「科学だけでいいのか」調査委トップの苦悩と異例の判断 /2
毎日新聞
2021/3/7 08:00(最終更新 3/15 22:59)
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国の地震調査研究推進本部・地震調査委員会が2013年5月に公表したマグニチュード(M)8~9クラスの南海トラフ地震の長期予測では、30年以内に「60~70%」という発生確率が前面に打ち出された。しかし、実際に議論した地震学者たちは、別の算出方法による「10~30%」を支持していた。なぜ、このようなずれが生じたのか。非公開だった議事録などをもとにひもといていく。
研究が進むほど困難になる「予測」
地震の発生メカニズムは複雑で分かっていないことが多く、現在の地震学ではいつ起きるか正確に予測できない。地震の研究が進むほど、予測の難しさが分かってきている状況だ。
こうした中でも、地域によっては同じような規模の地震が、ある一定の間隔で繰り返し起きている傾向も読み取れる。このため地震調査委員会は、南海トラフ以外の全ての地震に関する長期評価では、過去の発生間隔のデータを使った「単純平均モデル」で確率を算出している。この手法で、南海トラフの地震発生確率を計算すると、30年以内に「10~30%」となるという。
ちなみに「30年」で区切って確率を示すのは「一般国民が人生設計を検討するに対象とするであろう期間」(地震本部の資料)との理由からだ。政策的に防災に生かすためで、決して地震学的な理由からではない。
しかし「30年」にしているがゆえの問題がある。地震の発生間隔は…
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