温暖化「存亡に関わる脅威」 バイデン氏が大統領令 4月にサミット、パリ協定の目標策定へ

米ホワイトハウスで就任初日、大統領令への署名に備えるバイデン大統領=20日(AP=共同)
米ホワイトハウスで就任初日、大統領令への署名に備えるバイデン大統領=20日(AP=共同)

 【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は27日、全省庁に気候変動対策を政策の中心課題と位置付けて対処するよう指示する大統領令に署名した。暖化が「地球の存亡に関わる脅威だ」と指摘。4月22日に主要排出国による首脳会議(サミット)を開くと表明した。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」復帰に伴い、「もっとも野心的な」(政権高官)温室効果ガスの排出削減目標を新たに策定するという。

 バイデン氏はホワイトハウスで「気候危機への対処は待ったなしだ。今こそ行動のときだ」と述べた。再生可能エネルギーの導入拡大などを通じ「多くの雇用を生み出す」と述べ、政府主導の温暖化対策を経済の活性化に結び付ける方針を強調した。

 ケリー大統領特使(気候変動問題担当)も27日、記者会見し、「バイデン氏はパリ協定復帰だけでは十分でないと理解している」と述べた。会見に同席したホワイトハウスの国内気候政策局トップ、マッカーシー大統領補佐官(国家気候問題担当)は、4月22日のサミット前に、パリ協定で加盟国に求められる温室効果ガス排出削減の国別貢献目標(NDC)を示すことを明らかにした。

 マッカーシー氏は「(世界的に)もっとも野心的なNDCを策定しなければならない」と強調し、国際的な取り組みを米国が主導する考えを示した。

 バイデン氏は20日の就任初日にパリ協定への復帰を決定。協定から離脱したトランプ前政権からの政策転換を進めている。トランプ前政権は石油や天然ガスの採掘を容易にする環境規制の緩和を進め、化石燃料の産出を後押しした。

 バイデン氏が27日に署名した大統領令は、規制緩和を停止し、採掘のための新たな公用地の貸与を凍結する内容も含まれた。

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