米イラン間接協議の行方は…強気の背景に「中国」

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 米国とイランは6日、ウィーンで2015年のイラン核合意をめぐる間接協議を始める。米国はトランプ前政権が合意を離脱した18年から協議に応じていないが、欧州連合(EU)の仲介による間接的な形ながらもイランとの協議に踏み出すことで、合意を軌道に戻せるかに注目が集まる。米国、イラン双方の思惑を探った。(カイロ 佐藤貴生、ワシントン 大内清)

イランの強気に中国の影

 間接協議は核合意当事国の英仏独中露とイランが6日、合意の履行状況を検証するため開く合同委員会に合わせ、米代表団がウィーンに滞在して行われる。

 核合意はイランが核開発を制限する代わりに米欧が同国への制裁を解除する枠組み。米国は核合意離脱で制裁を復活させたが、EUは、米側の制裁解除とイランの核合意順守に関して優先順位を定めたリストを作成し、並行して交渉を進める方針を示している。

 だが、イランのアラグチ外務次官は4日、段階的な制裁解除は「受け入れない」と述べ、全制裁の一括解除を要求。EUが目指す段階的な協議進展に難色を示したのは、米欧を揺さぶる狙いとみられる。

 イランは1月、核兵器級に近づく濃縮度20%の濃縮ウラン製造を始め、2月には国際原子力機関(IAEA)の「抜き打ち査察」の受け入れを停止して合意からの逸脱行為を続けた。これらの行為は昨年12月、反米の保守強硬派が多数を占めるイラン国会が法制化し、国際協調派のロウハニ政権に実行を義務付けたもので、今年6月の大統領選に向けて保守強硬派が勢いづけば対米関係の停滞が長期化する可能性が高い。

 中国との関係強化もイランの米欧に対する強硬姿勢を強める可能性がある。イランは3月下旬、中国と25年間に及ぶ包括的協力協定に署名。中国が巨額投資を実施すれば制裁の効果は弱まり、イランが核合意で妥協する必要がなくなるとの見方も出ている。

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