サッポロホールディングス傘下の事業会社、サッポロビールの主力ブランド「黒ラベル」が好調だ。外出自粛の影響で飲食店を中心とした業務用の販売数量は落ち込んだが、巣ごもり消費を追い風に家庭用が伸長した。家庭で飲まれる缶製品の1~11月の販売数量は前年同期比107%。12月17日の時点で2019年の出荷実績を上回り、6年連続で前年超えとなった。10年がかりの取り組みが、コロナ下で結実している。
社内では「死んだブランド」だと思われていた黒ラベル。復活の背景を生産現場出身の髙島英也サッポロビール社長に聞いた。
髙島社長が入社した1980年代は、サッポロに勢いのある時期でした。
髙島英也・サッポロビール社長:黒ラベルは非常に順調でした。当時は工場で働いていましたが、プリンターから日々の出荷状況が出力されるのを眺めて、同僚たちと「すごいな」と話していたのを覚えています。
消費者のことを分かっていない会社
87年にアサヒビールが「スーパードライ」を売り出して、大ヒット商品になりました。他のビール各社もドライビールに参入し、「ドライ戦争」と呼ばれました。
髙島氏:うちも黒ラベルをリニューアルしたほうがいいということで、「サッポロドラフト」を出しました。ちょっとお勉強しすぎたんですね。ブランドはいいうちにリニューアルしたほうがいい、なんて言ってしまって。でも発売したらすごく批判を受けて、「どうして黒ラベルを捨てたんだ」という声が市場から上がりました。
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