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「理系か文系か」やめませんか 革新阻む前世紀の遺物
高橋 祥子TAZ Inc. 代表取締役社長
記事のとおり何故か初対面の方に「私は文系人間なものですみません」と一言言われることがよくあります。文系専攻だったのは昔の学生時代の数年だけであって、ロボットにしろ人工知能にしろゲノムにしろ、先端技術が社会に入ってきたのはここ10年くらいなのであまり関係がない話だと思うのですが、日本人のアイデンティティに文系・理系が根強く残っているのが不思議です。海外では見られない傾向だと思います。
世界的に学術界でも文系・理系の枠ではない学際的な研究の重要性が指摘されているため、文系・理系に分ける日本の教育システムはもう既に限界が来ていると思います。特にまだこれから何でも学ぶことができる子どもに対して文系・理系の枠に押し込めてしまうのは危険で、記事タイトルのとおり、まさに「革新阻む前世紀の遺物」であり早急に変えていく必要があると思います。
老化抑える脳細胞特定、マウス実験で寿命延長も成功…5年以内に人への応用目指す
高橋 祥子TAZ Inc. 代表取締役社長
老化に関する研究については、単に自分が長生きしたいかしたくないかという議論ではなく、今後日本だけでなく世界的に高齢化世界を迎える中で、高齢化に伴う健康の問題を解決するために、科学技術に基づいた課題解決法を探索し提案していくことが喫緊の課題だと言われています。
血液循環中に存在するNAD合成系酵素eNAMPTが、哺乳類における老化や寿命の制御に重要な役割を果たしていることが明らかにされていましたが、今回の研究ではDMHPpp1r17という神経細胞を活性化させることがeNAMPT酵素の分泌を促進することで運動量が増え寿命も延びたことを明らかにしました。
マウスでは若い個体のeNAMPT(を含む小胞)を老齢個体に投与すると身体的機能を活性化させ、寿命を延長するというデータもあります。
ヒトに応用できるととてもおもしろいですね。
論文はこちら↓
https://www.cell.com/cell-metabolism/pdf/S1550-4131(23)00462-X.pdf
つわりの原因、やっと解明 女性の問題「軽んじられてきた」と研究者(朝日新聞デジタル)
高橋 祥子TAZ Inc. 代表取締役社長
妊娠出産を2度経験してやはり辛かったのが「つわり」ですが、そんなつわりの原因の研究が先週Nature誌で掲載されました。
GDF15というホルモンの遺伝子が関わってることは既に知られていましたが、このホルモンの上昇幅が大きい人ほどつわりの可能性が上がるという発見。研究が進んで将来的にはつわりを予防できるようになることを期待。
論文はこちら。
https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/pr-highlights/14740?sap-outbound-id=1EA07D92131A7E92B1BB515423556D2BBF2C2544
エーザイ認知症薬レカネマブ発売 適用患者「1%」のなぜ - 日本経済新聞
高橋 祥子TAZ Inc. 代表取締役社長
記事には、エーザイが予想する適用患者数はピークとなる2031年度でも適用は1〜2%ほどにしかならないとあります。レカネマブの適用患者数がアルツハイマー病患者のうちの1〜2%程に限られると予想されている理由は、特定の遺伝子型(APOE4)を持つ患者において脳浮腫のリスクが高いとされているためです。この遺伝子型を持つ患者はレカネマブの投与が禁忌とされています。現在の臨床では、この遺伝子型の検査フローが確立されていないことが、レカネマブの使用を難しくしています。さらに、APOE4を保持する患者には代替の治療法がなく、遺伝子検査でAPOE4保持者と判明した場合治療の選択肢が限られるという問題もあります。
レカネマブを有効に活用していくためには、きちんと適切な対象患者を識別できる臨床体制の構築が必要ですね。
科学がもたらす不老長寿への道(The Economist) - 日本経済新聞
高橋 祥子TAZ Inc. 代表取締役社長
現在不老長寿に関する研究で進められているアプローチは主に以下の4つです。
①代謝系のコントロール(記事にあるカロリー制限やメトホルミンなど)
②老化細胞の除去
③パラバイオーシス(血液交換)
④エピジェネクロックの巻き戻し
不老長寿と言っても、寿命の延伸・老化の抑制・若返りなどで異なる現象を指しますが、現在最も実現性の高い①や次に実現性のある②は老化抑制、③と④は若返りの可能性はあるものの、④は研究は進んでいるがまだまだヒトへの応用可能性は低い状況にあると思います。いずれにせよ、これまでの「寿命が延びる」=「不健康な時間が延びる」という状態ではなく「身体が健康でいられる時間」が増えるということになると思いますし、加齢がポジティブなものとして捉えられるようになるのではないでしょうか。
mRNAワクチン「何百万人の命を救った」 ノーベル賞にカリコ氏ら
【ドキュメント】「線虫がん検査」の知られざる過去
高橋 祥子TAZ Inc. 代表取締役社長
批判は皆さんが書かれているので別の視点から。
いろいろと問題はあるのだという理解です。擁護するつもりはないという前提ですが、一般論としてNewspicksには賛否両方精査した記事を是非期待したいです。関係者によるネガティブな声を拾うだけの取材であれば週刊誌など専門知識のない記者でもできるし、どんな素晴らしい会社でも悪く書くことはいくらでもできるので。第三者による再現性が取れる論文が発表されているとのことで、それに触れた上で問題点を解説してくれるのかと期待してました。週刊誌的なスクープ記事ではなく、世の中の論文にはポジティブなデータとネガティブなデータとそれぞれどれくらい発表されているか定量的な情報を示すなど、公正な情報開示とともに、批判するなら批判してほしいと思います。あくまで一般論の話で、本件を擁護しているわけではないので悪しからず。
【追記】連載で追って9/15に公開された記事で、公表されている海外研究グループの論文についても解説してくださりよく理解できました。ありがとうございます。
NORMAL
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