【近ごろ都に流行るもの】コロナ禍のバレンタイン商戦  百貨店苦肉の策、1粒販売や「国産」発掘も
【近ごろ都に流行るもの】コロナ禍のバレンタイン商戦  百貨店苦肉の策、1粒販売や「国産」発掘も
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 2月14日にチョコレートを贈るわが国独特の習慣。この時期にしか買えない限定品や新作が売り場を賑わせるバレンタイン商戦が、コロナ禍のもとで幕を開けた。例年華やかな試食会を開いていた百貨店も今年は控えめ。各社力を入れているのがオンライン通販で、店頭試食自粛の代替案、1粒単位のお試し販売が完売間近など絶好調だ。海外有名ショコラティエの来日がかなわぬなか、逆に日本の生産者を発掘する動きもあり、苦肉の策の新機軸が打ち出されている。(重松明子)

 高島屋の東京都心店舗(日本橋店、新宿店)で、昨年までは1店舗あたり6万~8万人の来場があった「アムール・デュ・ショコラ」。例年、女性ブロガーらインフルエンサーを招いた試食会が豪華に開かれていたが、今年は日本橋店近くの本社ビルでひっそりと報道向けの内覧のみが行われた。

 感染対策の「ディスタンス」でガランとしてみえる会場。しかし、チョコレート自体は海外ブランドの新作など例年通りの華やかさ。それらを独り無言で試食させてもらった。甘くてビター、果実の酸味やスパイシーな辛みなど…。味も食感も多彩で食べ飽きない。

 27日からの店舗催事に先立ち、6日に始まった通販では、気になる味を1粒ずつ購入できる「お試しショコラ オンライン」(30ブランド、1粒216円~540円)が絶好調。13日時点で約2万個が売れてほぼ完売だ。通販全体も前年比3倍ペースの売れ行きという。箱にメッセージを書いてそのま郵送できる商品など、非接触時代を応援する「ニューノーマルショコラ」も多数そろえた。

 「コロナが長引く事態を想定し、昨春から準備を進めてきた」と、高島屋食料品部の古川泰照課長(45)。「近年は自分のために購入する女性が約6割。旅行できないお金を食に使いたいとの意識も目立つ。実店舗での気恥ずかしさもないので、男性もぜひ通販利用を」と期待している。

 松屋銀座もバレンタイン商戦初のオンライン販売を4日にスタート(店舗は2月3日~)。中でも、海外勢に埋もれがちな日本の「ご当地ショコラ」が目を引く。

 そのひとつ、5年前に東京から移住し北限のカカオ栽培に挑戦している沖縄県大宜味村「オキナワカカオ」の川合径さん(43)は、百貨店催事に初進出。地元特産の新ショウガや月桃(げっとう)を使ったショコラを出品している。「カカオを通じて、持続可能な地域の可能性を広げたい。コロナの影響は沖縄全体が受けているが、新たな販路を作ることで、売り上げも上向いてきた」と意気込んでいる。

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