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Israeli Hackathon Centers On Solutions For Autistic People
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
自閉症患者の生活支援にフォーカスしたHackathonである「Hackautism」のデモデイが先日イスラエルにて開催された。
以下超訳。
イスラエル国防軍初の自閉症を持つ将校Udi Hellerが共同設立したAIプラットフォーム「DiVE」は、自閉症の労働者の雇用を支援する。また、Alerti社のプロダクトは、自閉症児の感情をリアルタイムで監視し、介護者に警告するシステムを提供している。
Hackautismの創設者Rimon Tubin氏は、デモデイでピッチされたアイデアの多くが、実際の市場に浸透する可能性が高いと評価している。
Hackautismへの参加プロセスをクリアした起業家たちは、Rishon LeZionの大学の学生と共に、そのアイディアを市場にリリース可能なものにするためのアドバイスを受ける。このプロセスは学生には実際のビジネス経験を、起業家には新たなリソースと次世代からの視点をもたらす。
Hackautismは2019年の設立以来、42のスタートアップ企業を生み出しており、その中の15社がすでに資金調達に成功している。その中には「Fun Friends」や「Poppins」といったサービスが含まれている。
Hackautismを設立したTubin自身も自閉症の息子を持つ父親であり、Hackautismの設立は彼の息子への愛が動機となっているという。
Ultra-Thin Salt-Water Battery Could Power Smart Contact Lenses
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
あらゆるモバイルデバイスが生体エネルギーで駆動する日もそんなに遠くではなさそう。以下超訳。
「涙で電源を供給する超薄型塩水バッテリーが、スマートコンタクトレンズの動力源としての可能性を持つことがシンガポールの南洋理工大学(NTU Singapore)の研究によって明らかとなった。このレンズは、視力矯正、健康状態の監視や慢性疾患の警告・治療に利用され、将来的にはさまざまな情報をクラウドに保存することも可能となる」
「スマートコンタクトレンズの研究開発においては、適切な電源供給が課題だったが、NTUの新しい電池は生体適合性のある材料で作られ、有害な重金属を含まない。また、人間の涙のナトリウムイオンや塩化物イオンと反応して電気を発生させることもできる」
「研究チームは特許を申請し、商業化に向けた取り組みも進めている」
A Secret in the Blood: How PF4 Restores Youth to Old Brains
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
血小板を標的として神経新生を促進し、認知機能を強化や加齢に伴う認知機能低下に対抗することが可能になりつつあるという米UCSFのリリース。以下超訳。
「抗老化ホルモンであるクロトー(Klotho)の投与、若い血液の注入、そして適度な運動が、脳機能の老化防止に効果があることは以前から知られていた。しかし、こうした介入の具体的なメカニズムについてはこれまで不明のままだった」
「今回、米UCSFの2つの研究チームと豪Queensland大の研究チームの共同研究により、血小板因子4という血小板から放出される小さなタンパク質がこの現象の共通の鍵であることが発見された」
「血小板とは、私たちの体内で出血を止める役割を果たす血液細胞の一つ。傷や損傷が生じるとPF4が放出され、これが免疫系に警告を送ることで傷口の治癒を促進する働きを持っている」
「今回の研究により、PF4は単に傷の治癒だけでなく、古くなった脳を若返らせる効果や、若い脳の機能をさらに活性化させる効果も持っていることが明らかになった」
Exact number of people needed for a Mars colony found – and it’s less than you think
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
ヒトが自律的且つ協調して活動するのに最適な人数は20人前後、というのは腑に落ちる。オーケストラでもメンバーが20人を超えると指揮者が必要になる。会社的な組織もまたしかり。
以下超訳。
「新しい研究によると、火星にコロニーを建設し、それを維持するのに必要な宇宙飛行士の数はわずか20人程度である」
「arXivに投稿された新しい推定によれば、火星にスペースコロニーを建設し維持するのに必要な人員はわずか22人で十分である可能性が示唆された」
