日本学術会議が総会 「任命拒否」批判の声明案を議論

日本学術会議の事務局が入る建物と看板=東京都港区(鴨川一也撮影)
日本学術会議の事務局が入る建物と看板=東京都港区(鴨川一也撮影)

 日本学術会議の最終的な意思決定を行う総会が21日午前、東京都内で始まった。会員らが出席し、菅義偉(すが・よしひで)首相による新会員候補6人の任命拒否問題の解決を求める声明案などについて議論した。会期は23日まで。

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、総会はオンラインとの併用で開催され、計165人が出席。会員候補の任命拒否をめぐる声明案では、「会議の独立性を侵す可能性があるものといわなければならない。その是正をはかることができるのは、任命権者たる内閣総理大臣をおいてない」とした上で、「即時任命するよう要求する」との文面の草稿が示された。

 ただ出席者からは、「声明よりも(強い姿勢を示す)要望や勧告にすべきだ」「このまま出すとまたスルー(黙殺)される予感がする」などとの異論が噴出。梶田隆章会長は「意見を踏まえ、幹事会で議論し、22日の総会で改めて案を示したい」と引き取った。

 総会には井上信治科学技術担当相も訪れ、「(会員候補の)任命をめぐる経緯を通じて、(会議側が)懸念を持っていることは理解している。ナショナルアカデミー(国を代表する学術団体)としての機能を発揮してもらいたいという願いは同じ」とあいさつした。

 学術会議は今月8日、会議の在り方の見直しをめぐる報告書案を公表。焦点となっている組織形態について、ナショナルアカデミーとしての役割を果たすには、首相所管の「特別の機関」である現行の姿が「ふさわしいもの」とする一方、国から独立する場合にも触れ、相当な準備や時間が必要とした上で「特殊法人とする余地がある」と併記した。総会では会期中に、この報告書案についても議論が行われる予定。

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