宣言前でも「発熱者の入店禁止」可能に 蔓延防止措置決定

閣議に臨む(左から)茂木敏充外務相、菅義偉首相、麻生太郎副総理兼財務相=9日午前、首相官邸(春名中撮影)
閣議に臨む(左から)茂木敏充外務相、菅義偉首相、麻生太郎副総理兼財務相=9日午前、首相官邸(春名中撮影)

 政府は9日の閣議で、改正新型コロナウイルス特別措置法が13日に施行されるのを前に、特措法の関連政令を決定した。緊急事態宣言の前段階として新設した「蔓延防止等重点措置」の適用要件について「都道府県で感染拡大のおそれがあり、医療の提供に支障が生じるおそれがある」などと規定した。さらに同措置のもと、都道府県知事は飲食店などに対し、発熱者の入場禁止や施設の消毒などを要請・命令できるとした。

 政令では、ほかに要請・命令できる措置として、従業員への検査を勧める▽入場者の整理▽手指消毒設備の設置▽マスクなど感染防止措置の周知と、措置を講じない者の入場禁止-も列挙。本体の特措法で定められた営業時間の短縮とあわせ、応じない場合は過料の対象になる。

 西村康稔経済再生担当相は9日の記者会見で「恣意的な運用にならないよう、人権に配慮した運用にしていきたい」と強調した。

 また西村氏は、感染再拡大の兆候を早期に察知するため、東京や大阪の繁華街で無症状の人を対象に、幅広くPCR検査を行う方針を明らかにした。今年度予算の予備費から約81億円を充てる。西村氏は「複数の地点の合計で、少なくとも1日1万件以上は行えるよう、早く体制を作りたい」と述べ、民間検査機関の協力も得ながら実施を急ぐ考えを示した。

 また、政府は9日、新型コロナ対策分科会を開き、ワクチン接種の優先順位について、医療従事者や高齢者、持病のある人を優先する方針を正式決定した。

 一方、加藤勝信官房長官と自民党の森山裕国対委員長らは9日、都内で会談し、改正特措法の内容を反映させるため、コロナ対策の基本的対処方針を改定する方針を確認した。12日に専門家でつくる諮問委員会(尾身茂会長)と政府対策本部を開いて改定する。

 政府はこれにあわせ、緊急事態宣言の一部地域での先行解除も決める構えで、10都府県のうち愛知、岐阜、福岡が検討の対象になっている。解除後も蔓延防止等重点措置を初適用し、時短など必要な対策は継続する方向だ。

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