『呪術廻戦』と『鬼滅』、アニメを比べて見えた制作サイドの「決定的な違い」

「制作スタイル」がまるで異なる

対照的な2つのアニメ制作会社

昨年末、週刊少年ジャンプ誌上で『チェンソーマン』のアニメ化が発表された。人気漫画のアニメ化と並んで制作会社が株式会社MAPPA(以下、MAPPA)であるとの告知が話題になったのが印象に残った。

MAPPAは、同誌で連載している「ネクスト『鬼滅の刃』」との声も高い『呪術廻戦』のテレビアニメシリーズも担当している制作会社だ。twitterなどSNS上では「安心と信頼のMAPPA」との期待を寄せる声が多くみられた。

 

『鬼滅の刃』の制作会社であるユーフォーテーブル有限会社(以下、ufotable)を筆頭に、株式会社京都アニメーション、株式会社トリガーなど、近年こうしたアニメーションの制作会社への注目は高まり、コアなアニメファンだけでなく一般の視聴者にまで名前が広がりつつあるように感じる。

もちろん以前から制作会社に注目する視聴者は存在した。宮崎駿監督の作品を数多く制作する株式会社スタジオジブリや、「ガンダム」シリーズの株式会社サンライズなどが代表的な例だろう。

しかし前者は主に監督の作家性によって、後者は長期にわたり同シリーズを作り続けてきた実績によって信頼を勝ち取ってきたのに対し、昨今のufotableやMAPPAなどの人気ぶりは、制作を担当するプロダクション・スタジオそのものへの期待の色が強いように思う。

当然こうしたファンからの期待と信頼は、これまで評価の高い作品を送り出してきた制作会社としての両社の実績に基づいている。しかしufotableが社内の内製化路線を進め、制作作品を絞ることで質の向上を目指しているのに対して、MAPPAは外部の才能も積極的に起用して、数多くの作品を制作し続けているなど、その姿勢は対照的だ。

こうした両社の特徴は、どのように形作られていったのか。各社の背景やターニングポイントとなった作品を通じて考えていきたい。

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