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新型コロナウイルスのクラスター(感染集団)が発生した静岡城北高校(静岡市葵区)に7日、匿名の市民から22個の花束が全クラスと職員室に宛てて届けられた。城北高にはインターネット上などでクラスターに関する中傷が相次いでおり、贈り主は花に添えた手紙の中で、生徒や教職員を「応援したい」とつづっていた。生徒らは「勇気づけられた」と笑顔をみせている。(浦上華穂)
城北高では、1月に入り、生徒や教職員の感染が確認され、28日には静岡市からクラスターに認定された。2月以降は感染者が出なかったことから、市は今月5日にクラスターの収束を宣言した。これに伴い、先月22日からの臨時休校は終わり、生徒らは8日から登校している。
クラスター認定後、ネット上で「感染者何十人も出してんじゃねーよ」などの中傷が複数発見された。このほか、「感染者を教えろ」といった強い口調の電話が寄せられ、コロナの「二次被害」に生徒や教職員らが苦しめられた。
城北高によると、今月5日、地元生花店から「中傷を報道で知った人から、学校に花を贈りたいと注文があった。クラス数を教えてほしい」と電話があった。すると、7日夕方に3学年21クラスと職員室に宛てた計22個の花束が学校に届いた。ガーベラやスイートピーなどを束にしており、色鮮やかな突然のプレゼントに職員室では拍手と歓声がわき起こったという。
花束には贈り主の手紙が添えられ、中傷を知り、恥ずかしさと憤りを覚え、応援したいと考えたことなどが記されていた。そして生徒らに、こんなメッセージを贈った。
社会に出ると、理不尽なことでお心を痛めることが、きっとたくさんあるでしょう。でも、味方になってくれるひと、支え励ましてくれるひとは、必ずいます。夢と希望を抱き続けて、ご自身の道を
校長先生始め教職員の皆さま ご自身もお大切になさって、お力を尽くしてくださいますよう。(一部抜粋)
花束は全教室の教壇に置かれ、学校が再開した8日の朝礼時には全校放送で校長が手紙を生徒に向けて読み上げたという。3年生の男子生徒は、「休校で落ち込んでいたが、気持ちが明るくなった」と喜んだ。別の男子生徒も、「地元の人が応援してくれるのはうれしい」と笑みを浮かべた。
渡辺紀之校長(57)によると、中傷はいまだに続くが、卒業生などから、「城北高はいい学校。頑張れ」などの応援メッセージが届き始めているという。渡辺校長は「花束で生徒や職員たちは大変勇気づけられた。贈り主に直接お礼が言えないのは残念。非常に感謝している」と話した