東芝買収、今月中旬に本格提案

東芝買収を目指す英投資ファンドのＣＶＣキャピタル・パートナーズが今月中旬に本格的な買収提案をすることを受け、東芝が独立して提案を審査する特別委員会を月内にも設置する方針であることが１２日、分かった。ＣＶＣは、７～８月の株式公開買い付け（ＴＯＢ）を視野に交渉を進め、１０月にも上場廃止を見込む。東芝は社内の検討チームとは別に、社外の弁護士や会計士など外部の専門家による特別委でもＣＶＣの提案内容を検証する。

６日付のＣＶＣの初期提案によると、今月中旬にさらに踏み込んだ本格提案を示した後、株主の賛同を広く得るために６月ごろには最終提案を行い、６月下旬に予定される株主総会に間に合わせたい考え。ＣＶＣは初期提案を送付した時点の株価から約３割高い１株５０００円で買い取る意向を示しており、買収額は２兆３０００億円規模となる。ＣＶＣ単独の買収は予定せず、官民ファンドの産業革新投資機構や日本政策投資銀行など金融機関、国内の事業会社に買収参画を幅広く打診する。上場廃止後は、企業価値を高めた上で約３年後の再上場を計画する。

東芝はＣＶＣの本格提案後に、取締役会で特別委の設置を決議する予定だ。経済産業省の企業の合併・買収（Ｍ＆Ａ）に関する指針では、特別委は企業価値の向上や一般株主の利益を図る観点から提案内容を審議するとしており、「買収提案を受け次第、可及的速やかに設置するのが望ましい」と明記している。設置は任意だが、取締役会は特別委の検討結果を受けて最終的な意思決定をするのが通例となっている。

東芝は社内の検討チームでも副社長をトップに提案内容を分析。ＣＶＣ日本法人の会長を務めていた車谷暢昭社長には途中経過を報告しない方針だ。

一方、東芝の大株主であるシンガポールの投資ファンド、３Ｄ・インベストメント・パートナーズが東芝株を買い増し、保有比率を７・２％に高めたことが判明。３Ｄが今月２日に関東財務局に提出した大量保有報告書によると、３月２９日付で４・７％分を取得しており、第２位株主になっているとみられる。３Ｄは昨年７月の定時株主総会で車谷社長の選任に反対しており、今後経営陣との緊張関係が一層高まりそうだ。