復興庁の「トリチウム」キャラ、公開中止 原発処理水の安全性PRに批判噴出

2021年4月14日 20時19分
 復興庁は14日、東京電力福島第1原発の処理水の安全性をPRするため、放射性物質トリチウムを「ゆるキャラ」のようなかわいらしいデザインで表現したチラシや動画の公開を中止した。13日に公開した直後から、被災地やインターネット上で批判が噴出していた。(中根政人)

キャラクター化されたトリチウム

 復興庁はホームページ上で「国民のさまざまな声や感想を踏まえ、トリチウムのデザインを修正する。このため、当該チラシ及び動画の公開をいったん休止する」と説明した。
 同庁の角野然生統括官は14日の参院資源エネルギー調査会で、チラシや動画の作成に関し、電通に発注して費用は「数百万円程度」と説明。「ゆるキャラではなく、科学的根拠に基づく正しい情報を分かりやすく解説するためのイラストの一部」と述べた。共産党の山添拓氏は、トリチウムのキャラクター化について「事故を起こした原発から放出されるトリチウムは親しむべき存在ではない」と指摘した。
 政府は13日に処理水の海洋放出方針を決定したことに合わせてチラシや動画を公開。会員制交流サイト(SNS)には「漁業者や地元住民へのひどい仕打ちだ」「国民をばかにしているのか」などと批判的な書き込みが相次いでいる。

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