「科学者たちは、潜水艦、北極探検、国際宇宙ステーションなど、隔離された高ストレス環境で働く高パフォーマンスチームに関する過去のデータを分析し、4つの異なる心理的プロファイルを持つエージェント間で起こる相互作用の種類をモデル化した。さらに彼らは、代謝、回復力、スキルとそのレベル、ストレスといった要素の個人レベルを変化させるとともに、神経質、反応的、社会的、好意的という4つの心理的特徴のいずれかを考慮した火星入植者のモデルを作成した」
「シミュレーションの初期人口を10人から170人の範囲で設定し、28年間にわたりモデルを5回実行したところ、「初期人口22人が、長期にわたって生存可能なコロニー規模を維持するのに必要な最小値」であることが判明した」
「研究者たちはまた、「神経症的」な心理を持つ個体が非常に高い確率で死ぬ一方で、全体的により大きな共感と関連する "Agreeable" な性格の個体が生き残る可能性が高いことも発見した」
Massage doesn’t just make muscles feel better, it makes them heal faster and stronger
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
マッサージは3,000年以上も前から、筋肉の痛みや怪我の治療に用いられてきた。現在では、多くのアスリートがリハビリのためにマッサージガンを愛用している。
今回Science Translational Medicine誌に掲載されたHarvard University Wyss Institute for Biologically Inspired EngineeringとJohn A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences (SEAS)の研究者らによる論文によれば、これらの「機械的療法」は、人を気持ちよくさせるだけでなく、実際に重度の怪我をした後の治癒力を高めることが確認された。
研究チームは、独自に設計したロボットシステムを用いて、マウスの脚の筋肉に一定かつ調整可能な圧縮力を与えたところ、この機械的負荷(ML)によって、重度の損傷を受けた筋肉組織から好中球と呼ばれる免疫細胞が速やかに除去されることを発見した。この過程で、好中球が放出する炎症性サイトカインも筋肉から除去され、筋繊維の再生プロセスが促進された。
機械的な刺激と免疫機能の間に非常に明確な関係があるとすれば、骨、腱、毛髪、皮膚など、さまざまな組織の再生に役立つ。また、薬物による治療ができない病気の患者にも適用が可能だ。
マッサージガンがますます売れそうな発見だな。
Intermittent fasting makes fruit flies live longer — will it work for people?
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
9月29日付のNATUREに掲載されたコロンビア大学の研究者らによる論文によれば、断食が細胞内でどのように作用して老化プロセスを遅らせるのかを明らかにするとともに、空腹感を伴わずに断食の健康効果を得る方法を見出したという。
研究者らは今回、ミバエという人間と似た体内時計を持っているハエを使って研究を実施した。ミバエは昼間は活動し、夜は眠り、且つ、人間の疾患関連遺伝子の約70%を共有している。ミバエとヒトは似たような方法で老化するため、ミバエは老化の優れたモデルである。しかもミバエの寿命は2か月であるため、老化の実験には格好な研究対象なのだという。
研究者たちは、ミバエを以下の4つの異なるスケジュールのいずれかに沿って飼育した。
1. 24時間の無制限給餌
2. 日中12時間の給餌
3. 24時間の絶食と24時間の無制限給餌
4. 断続的時間制限給餌=iTRF(Intermittent Time-Restrcited Fasting)
その結果、20時間の断食を行ったiTRFだけが有意に寿命を延ばした(雌18%/雄13%)。
また、20時間の絶食のタイミングが重要であった。寿命が延びたのは、夜間に絶食し、昼食時に絶食を終えたハエだけだった。他方、夜間に断食し昼食時に断食を中断したハエの寿命は変わらなかった。
研究者たちにとって、時間の役割は、断食がどのように長寿に結びつくかを知るための大きな手がかりとなった。研究チームは、断食後に開始される細胞洗浄プロセスが夜間に行われた場合のみ寿命が伸びることを発見した。
研究者たちは、この細胞洗浄プロセスをオートファジー(「自食」を意味するギリシャ語)と呼んでいる。このプロセスは、細胞内の損傷した構成要素を洗浄して再利用することにより、老化を遅らせることが知られている。
また、iTRFはハエの寿命を延ばしただけでなく、筋肉や神経の機能を高め、加齢に伴うタンパク質の凝集を抑制し、筋肉や腸管組織の老化マーカーの発現を遅らせるなど、ハエの「健康寿命」を向上させた。
人間の細胞も同じように細胞を洗浄するプロセスを利用しているため、今回の研究成果は、行動を変えたり、洗浄プロセスを刺激する薬剤を用いたりすることで、人間にも同様の健康効果をもたらし、加齢性疾患を遅らせたり、寿命を延ばしたりできる可能性を示唆している。
Which Protein Best Predicts Alzheimer's Effects on Memory?
