米国務長官「中国に出遅れた」 環境対策、攻勢誓う

19日、米東部メリーランド州アナポリスで演説するブリンケン国務長官(ロイター)
19日、米東部メリーランド州アナポリスで演説するブリンケン国務長官(ロイター)

 【ワシントン=塩原永久】ブリンケン米国務長官は19日の演説で、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)の分野で中国が先行し、「米国が出遅れている」と述べて危機感を示した。米国が国際的な環境対策を主導する外交を積極的に進め、米国製品の輸出拡大と、国内の産業振興につなげる必要性を強調した。

 ブリンケン氏は東部メリーランド州の環境団体で演説。気候変動は国土や人命を危うくする「脅威」である一方、新たな産業を生み出す恩恵を持つ「両側面がある」と指摘し、米国が好機を生かせるかどうか「テストに直面している」と述べた。

 さらに、再生可能エネルギー市場の急成長が見込まれる中で、中国が太陽光パネルや風力タービン、EVなどの導入規模や輸出量、知的財産権の保有量の面で先行していると分析。「米国が追い付かなければ無数の雇用を失う」と懸念を示した。

 中国は発展途上国への太陽光パネルなどの輸出を増やし、途上国での影響力を高めている。ブリンケン氏は、米国が太陽光設備の大規模導入を後押ししたアフリカのアンゴラなどの例を引き、途上国への支援を強化する考えを強調した。

 また、22日から米主催で開く気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)に言及し、環境問題を「米外交の中核に位置付ける」と表明。世界的な取り組みを加速させる外交的な働きかけを強める構えだ。

 一方、エネルギーの調達で「石炭に頼ったり、新たな石炭工場に投資する国々は、それがいかに有害かということを米国や友好国から聞かされるだろう」と述べ、石炭火力発電などに批判的な姿勢をにじませた。

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