「企業版オレオレ詐欺」とも呼ばれるビジネスメール詐欺の被害が後を絶たない。数億円単位をだまし取る、小口を積み重ねて引き出すなど、犯罪者の手口は様々だ。人工知能(AI)による検出や財務システムのデジタル化など、被害を食い止める方法が模索されている。

 「送付した書類に間違いがありました。請求書を改めてお送りしますので、記載の口座に入金してください」──。あなたはこれが詐欺メールだと気づくことができるだろうか。

 取引先や社内の経営幹部をかたった巧妙なメールを財務担当者などに送り、人の弱みや焦りにつけ込んで偽の口座に送金させる「ビジネスメール詐欺」。冒頭のようなメールを受信し気づかないうちに送金してしまった、といった事例が後を絶たない。

トヨタ紡織は40億円の被害

 米国連邦捜査局(FBI)によると2013年10月から18年5月までに米インターネット犯罪苦情センター(IC3)などに報告されたビジネスメール詐欺は8万件弱、被害総額は約120億ドル(約1兆2600億円)に上る。国内でもトヨタ紡織が19年9月、ベルギーにある欧州子会社が最大40億円の詐欺被害にあったと発表した。

 「企業版オレオレ詐欺」とも呼ばれるビジネスメール詐欺は、不自然な日本語が使われていたりするなど、注意すれば気づける場合も多い。

この記事は有料会員登録で続きをご覧いただけます
残り2119文字 / 全文2686文字

【5/16締切!】春割・2カ月無料 お申し込みで…

  • 専門記者によるオリジナルコンテンツが読み放題
  • 著名経営者や有識者による動画、ウェビナーが見放題
  • 日経ビジネス最新号12年分のバックナンバーが読み放題