全貌
ニュースイッチ
上石 真矢総合化学メーカー
最近EVを取り巻くキーワードとして「全個体電池」が頻出している。 全個体電池で航続距離を一気に伸ばそう、ということのようだ。 ここで問いかけたいのが、 「航続距離が2倍になったとして、果たして我々はEVを買うだろうか。」 ということ。 ガソリン車と同等の航続距離を実現すれば、EVのデメリットは圧縮される。 しかし、メリットを創出するわけではない。 では、EV化により期待される「メリット」とは何だろうか。 それは、トータルコストとCO2排出削減を同時に成しうるという点にあるとみている。 「デザイン面での自由度」という観点もあるが、地に足ついたメリットは、安価でエコ。EVの真骨頂はその2点に集約されるのではないだろうか。 では、「EVは安価でエコか」と問われると、そうではないだろう。 少なくとも現在は。 車両の購入コストは補助金によって圧縮されているが、それでも同性能のガソリン車に及ばない。 もちろん、部品点数が減り、中国を中心にEVメーカーが勃興する中、EVの価格が今後、急速に下がることは期待できる。 自動車メーカーは、熾烈な競争に備え、大胆なコスト削減策を考えるべきだ。 「開発」と「生産」の役割分担も見直す段階にあるのではないだろうか。 EVのアイデンティはエコであることだ。 2015年のパリ協定を契機として、環境投資への魅力が底上げされている。 しかし、EVの主力電源は必ずしも再生可能エネルギーではない。 日本では、電源の9割が火力発電に依存する。 いわゆる「Welltowheel」の議論に巻き込まれると、EVの分は悪い。 EVが生まれながらに「再生可能エネルギーを有効利用しなければならない」という逆説的な十字架を背負っていることが忘れられていないだろうか。 人はどれくらいの時間連続で移動できるのか。 日本の法律では、ドライバーに4時間以上の連続運転を課すことはできない。 高速道路を100km/hで移動したとして、400km。 現状の電池性能でも、よほどの連続して長距離を移動し続けない限り支障はない。 電池の革新は、EVの利便性を向上させるが、それはEV化とは別の議論ではないだろうか。 もはや、EV化のキーワードは電池ではない、と思う。 本質を見極めた製品開発がなされ、日本が環境面でも世界をリードできる日が来ることを期待したい。
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