台湾の蔡英文総統 パラオ大統領と会談へ 4月1日から団体観光客の往来を解禁

台湾の蔡英文総統(総統府提供)
台湾の蔡英文総統(総統府提供)

 【台北=矢板明夫】台湾の蔡英文総統は30日、訪台しているパラオのウィップス大統領と会談し、「台湾とパラオはこれまで、観光や防疫など多分野で協力し、信頼関係を築いてきた。これからは頻繁な人的往来を通じ、素晴らしい未来を切り開きたい」と語った。ウィップス氏は蔡氏にパラオ訪問を要請した。

 台湾はパラオと外交関係を持ち、1月に大統領に就任したばかりのウィップス氏にとって台湾は初めての外遊先だ。パラオは台湾から医療支援を受けるなどして新型コロナウイルス感染症の流行抑制に成功している。双方は4月1日から団体観光旅行を解禁することで、すでに合意している。

 台湾が外交関係を結んでいる国はパラオを含め15カ国のみ。パラオと同じ太平洋の島国、ソロモン諸島とキリバスは2019年に台湾と断交している。中国はさらにパラオにも観光客の渡航を制限するなどし、経済的な圧力をかけて台湾との断交を迫ってきた。

 ウィップス氏の訪台には米国のヘネシーナイランド駐パラオ大使が同行した。米国は、パラオと台湾の外交関係の維持を支持しており、米中攻防戦で舞台の一つとなっている。

 ウィップス氏はすでに蘇貞昌(そ・ていしょう)行政院長(首相に相当)、呉●(=刊の干を金に)燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相)と会談した。

 ウィップス氏は29日夜に記者会見し、新型コロナ対策で台湾から支援を受けたと感謝の意を表明した上で、今後も台湾と「強固な関係」を継続すると強調した。中国からの圧力について、ウィップス氏は「外交関係を維持するのに必要なのは、相互信頼と互恵であり、脅迫や政治ゲームではない」と述べ、中国の強引な外交姿勢を厳しく批判した。

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