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盗聴法に反対する市民連絡会では3月14日付で
反対声明を発表しました。

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デジタル関連法案=デジタル監視社会化法案反対声明

           盗聴法に反対する市民連絡会

菅政権は、今国会にデジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置
法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する
法律等6法案を上程しました。(以下、デジタル監視社会化法案
と呼ぶ) これらの法案を貫く基本的な考え方は、私たち個人一人
一人の個人情報とコミュニケーションを網羅的に政府が把握し、
管理・監視・制御することを目指したものであり、これまでにな
い監視社会の新たな段階を画すものになっています。

*利便性の罠にはひっかからない!
現代の監視社会は、必ずしも不自由で抑圧的な社会を目指してい るわけではありません。スマホで簡単に調べものができ、買い物 ができ、友人たちとのコミュニケーションができる、そんな便利 な社会でもあります。安全・安心のために子どもや高齢者を見張 るAIやGPSのような仕組みは、私たちが監視されるだけでなく、 監視する側にもなることで、「利便性」を享受させて監視社会に 加担させる社会でもあります。 現代の監視社会は、この利便性や安心をコンピュータの仕組み に委ねています。そして、この仕組みを企業や政府がサービスと して私たちに提供する環境が生活の基本になってしまいました。 しかし、私たちのほとんどが、コンピュータの仕組みがどのよう なものなのかを知りませんし、知ろうと思っても高度な知識を要 求されるか、秘密の壁に阻まれ、ほとんど何もわからないまま、 この便利さを信じることに慣れさせられています。コンピュータ を信じることが当たり前の社会になっています。 政府や企業が長年にわたって与えてきた便利さやコンピュータを 「信じること」が当たり前となったライフスタイルを一旦リセッ トすること、これが私たちにとって大切な闘いの一部になってい ます。 *これ以上自己情報は渡さない!
私たちの基本的人権でもある個人情報やコミュニケーションの権 利は、政府や企業を根拠なく信じることで保証されるものではあ りません。私たちは、自分自身についての情報がどのような仕組 みで、誰が、何の目的で収集し、誰と共有しているのかを知る権 利がありますし、また、私たちの意思によって、情報をどのよう に扱うべきかを決める権利があります。なぜなら、私の情報は私 のものであって、政府や企業のものではないですし、商品として 売り物にしたり、私たちを監視するための手段にすべきものでも ないからです。 私の情報には、名前や生年月日などの基本情報だけでなく、思想 信条にかかわる情報も含まれますし、他の人たちとのコミュニケ ーションもまた私と相手が共有する情報であり、これらは、言論 表現の自由の基本をなすとともに、憲法で保証された通信の秘密 によって保護される領域でもあります。こうした情報を政府や企 業が事実上自由に利用することを可能にするような情報通信の社 会基盤は私たちの基本的な権利を侵害するものであって認められ ません。 したがって、私たちが自分自身の情報を自分で管理できる権利は、 私たちの思想信条の自由、表現の自由、通信の秘密など基本的人 権としての自由の権利と一体のものです。また、この私たちの自 由の権利と政府や企業による私たちの情報の自由な利活用とは両 立しません。言うまでもなく、私たちの自由の権利こそが基本的 人権で保障されるべきものですから、政府や企業の自由は抑制さ れなければなりません。 もはや政府・企業が保有している自己情報のコントロールの権利 だけでは私たちの権利は守りきれなくなっています。私たちは、 ビッグデータの時代にあって、政府であれ企業であれ私たちの情 報を与えない権利を確立することが非常に大切になっています。 *技術が公開されないなら法は信用できない!
デジタル監視社会化法案は、私たちの考え方と真っ向から対立し ます。とりわけ「公的基礎情報データベース(ベース・レジスト リ)の整備」が随所に盛り込まれていることには重大な関心を持 たざるをえません。ベース・レジストリは、ビッグデータを前提 に、官民の個人情報などを統合して管理し、官民が相互に保有す る情報を利用できるようにする仕組みであり、この仕組みが出来 上がると、事実上個人情報の保護は意味をなさなくなります。 しかも、この仕組みと「ワンス・オンリー」(注)と呼ばれる行政 情報の省庁横断した共用の仕組みが組み合わされることが計画さ れています。これらの仕組みが円滑に作動するためにマイナンバ ーが活用されることになるでしょう。こうした仕組みを統括する デジタル庁が官邸直轄の組織として設置されることになりますか ら、官邸が監視社会の司令塔になるということにもなります。 ベース・レジストリを通じて、個人情報が政府と企業の利益を支 える資源となってフィードバックを繰り返すなかで、官邸を頂点 とするデジタル監視社会が強固な地盤が確立することになるでし ょう。 デジタル監視社会化法案は「法」に過ぎないことにも注意する必 要があります。コンピュータは法に縛られません。政府であれ民 間であれ、私たちの個人情報が処理されるコンピュータのシステ ムの実態は秘密のベールに包まれたままです。国会でコンピュー タのプログラムが審議されることもありません。しかし、実際に 私たちの個人情報がどのように扱われるのかを決めるのは法では なく、コンピュータに命令を下すプログラムなのです。このプロ グラムが公開され、誰もが検証できるようでなければ法案の審議 は意味をなしません。 *基本的人権は手放さない! 私たちは、憲法で保障された基本的人権を侵害する法案には反対 であり、そもそも審議すべきではなく、即時廃案にすべきと主張 しますが、百歩譲って審議するのであるなら、法案だけでなく情 報通信のシステムそのものの設計、プログラムもまた検証できな ければならないと主張します。権利の保障は法だけでなくコンピ ュータのプログラムによっても左右されるからです。 もしコンピュータのプログラムが私たちの権利を保障できないの であれば、利便性を喜んで犠牲にして、コンピュータ化、デジタ ル化とは別の統治機構を選択したいと思います。私たちは、たと え、利便性を手放しても私たちの基本的人権を手放すことはあり ません。 私たちは以上の声明だけでなく、今後、デジタル監視社会法案や する動きのにあわせて、随時必要な声明など私たちの主張を明か にしていくつもりです。                      2021年3月14日 (注)ワンス・オンリーとはマイナンバーを利用して「一度提出し た情報は、二度提出することを不要とする」仕組みのこと。 2019年に施行されたデジタル手続法のなかで「デジタル技術を 活用した行政の推進の基本原則」のひとつと位置づけられている。

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