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
世界では5,000万人以上の人が認知症に苦しんでいる。アルツハイマー型認知症は、最も一般的な認知症で、脳内にβアミロイド(Ab)とタウというタンパク質が蓄積し、その後、記憶力の低下が継続的に進行することが知られている。
認知症の症状は様々な形で現れるため、どのくらいの期間で症状が進行するかを予測することは難しい。また、脳内にアミロイドプラークと呼ばれるAbが存在していても必ずしもアルツハイマー型認知症になるとは限らない。
Molecular Psychiatryに掲載されたスウェーデンのカロリンスカ研究所の研究者らによる論文によると、研究者たちはさまざまなアルツハイマー病のバイオマーカーがアルツハイマー病の進行や記憶への影響をどの程度予測できるかを比較した。その結果、脳脊髄液中のバイオマーカーや脳内のアミロイドプラークよりも、PETスキャナーで測定した脳内のタウタンパク質の早期蓄積の方が記憶障害を予測するのに有効であることがわかった。
バイオマーカーには、Aβやタウの蓄積を特定するものもあれば、神経の機能低下(神経変性)を測定するものもある。タンパク質の蓄積や神経変性は、脳脊髄液(CSF)や血漿、あるいはポジトロン断層撮影(PET)や磁気共鳴画像(MRI)を用いた脳画像で測定することができる。現行のバイオマーカーを用いたアルツハイマー病の早期発見のためのガイドラインでは脳画像診断法とCSFバイオマーカー(pTauとAb)による分析法が推奨されているが、バイオマーカーが徐々に進行する認知機能障害とどのように関連しているかを示す縦断的な研究は十分になされているとは言い難い。
今回の研究によって、脳内のアミロイドプラークの存在と髄液中のAbとpTauの濃度変化が病気の経過の早い段階で検出できることがわかったが、どうやらこのことと後の記憶障害とは相関がないようだ。
他方、PETスキャナーで測定された脳内タウの存在は、特に病気の初期段階で影響を受けることが多いエピソード記憶の急激な低下と関連していることを示唆している。つまり、アルツハイマー病患者の認知機能低下の臨床的予後評価にはタウPETが効果的であることがわかった。
3D-printed vaccine patch can offer painless, more effective immunization: study
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
3Dプリントされたワクチンパッチの製造に成功したという記事に遭遇。
8月に米国科学アカデミー紀要に掲載されたStanford UniversityとThe University of North Carolina at Chapel Hillの研究者らによる論文によると、このポリマーパッチのサイズは1平方センチで、3Dプリントされた100本のマイクロニードルをもつ。針の長さは700マイクロメートルで、これは、皮膚を貫通してワクチンを投与できるギリギリの長さだという。
これまでの注射器によるワクチンの投与では皮膚を貫通させて筋肉や皮下に注射する必要があったが、皮膚には免疫細胞が豊富に存在するため、皮内接種と呼ばれる皮膚細胞内にワクチンを投与すると有効性が向上することが多いのだという。
マウスでの実験の結果、このパッチは従来の注射に比べて3週間後には20倍、1カ月後には50倍の抗体反応を示したという。
一般にワクチンの注射は訓練を受けた専門家が行う必要があり、ワクチン自体も冷凍庫や冷蔵庫に保管しなければならなかった。けれどもこのワクチンパッチはパッチの中にワクチンが埋め込まれているため、自分で接種することができ、特別な保管庫もいらない。
研究チームの次のステップは、ファイザー社とモデナ社のCOVID-19 mRNAワクチンをパッチに組み込むことだという。
Charles River Analytics Wins $16M DARPA Contract for Protective Biosystems Research - Executive Gov
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
米ボストンに本社を置く国際的なコンサルティング・ファームの Charles River Analytics は、DARPAとの間で、生物・化学兵器の脅威から兵士を守るためのバイオシステム・ソリューションの開発を目的とした契約を締結したことを発表。契約金額は、5年間で$1,6Mとのことだけど、このプロジェクトの内容がまるでNETFLIXのSF作品のよう。曰く、
「本プロジェクトにおいてCharles River Analytics は、遺伝子組み替えをした鉤虫や住血吸虫などの常在生物を利用し、それらの分泌する神経毒によって戦場の兵士たちの腸内細菌叢に一種のバリアを作り出す」
なお、本研究のサブコントラクターには、ベイラー医科大学、ジョージ・ワシントン大学、ジェームズ・クック大学、ライデン大学メディカルセンター、カリフォルニア大学アーバイン校、ワシントン大学医学部など米国の名だたる医科大学が名を連ねている。
Possible link of antibiotics and breast cancer growth speed
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
抗生物質と乳がんの成長速度の増加とに関連性がありそうだとの報告が英イブニング・スタンダードで記事になっていた。
