テスラ、過去最大級リコール 画面不具合で13.5万台
【シリコンバレー=白石武志】米テスラが米国で約13万5000台の電気自動車(EV)をリコールすると当局に届け出たことが2日、明らかになった。運転席のディスプレーに組み込まれた制御装置のメモリーが一定期間で寿命となり、後方カメラなどの機能に不具合が生じるため。同社にとっては過去最大級のリコールとなる。
対象となるのは2012~18年製の高級セダン「モデルS」と、16~18年製の高級SUV(多目的スポーツ車)「モデルX」の一部車両。リコールは3月30日に始める予定で、通知を受けた所有者は無償で制御装置を交換できる。
テスラの足元の販売台数の約9割を占める小型車「モデル3」と「モデルY」は今回のリコールの対象に含まない。米メディアは専門家の見方として、リコールには3億~5億ドル(310億~520億円)の費用がかかる恐れがあると報じている。
対象車両について調査を進めていた米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が1月にテスラに対し、リコールを実施するよう要請していた。同局の要請に強制力はなく、テスラは2月1日付で同局に送った書簡の中で今回のリコールについてはあくまで自主的な取り組みであると強調した。
テスラは寒冷地で一部のボルトが腐食し、パワーステアリングの故障につながる可能性があるとして、2018年に約12万3000台のモデルSをリコールしている。同社は20年12月期通期に最終損益が初めて黒字化するなど、財務体質は3年前に比べ大幅に改善している。今回のリコールの影響は限定的とみられ、2日の米国市場でテスラ株は前日の終値を上回って取引されている。