【シンガポール=森浩、北京=三塚聖平】国軍がクーデターで実権を握ったミャンマー情勢をめぐり、在ミャンマー中国大使館は9日までに、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)議員とクーデター後初めて接触した。ミャンマー地元メディア「イラワジ」が伝えた。中国は国軍とも関係が深く、民主派との仲介に乗り出す可能性がある。
中国大使館の外交官が、NLD議員らによって事実上の臨時政府として組織されたミャンマー連邦議会代表委員会(CRPH)のメンバーと電話でやりとりした。中国側は仲介役を果たすことには言及しなかったが、CRPHとの連絡窓口を設ける意向を示したという。CRPHは民政復活を支持するよう求めた。
中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は9日の記者会見で、イラワジの報道について「中国はミャンマーの各党各派と長期的な友好や付き合いがある」と述べるにとどめ、否定しなかった。
ミャンマー人権団体によると、国内での弾圧による市民の犠牲者は8日時点で614人となった。国軍報道官は9日の会見で、国軍の管理下で行う新たな総選挙について「2年以内に行われる」と述べた。これまでは1年間の予定で発令した非常事態宣言の終了後、実施するとしていた。