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「裏切られた気分」…化粧品の紙ボトル、開けてみたらプラスチックだった=韓国

登録:2021-04-10 09:49 修正:2021-04-10 12:12
イニスフリー、「ペーパーボトル」の内側にプラスチックを使用 
プラスチックの使用量を半分に減らしたというが 
誇張の宣伝に消費者は「裏切られた気分」
フェイスブックグループ「プルチャル」(プラスチックがなくても豊かに暮らす)の今月7日の掲載物よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 「去年の夏、イニスフリーで買った『紙ボトル』のセラムを使いきって、中身を開けてみたらプラスチックの瓶が入っていました。裏切られた気分! パッケージに『アイ・アム・ペーパーボトル』と書かれているし、エコ製品と打ち出していたから選んだのに。何か処置するべきじゃないですか?」

 昨年6月、アモーレパシフィックの子会社のイニスフリーから発売された「グリーンティーシードセラム・ペーパーボトル」をめぐり、“グリーンウォッシング”(環境に配慮しているように装ってごまかすこと)議論が起きている。紙の容器を使い環境にやさしい製品として宣伝されていたがものの、内部にプラスチック容器が入っていることが発覚してからだ。企業のエコ革新とグリーンウォッシングの間で、消費者の混乱が大きくなっている。

 この製品の表面には、商品名が入る場所に「Hello, I'm Paper Bottle」と書かれている。紙の容器であることを前面に打ち出したエコ・ブランディングだ。イニスフリーのオンラインモールでは、最近まで160ミリリットルの大容量商品を買うと「エコクロスバッグ」がもらえるというマーケティングも行っていた。消費者は「容量も大きくて環境にやさしいペーパーボトルなので満足しています」「ケースが環境に配慮する材質なのも良いですね」「イニスフリーは環境に配慮するアイテムが多くて好き」などのレビューを残した。

 今月7日、フェイスブックのグループ「プラチャル」(プラスチックがなくても豊かに暮らす)には「イニスフリーのペーパーボトルの中からプラスチックの本体が出てきた」という内容の書き込みが掲載された。消費者は怒った。

 イニスフリー側は本紙の確認要請に対し、「自社のホームページと製品の容器に『プラスチックと紙を分けて捨ててください』と案内しているが、製品名を『ペーパーボトル』としたため混乱を招いた。製品名のせいで容器全体が紙材質と認識されるということを見落としていた。お客様を混乱させて申し訳ない」と述べた。

イニスフリーのオンラインショッピングモールよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 イニスフリーは本当にグリーンウォッシングをしたのだろうか。

 まず、問題になった紙の容器がエコ製品でないわけではない。イニスフリー側の説明によると、当該製品は内部にプラスチック容器を使用し、表面には紙ラベルをかぶせた形で既存の製品と比べてプラスチックを51.8%削減した。内部容器は無色のポリエチレン(PE)材質を使用し、リサイクル率を高めた。米国カリフォルニアに基盤を置く企業「エコロジックブランド」(Ecologic Brands)も、紙の外側にプラスチック袋と蓋を重ねた形の包装容器を生産し、注目を集めている。

 問題は、このような製品について環境にやさしいというイメージを膨らませてPRする時だ。意味ある消費のためにお金を払った人々は、環境への配慮が誇張されているという事実に混乱と裏切りを感じやすい。イニスフリーが紙容器問題について掲示したフェイスブックの文章には、「消費者を愚弄する企業」というコメントと「企業の立場としても、費用をかけてプラスチック使用を減らしたのは事実だ」というコメント、「それでもペーパーボトルという宣伝は無理がある」というコメントが書かれ、討論が繰り広げられた。緑色連合のホ・スンウン政策チーム長は「『ペーパーボトル』という名前を強調すれば消費者は紙だけでできた容器だと思いやすい。まるでプラスチック問題を解決したかのように宣伝したことが怒りを招いたと思う」と話した。

イニスフリーのオンラインショッピングモールよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 企業が製品の環境への配慮を実際より誇張して宣伝するのは、今回が初めてではない。BGFリテール、ロッテマートなどが「腐るプラスチック」として導入した生分解性プラスチックも、その趣旨とは異なり焼却されたり腐る条件を備えていない場所に埋め立てられるケースがほとんどだという。今年1月に発行された緑色連合の報告書「生分解性プラスチックの誤解と真実」によると、韓国の生分解性プラスチック処理指針は従量制ごみ袋(一般ごみ)に捨てるものだが、このようにして捨てられた廃棄物の半分以上は焼却される。2018年現在で1日の全排出量2万5572トンのうち、52.7%が焼却され、28.9%が埋め立てられている。

 また、エコ製品に対する消費者の期待と企業の基準が一致していないという指摘もある。資源循環社会経済研究所のホン・スヨル所長は本紙との通話で「イニスフリー側では既存の化粧品容器を基準にして材質構造を改善したと考えるが、消費者の目線には合わない。『プラスチック内部の容器だけを使えばいいのに、なぜあえて紙容器をかぶせたのか』という疑問も残りうる」と話した。それとともに「企業が意図的にグリーンウォッシングをしたのではなくても、安易なアプローチという批判は避けられない。プラスチックさえ減らせばいいという単純な論理が、消費者の基準に合わないということを示す一例だ」と付け加えた。

 一方では、プラスチックを使わずに製品の容器を生産しようとする試みも出ている。アイコープ生協は来月、プラスチックを使わない「滅菌パックミネラルウォーター」を発売する予定だ。アイコープ生協の関係者は「滅菌牛乳パックと似た形の滅菌パックミネラルウォーターを来月中に発売し、流通する予定だ。本体は紙とコーティング紙でできており、蓋はサトウキビの材質で、プラスチックは全く使われていない」と話した。

キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/990392.html韓国語原文入力:2021-04-09 21:34
訳C.M

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