Intermittent fasting makes fruit flies live longer — will it work for people?
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9月29日付のNATUREに掲載されたコロンビア大学の研究者らによる論文によれば、断食が細胞内でどのように作用して老化プロセスを遅らせるのかを明らかにするとともに、空腹感を伴わずに断食の健康効果を得る方法を見出したという。
研究者らは今回、ミバエという人間と似た体内時計を持っているハエを使って研究を実施した。ミバエは昼間は活動し、夜は眠り、且つ、人間の疾患関連遺伝子の約70%を共有している。ミバエとヒトは似たような方法で老化するため、ミバエは老化の優れたモデルである。しかもミバエの寿命は2か月であるため、老化の実験には格好な研究対象なのだという。
研究者たちは、ミバエを以下の4つの異なるスケジュールのいずれかに沿って飼育した。
1. 24時間の無制限給餌
2. 日中12時間の給餌
3. 24時間の絶食と24時間の無制限給餌
4. 断続的時間制限給餌=iTRF(Intermittent Time-Restrcited Fasting)
その結果、20時間の断食を行ったiTRFだけが有意に寿命を延ばした(雌18%/雄13%)。
また、20時間の絶食のタイミングが重要であった。寿命が延びたのは、夜間に絶食し、昼食時に絶食を終えたハエだけだった。他方、夜間に断食し昼食時に断食を中断したハエの寿命は変わらなかった。
研究者たちにとって、時間の役割は、断食がどのように長寿に結びつくかを知るための大きな手がかりとなった。研究チームは、断食後に開始される細胞洗浄プロセスが夜間に行われた場合のみ寿命が伸びることを発見した。
研究者たちは、この細胞洗浄プロセスをオートファジー(「自食」を意味するギリシャ語)と呼んでいる。このプロセスは、細胞内の損傷した構成要素を洗浄して再利用することにより、老化を遅らせることが知られている。
また、iTRFはハエの寿命を延ばしただけでなく、筋肉や神経の機能を高め、加齢に伴うタンパク質の凝集を抑制し、筋肉や腸管組織の老化マーカーの発現を遅らせるなど、ハエの「健康寿命」を向上させた。
人間の細胞も同じように細胞を洗浄するプロセスを利用しているため、今回の研究成果は、行動を変えたり、洗浄プロセスを刺激する薬剤を用いたりすることで、人間にも同様の健康効果をもたらし、加齢性疾患を遅らせたり、寿命を延ばしたりできる可能性を示唆している。