中国、処理水海洋放出「周辺国と協議し慎重に決定を」

中国外務省の趙立堅副報道局長=7日、北京(共同)
中国外務省の趙立堅副報道局長=7日、北京(共同)

 中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は9日の記者会見で、日本政府が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出の方針を固めたと報じられたことについて、「周辺国との十分な協議を基礎とし、慎重に決定すべきだ」と述べた。

 趙氏は日本政府に対し、「自国民や周辺国、国際社会に対して重い責任を負う態度を堅持し、処理計画がもたらす影響を深く評価」するよう求めた。

 中国メディアも9日、処理水処分問題について相次ぎ報じた。国営中央テレビは「日本政府が、多方面からの疑義に遭遇している」と、日本国内などで反対論があることを伝えている。

 中国は、日本が米国と対中連携を深めていることにいらだちを隠さなくなっており、今後の動向次第で処理水の処分問題を対日圧力の一環として利用する可能性も指摘されている。

 韓国外務省当局者は「日本政府に透明性のある情報公開や環境基準の順守、客観的な検証の必要性を強調してきた。今後も日本政府を含むすべての利害当事国と緊密に、持続的に議論していく」と述べた。

 韓国紙が伝えた。韓国では海洋放出への反対論が強い。

 台湾の外交部(外務省に相当)報道官は「海洋環境と台湾人の健康に関わる」とし、日本に処理方法などの早急な通知を求めた。

 (北京 三塚聖平、ソウル 時吉達也、台北 矢板明夫)

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