fbpx
Photo: mana5280 / Unsplash

Photo: mana5280 / Unsplash

ブルームバーグ(米国)ほか

ブルームバーグ(米国)ほか

Text by COURRiER Japon

正しい国境はどこだ?


昨年11月、中国のチベット自治区とブータン王国が接する地点に、中国が新たな村を建設したことが報じられた。トルサ川(インド名)沿いに「20数軒の家が建てられ、100人が移り住み、中国の国旗を掲げた」と米紙「ニューヨーク・タイムズ」は報じている。ただ問題なのは、この村の座標が、ブータンが自国の領土だと主張している境界より約1.6キロ内側にあることだ。

「ニューヨーク・タイムズ」によればこれは中国の常套手段で、「中国は近隣諸国の権利や主張を無視し、現場の事実を一方的に変えてしまうことで、領土問題で優位に立ってきた」という。

こうした領土争いがあるなかで問題になってくるのが、地図だ。決着がついていない領土問題がある場合、いったい誰の引く地図が正解になるのだろうか。

政府や大学などの機関、そしてAmazonやFacebookなどの企業が使っているオープンソースの地理データプラットフォームに「OpenStreetMap」(OSM)がある。誰でも自由に編集できる地図のプラットフォームで、いわば「地図版Wikipedia」のようなものだ。このOSMのデータは世界中の人々が使っているサービスに利用されており、今となってはテクノロジーを支える重要なツールになっている。

米誌「ブルームバーグ」によれば「2004年に誕生したOSMは、今や世界のテクノロジー・インフラに欠かせない存在だ」という。「ライドシェア・アプリから人道支援活動まで、毎月何億ものユーザーがOSMのデータを使ったサービスを利用している」

このように、OSMは誰でも編集できる民主的かつオープンなサイトだ。しかしそれ故に、投稿者の政治的背景や思想に左右されてしまう側面もある。

テクノロジーに特化したウェブメディア「レスト・オブ・ワールド」が、OSMのある投稿者に注目していた。ユーザー名「NM$L」で地図を編集するこの人物は、中国の国境沿いや紛争地域によく手を加えているという。
残り: 1495文字 / 全文 : 2350文字

読者のコメント 0
コメントを投稿するには会員登録が必要です。
ブルームバーグ(米国)ほか

ブルームバーグ(米国)ほか

おすすめの記事

loading

表示するデータはありません。

注目の特集はこちら

loading
    • {{ item.type }}
    • UPDATE

    {{ item.title }}

    {{ item.update_date }}更新 [{{ item.count }}記事]

表示するデータはありません。