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コンビニ求人に350人が殺到? 人手不足に悩む職場でいま起きている異変

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デイサービス施設のレクリエーションで、脳トレの問題を解く高齢者を見守る東秀暢さん=本人提供
デイサービス施設のレクリエーションで、脳トレの問題を解く高齢者を見守る東秀暢さん=本人提供

 新型コロナウイルスの感染拡大が、労働市場に大きな変化を生んでいる。これまで人手不足で悩んでいたコンビニエンスストアや介護業界に、コロナで打撃を受けた飲食や旅行業界から、人々が押し寄せているというのだ。長年課題となってきた働き手との「ミスマッチ」は、コロナ禍によって動き出すのか。現状を取材した。【福富智/京都支局、岡大介/統合デジタル取材センター】

「飲食から介護へ」元漫才師の決断 コンビニに応募殺到も

 「やめるなら今だと決断した」。東京都練馬区で居酒屋を経営していた東秀暢さん(40)は昨年6月、店を知人に譲り、介護士に転身した。「334(さんさんしー)」のコンビ名で漫才師として活動していたが、2015年に引退し、漫才の師匠のすすめもあり居酒屋をオープンして4年。順調だった経営は新型コロナで一変した。「2、3月には驚くほど客が減り、ゼロに近い状況になった」。自分で看板も作り、ようやく開店時の借金を完済したばかりの思い入れのある店との別れはつらかったが、「もともと介護の仕事をやりたいという思いがあり、良い機会にしようと振り切った」と振り返る。初任者研修の講座を昨年7月から1カ月受けて資格を取得し、9月から東京都杉並区のデイサービス施設で介護士として働いている。

 仕事が深夜まで及んだ居酒屋時代と比べて、妻や子供と過ごす時間が増えた。高齢者らをケアする仕事は、相手の反応を表情から読み解いたりレクリエーションで楽しませたりする点で、「漫才や居酒屋の接客で培った経験も生きる」と前向きだ。新型コロナの感染対策に神経をすり減らす日々だが、「誰かがやらないといけない仕事」と言い聞かせて、施設に向かう。

 コロナの影響で利用控えが進み、介護業界の経営環境は厳しいが、介護への転身を考える労働者はむしろ増えている。東さんが介護の資格を取った「クリエ福祉アカデミー」(東京都調布市)の担当者は、「収入がなくなり積極的に就職を希望して通う受講者が増えた。初任者研修の講座は以前は定員割れだったが、今やキャンセル待ちだ」と説明する。

 介護や看護の人材紹介会社「トライト」が20年10月、10~60代の男女322人を対象に行ったインターネット調査では、介護業界への転職(検討中も含む)を決めた理由について、新型コロナの感染拡大の影響が「かなりある」との回答が48%で、「少しある」の26%と合わせると7割以上がコロナを理由にしていた。

 人手不足が一転、働き手が押し寄せている業界は他にもある。コンビニ大手ローソンが昨年5月、東京・JR錦糸町駅近くに新店舗をオープンしたところ…

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