奥田 史憲

介護のセンサーの場合は使う人(当事者)と話することが最低条件と思います。 そうしないセンサー使用はかなり監視に近いです。 認知症だから、意思の疎通ができないから、なんて言葉で、勝手に使ってしまう場面がありますが、まず本人に聞く。そしてその意思を理解する努力を精一杯する。 それでも難しい場合に当事者の気持ちをよく汲み取り、家族など近しい人にその人ならどう考えるかを聞いて、最後は当事者に説明してから使わせていただく。 介護の業界ではこういった考え方が大切だと思います。

誰も働きたく無いとか、暴力やセクハラ等が日常的にまかり通っていますとか… 上司が信念を持ち、職員を守る施設はこの通りではありません。 そういった場面があった場合は、すぐに原因を追求し、対策を行います。入居者側にもしっかり話し合いますよ。 介護で働きたくて楽しく介護してる職員も自分の施設に沢山います。 実際無記名の職員アンケートでも5段階中3以上に付けている職員が90%を超え、楽しいと考えながら仕事をしている職員は50%を超えています。 楽しく介護出来る施設もありますよ！ 管理職の役割に、「介護業界を正しく発信する」も付け加えておきますね。

改善される為に中からの努力も必要と思います。評判が良くないとされているこの業界に入ると言うことは、それなりの覚悟を持って入るはず。なきごとを言うのでは無く、今各々の立場で何が出来るのかを真剣に考えて出来ることから変えていかなあかんと思います。 それは実はどの業界でも一緒。工場、営業も経験してきたけど、一人ひとりに出来ることは沢山ある。 お給料が欲しければ、時間外手当がちゃんと出る職場へ行って沢山働いてお年寄りと笑顔の時間を増やして業界を変える。 業界のイメージを変えたければ、SNS で魅力を発信する。 実は一人ひとりに出来ることはまだまだあるはずなんです。 だって出勤日に１日4時間毎日時間外に働く月なんて一年に何回ありますか？ 工場で働いてた時はそんな月が何ヶ月も続いていました。 営業の時は車で九州や東京行って、当然何日か帰ってこれやん日が続きます。だからどの仕事も大変です。 でも介護のお仕事は、仕事という時間なのにお年寄りから沢山の学びや楽しいことがもらえます。 こんな素敵な仕事はなかなかないと思ってます。

この問題にどう立ち向かって行くかを、現場の管理職以上や理事がどう考えているかが重要と感じています。 採用や、施設、現場のサービスの向上に向けた取り組みをしている施設もある中で、そうなってない法人や施設が多数を占めていることも現実だと思います。 ただ嘆いているだけでは衰退して行くしかないので、自分が出来ることを精一杯行動して行きます。

施設側としては、家族さんがおじいちゃん、おばあちゃんの家に遊びに行くのと同じように来ていただける施設を作っていくことが大切だと考えています。 会いたいと思った時に自由に会いに行ける場所。 我々の施設は面会時間を設けていないですし、家族さんが希望すれば泊まっていくことも可能です。 そうして職員側が家族さんと共に支えるという必要性を感じて家族さんに接して行くことで信頼関係が生まれ、家族さんともいい時間が過ごせます。 この記事のように入居者さん、家族さん、職員さんが協力していい時間を作れることが大切ですよね。

新しい技術と開発は大切ですが、介護施設で１時間に一回の巡視を望む入居者はどのくらいいるのでしょうか…。 必要なケアを必要なだけする事で、人件費も尊厳も保つことが出来ると場面があると思います。 こういう技術を使うことと尊厳を守る職員教育の両輪で進めないと、介護が必要な人や認知症の当事者にとって良い施設になっていかないと思います。 今年から眠りスキャンを数台入れましたが、いま一度尊厳を守ることについて勉強し直しています。