2021.01.28

意見封殺、フェイク--何でもありの農水省・内閣府連合の改革潰し

「政官業」鉄のトライアングル復活か

企業の農地取得は頓挫へ

1月7日付の本欄でも取り上げた「企業の農地取得の全国展開」は、農水省と内閣府による「何でもあり」の連携プレーの前に頓挫する可能性が強まった。

by Gettyimages

国家戦略特別区域(特区)に指定されている兵庫県養父市で特例として認められている「一般企業による農地取得」について、他の地域でも認める「全国展開」するかどうかが焦点になっているが、1月15日付けで出された特区諮問会議の「決定」は、自民党農林水産族の意向を受けた農林水産省の主張に沿ったものになった。今後、法改正など国会での議論に場を移すが、実現は難しい状況だ。

1月15日の特区諮問会議は異例の展開だった。新型コロナウイルスの蔓延を理由に「持ち回り」で開催されたのだ。自民党の会議など平気で「密」になって開催しているにもかかわらずだ。「全国展開」を主張する八田達夫・大阪大学名誉教授ら諮問会議の民間人議員が、議論の場を設けるよう求めたが、事務局の内閣府が頑なで「持ち回り」を譲らなかったという。

おそらく年末に開いた諮問会議に懲りたからだろう。会議の場で河野太郎・行政改革担当相が「全国展開」を支持し、特区担当の坂本哲志・地方創生担当相と激突した。これに菅義偉首相が自ら割って入り「預かり」とした。「持ち回り」の会議では自由にモノが言えず、結局は事務局が用意した原案通りに決定した。「決定」にはこう書かれている。

「当該事業に関する特例制度のニーズと問題点の調査を特区区域以外においても来年度中に実施し、その結果に基づき全国への適用拡大について調整し、早期に必要な法案の提出を行う」

 

また、養父市での特例については、「期限を2年間延長することとし、そのための規定を盛り込んだ国家戦略特区法改正案の早期の国会への提出を行う」としている。

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