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Photographer: David Paul Morris/Bloomberg
Cojp

米住宅価格が高騰、供給細る中で需要旺盛-瞬時に物件奪い合いの様相

  • 物件のほぼ半数が市場に出てから1週間以内に売れる記録的なペース
  • 柔軟な働き方の選択肢、金利上昇の足音が購入需要を後押し

住宅売買の繁忙期に当たる春季、全米で購入希望者が少ない物件を巡り争奪戦を繰り広げている。入札合戦は普通で、物件確保に向けた戦術も展開されている。

  需要は非常に旺盛で、不動産サービス会社レッドフィンによれば、国内の物件のほぼ半数が市場に出てから1週間以内に売れるという記録的なペースだ。3月は年間の価格上昇率が17%に達し、データのある2012年以降最高だった。不動産会社は入札期間を数日間に制限し、その後買い手が競い合う形となっている。

  レッドフィンのチーフエコノミスト、ダリル・フェアウェザー氏は「新規物件にはすぐさま購入希望者が現れる。現状では、物件が売り出されてから5日たっても申し込まなければ、全く検討してもらえない」と語った。

Wealthy Havens Lure Homebuyers in 'Mad Rush' From San Francisco

売り出し中の看板が掲げられた一戸建て住宅(カリフォルニア州)

  記録的低水準の住宅ローン金利と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でリモートワーク用に広めの住宅を希望する動きに後押しされ昨年始まったブームが、ここにきて加速。景気回復への楽観的観測が強まり、借り入れコストの上昇も予想される中、約1年の巣ごもり状態で潤沢な貯金を持つ人たちが参入している。一部の雇用主は長期にわたり働き方に柔軟性を持たせる意向を示唆しており、購入希望者らは対象物件を郊外やより価格の安い地区へと広げることも可能だ。

  一方で物件の供給は急速に細っている。春から夏にかけては在庫が増えるのが通常だが、レッドフィンによると今年の3月は売却物件が前年に比べ4割余り落ち込み、過去最低。新築住宅も建設が需要に追い付かない状況で、価格上昇にもつながっている。

  供給が少ない一因として、今保有している不動産を売却してもより良い物件を入手するのが困難なのではないかと住宅所有者が考え、売却に消極的なことも挙げられる。パンデミックの中で自宅が「オープンハウス」となり他人が出入りするのは避けたいという傾向もある。ただ、売りに出した人たちはかなりの見返りを受けている。

  買い手側は高い購入金額を提示するとともに、建物状況調査(インスペクション)と住宅ローンが借りられなかった場合の契約解除権(モーゲージコンティンジェンシー)の放棄といった戦術をとっている。レッドフィンのエージェント、アンドルー・コロディー氏によると、売り主に最大2000ドル(約21万9000円)のギフトを贈る購入希望者までいる。

  今回のブームは、特にローン金利が過去最低水準から上昇基調を見せていることもあり、住宅価格が潜在的な買い手候補たちの手の届かないレベルに達することで終末を迎える恐れもある。感染が収まってくれば、売却を先送りしていた人たちが決断し、市場で在庫が増えることもあり得る。

  ただ現時点ではほぼ全国的に需要が高まっている状態で、レッドフィンのデータによれば平均的な米国の住宅が希望売却価格を上回る価格で売れており、こうした状況は初めてだ。

Bidding High

Homebuyers are having to make offers above the list price to win homes

Source: Redfin

原題:Home Prices Soar in Frenzied U.S. Market Drained of Supply(抜粋)

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