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初任給賃上げ続々、院卒は30万超え多数も「博士はスルー」されるワケ
山崎 俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 教授
「30%以上の人が博士課程に進学しない理由として、就職の心配や生涯賃金に対する懸念があることを指摘している。」
なぜ実情を調べないで、世間でまことしやかにいわれている噂やネット記事の情報だけで判断するのだろうか?と思うことがあります。この発言をする方は実際に博士人材に就職の経験を聞いたのでしょうか、給与明細などを見せてもらったことがあるのでしょうか。
私の経験上、この手の「噂」の8割は間違っているか、特定の個人にしか当てはまらない場合が多いです。私自身、冷やかしではなく本気で大学教員になりたい人には確定申告書を見せてます(給与明細だけだと・・・以下省略)。
ただ、特定の企業とか特定の職種につきたいと、自分の可能性を限定してしまうと困難が伴います。例えば、大学教員になるのは、少子化の影響もあり、狭き門になるかもしれません。ただし、大学と同じように研究を行っている国の研究機関や企業の研究所もそれなりにあるのでそちらも選択肢にすれば可能性は広がります。
「めちゃくちゃ上がっていますね」なぜ高い?ホテル価格を徹底調査【Nスタ解説】
山崎 俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 教授
プライベートなのか、ビジネスなのかで話が変わってくると思うので、ビジネスの立場でちょっと違う視点の話をします。以前も同じ話をNPで書きました。
辺鄙な場所にあるホテル併設の会場で学会が開催されたときのことです。誰もが知る大企業の研究員の方々は社内規定の金額を超えるので宿泊禁止、かわりに会社の系列の旅行代理店が手配した片道1時間のところにあるホテルに宿泊されていました。差額を自己負担して自由に宿泊先を決めるのもNGとのこと。費用を安く抑えるという理念は理解するものの、私は逆に「ああ、徒歩1分で移動できるホテルがあるのに、連日往復で2時間も無駄な時間を費やすことを社員に強いている事実をなんとも思わない会社なのだな」と残念に思いました。
人はなぜ間違えるのかーヒューマンエラーの危険性
山崎 俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 教授
様々な報道で、なにかトラブルがあったときに「「間違いが起きないようにもっと頑張らせます」「間違いが起きたときの罰則をもっと厳しくします」という報道がなされるのをいつも残念な思いで見ています。
この記事にあるように、人は間違いを犯すものです。間違いがおきたときには、なぜそれが起きたのか、またそれが再度起きないようにするにはどうしたらよいのかをもっと積極的に考えるべきだと思います。
私の尊敬する研究者は、人命に関わる設備・装置の管理を長年されているのですが、「間違いが起きたら起こした人が悪いのではない、間違いが起こるようになっていた仕組みが悪い」と徹底して仕組みの改善に腐心されています。例えば、装置の使い方で間違いが起こるときには「もっとマニュアルを読み込んでください」ではなく、装置に①、②とテプラで貼っていき、どうやっても手順を間違えないようにするなどの工夫をされています。
生成AIに不可能な人間固有の能力とは何か? ミュンヘン工大と東大が世界に問う「新しい創造性」
山崎 俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 教授
AIも錯視に騙されますよ。下記は2018年頃の研究成果。
ただし、錯視を再現できたからどうというつもりはありません。錯視は、本来人間が自然界で生き抜いていくために得られた経験的知覚だったりするわけです。それが何らかの知性の裏付けとするにはもっと議論が必要です。
静止画なのに回って見える AIも「錯視」 ディープラーニングで再現に成功
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1803/22/news061.html
AI も錯視を起こす
https://autonomous.jp/ai-%E3%82%82%E9%8C%AF%E8%A6%96%E3%82%92%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%81%99/
【ミニ教養】とうとうAIが人間のIQを超えた
山崎 俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 教授
IQをどのように測定するかということに過ぎない気がします。IQは直接脳にプローブを当てては測れないので、人間が設定したタスクを解いてその平均と分散で間接的に議論します。そういう意味では、そもそもIQの定義について考えなくてはなりません。また、人間の平均的な能力を上回ったと言う意味では、とうの昔に自転車や車は人間が走れるスピードを超えています。これは人間の能力を「一定の距離を走る速度で比較」したときには、人間を超えているとすることができます。
ただ、どのエンジンが優れているかを一定の尺度で比較するという意味では参考になると思います。
AIに善意は宿るか 「ゴッドファーザー」が憂える数式
山崎 俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 教授
数式モデルを立てることの難しさを考えていたときに、ふと下記のエピソードを思い出しました。
アインシュタインは宇宙が膨張しているという予測に納得できず、宇宙は静止しているのだということを言うために宇宙項という項を足してしまいます。後に本人が撤回していますが、数理モデルはあくまでもこれまで観測できた事象に対して内挿したり、もしくは自分の予想するなにかを主張するためにいろいろと理論をつけて当てはめたりしているだけです。特にGDPの予測など、裏に物理・数学的メカニズムがないものに対しては外挿(将来の予測)は無力です。
アインシュタイン方程式と人生最大の過ち?
https://home.hirosaki-u.ac.jp/relativity/%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E8%AB%96%E7%9A%84%E6%99%82%E7%A9%BA%E3%81%AE%E8%A1%A8%E3%81%97%E6%96%B9/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%E3%81%A8%E4%BA%BA%E7%94%9F%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%81%AE%E9%81%8E%E3%81%A1%EF%BC%9F/
これから頭のいい人と悪い人の格差はさらに広がる…和田秀樹「AI時代こそ学力が求められる当然の理由」
山崎 俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 教授
「やはり基礎学力というものは、どんな時代にも不可欠なものです。」
完全に同意します。
基礎学力はスポーツにおける基礎トレと一緒です。基礎をおろそかにしてその上に何かを積み上げようとしても砂上の楼閣です。
さらには、破壊的イノベーションは10年に1度程度の頻度で起きており、その視点からみるといまのAIも「過去のもの」になってしまうリスクは極めて高いと思っています。そのときに重要なのは、仮にAIを凌駕する新しい技術が出てきたとしてもその本質を理解し、使いこなし、それに基づいて新価値をさらに創造できる人です。そのためには基礎学力は今以上に重要だと考えます。
NORMAL
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