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自動運転車開発の中心地・米カリフォルニア州で、2020年11月末までの1年間に約30社が実施した公道での試験走行距離が計約320万キロと、地球80周分に上ったことが判明した。自動車メーカーだけでなく、巨大IT企業や中国系の新興企業も加わり、開発競争は激しさを増している。
データ蓄積
同州では人工知能(AI)など先端技術を使う自動運転車の開発が活発だ。開発では大量の運転データの蓄積が強みになるとされ、走行距離は各企業の開発状況を知る手がかりになる。
最も長く走行したのは、米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の「クルーズ」で124万キロだった。次いで米グーグル系の「ウェイモ」が101万キロ走行し、両社で全体の7割を占めた。ウェイモは18年、米国の一部地域で自動運転タクシーのサービスを始めるなど実用化で先行している。
自動運転の電気自動車参入に向け、提携するメーカーを探しているとの観測が広がるアップルは、登録台数で3位となる60台超を抱え、走行距離は3万キロだった。アマゾン・ドット・コムが買収した「ズークス」も走行距離で4位に入り、巨大IT企業が存在感をみせた。中国系の台頭も目立ち、10位以内に2社が入った。
国内各地でも
トヨタ自動車の米研究開発会社や日産自動車も試験走行をしていた。両社を含む日本勢は国内各地で試験を行っている。
アリゾナ州立大のアンドリュー・メイナード教授は「技術開発の進展で安全などに関する懸念が少なくなり、社会的に受け入れられる転換点にかなり近づいている」と話す。ただ、カリフォルニア州以外で走行試験を実施している企業もあり、「このデータだけでは企業の実力をはかれない」との指摘もある。
同州では50社以上が公道試験の認可を得ている。試験をする企業は走行距離や台数などを報告する必要がある。このデータをもとに読売新聞が走行距離などを集計した。
トヨタ、米企業と提携…ホンダはGM系と
自動運転の技術開発には巨額の投資が必要になる。このため国内勢は海外勢やIT企業と連携し、開発競争にしのぎを削っている。
トヨタは2月、米自動運転開発の「オーロラ・イノベーション」と提携した。配車サービスでの協力も視野に入れる。自動運転に対応するソフトウェア子会社も抱え、開発した技術は提携するスズキやマツダなどにも展開される見込みだ。
緊急時は人が操作する「レベル3」の自動運転車を5日発売したホンダは、さらに高度な「レベル4」の実用化を目指してGM傘下のクルーズに出資し、共同開発に取り組む。クルーズにはソフトバンクグループが主導する投資ファンドが出資し、マイクロソフトも提携を発表した。
日産、仏ルノー、三菱自動車の3社連合は、グーグル系のウェイモと日仏の無人ライドシェアサービスの実現に向け提携している。