化学療法を受ける乳がん患者には、治療中の感染症を抑えるために抗生物質が処方されることが多い。
今回、イースト・アングリア大学(UEA)の研究者たちは、抗生物質の使用により腸内の健康な細菌が破壊されたとき、腫瘍の成長にどのような影響を及ぼすかを調査した。
その結果、抗生物質を使用すると乳がんの腫瘍が成長する割合が増加することがわかった。また、乳がんが転移した際に他の臓器にできた二次的な腫瘍の大きさも大きくなっていることもわかった。
しかし研究者たちは、この負の相関を断ち切るターゲットとなり得る免疫細胞を突き止めた。これらの細胞の機能を阻害すれば、腫瘍の攻撃性は著しく低下するという。
抗生物質によって耐性菌が増加することは古くから知られていた。そのため、臨床の場において抗生物質をみだりに使用することについては様々な角度から警告が発せられてきた。
今回の研究では、健康な腸内細菌叢が病気に対する身体の反応を調整する上で重要な役割を果たしていること、そして抗生物質が健康な腸内細菌叢のバランスを崩す上で重要な役割を果たしていることが改めて明らかにされた。
Potty Party: Researchers Show Young Cows Can Be Toilet-Trained
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
有害なアンモニアの発生を減らす事を目指す研究の甲斐あり、成功すれば甘いものがもらえる訓練によって牛がトイレで放尿できるようになったという記事に遭遇。これは興味深い。
牛の尿には尿中の窒素からアンモニアを放出させる酵素があり、そうして大気中に放出されたアンモニアは雨と混じって地上に落ち、土壌や水質を変え、有害な藻類を増やしたり草木を傷めたりすることが知られている。
今回の研究では16頭中11頭が放尿の8割をトイレでできるようになったという。つまり10回に8回の放尿はトイレでなされ、トイレ以外での放尿は10回にたったの2回のみだった。
もし牛の尿の80%を決められた場所に集めて処理すればアンモニアの放出を56%抑制することが可能になるらしい。
若い頃にインドのあちこちを彷徨っていた時、牛や象の賢さに幾度も驚いた記憶がある。そもそも人間は地球上に住むヒト"以外"の有機体の知性を低く見積もり過ぎているんだろうな。
Rogue antibodies involved in almost one-fifth of COVID deaths
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
新型コロナウイルス感染症の重症化や死亡の主な原因が自己の免疫機能に反する悪玉抗体(Autoantibodies)である可能性が高いことが大規模な国際研究で明らかになってきた。
ニューヨーク市のロックフェラー大学の免疫学者 Jean-Laurent Casanova が率いる研究者チームは、38カ国の3,595人のCOVID-19重症患者を対象に調査を行った。その結果、13.6%が悪性な自己抗体を保持しており、その割合は40歳以下の9.6%から80歳以上の21%という分布だった。また、死亡にまで至った患者の18%にも同じ自己抗体が存在していた。
研究チームは、この不思議な抗体が、COVID-19への罹患の結果ではなく、原因ではないかと考えた。
何故なら、研究チームはパンデミック前に採取した健康な人1,000人のうち約4人に自己抗体が存在することをすでに発見しており、且つ、1型インターフェロンの活性を阻害するような遺伝子変異を持つ人は生命を脅かす疾患のリスクが高いことを明らかにしていたからだ。
この関連性をさらに詳しく調べるために研究チームは、パンデミック前に健康な約3万5,000人の人々から採取した膨大な血液サンプルの中を対象に自己抗体を探索した。
その結果、18歳から69歳までの人の0.18%に1型インターフェロンに対する自己抗体が存在し、その割合は年齢とともに増加していることを突き止めた。70歳から79歳では約1.1%、80歳以上では3.4%の人に自己抗体が存在していた。このことは、高齢者における重症化リスクの高さを裏付ける。
1型インターフェロンに対する自己抗体の有無によって重篤な状態に陥る可能性の高い患者を特定することができるようになるのだとしたら大変な朗報だ。さらなる研究の進捗に期待。
Myomo’s Wearable Completes First Phase of Brain-Computer Interface Trial - Verdict
遠藤 拓己JR東日本文化創造財団
米国では、40秒に1人が脳卒中を発症し、4分に1人が死亡している。
米 Massachusetts 発のWearable Device Startup で、神経疾患や上肢麻痺の患者のためのWearable Device「MyoPro」を開発している Myomo 社は、が、トーマス・ジェファーソン大学との共同研究により、脳に埋め込まれたセンサーを利用して、脳卒中患者が装着した「MyoPro」を制御する臨床試験のPhase 1が完了したことを発表した。
今回の研究では、脳卒中後の運動能力を向上させるために、埋め込み式の無線電極を活用した概念実証が行われたが、「MyoPro」は近い将来外部センサーを用いることなく、装着者が腕や手を挙げようと「考える」だけで操作できるようになるという。
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