東芝が18日に臨時総会 経営陣、「物言う株主」と激突

東芝は、18日午前に東京都内で臨時株主総会を開く。臨時総会をめぐっては、大株主である2つの投資ファンドが「物言う株主」として開催を要求。東芝は要求を受け入れる一方、ファンドが出した株主提案に反対するよう他の株主に呼びかけており、主張は真っ向からぶつかり合っている。仮にファンド側が勝利した場合、東芝経営陣は苦しい立場に追い込まれそうだ。

株主提案を出したのは、東芝株の10%弱を保有する筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメント(シンガポール)と、第2位株主で5%以上を持つとみられる米ファラロン・キャピタル系のチヌーク・ホールディングス。エフィッシモは、昨年7月に東芝が開いた定時株主総会の運営に不備があったと主張。議決権行使をめぐる集計ミスに関する東芝の調査を不十分とし、独立して調査にあたる者として弁護士3人の選任を提案している。

エフィッシモは「一部株主が議決権行使で圧力を受けた」とも指摘。経済産業省参与(当時)が米ハーバード大の基金運用ファンドに対し、東芝の提案に反対しないよう圧力をかけた疑惑の解明も求める。

一方、チヌークは東芝が昨年11月に自律的な成長と小規模なM&A(企業の合併・買収)を柱とする成長戦略の方針を変更したため、株主還元に影響が出かねないと主張。方針変更は総会で株主の了承を得る必要があるとする。

これに対し、東芝は1月半ばに総会開催を決定。2月17日には、取締役会が全会一致でファンドの提案に反対を決議した。エフィッシモの主張には「不当な圧力を疑わせる事実は認められない」などと反論。チヌークの指摘についても「そもそも成長戦略は変えていない」と否定する。

エフィッシモの提案は出席株主の過半数、チヌークの提案は3分の2以上の賛成が必要だ。エフィッシモの案に対しては、機関投資家の決定に強い影響力を持つ議決権行使助言会社の2社がそろって賛成を推奨。チヌークの案には片方だけが賛成している。

株主の間でも意見が割れている。今月に入り東芝株5%超を取得したことが明らかになった米資産運用会社のブラックロックは反対するとみられている一方、機関投資家の一部が賛成を表明しており、東芝経営陣にとっては予断を許さない状況となっている。(井田通人)

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