日本の医療崩壊の本当の原因――なぜ、医師は仲間を助けないのか

全体では医師は余っているはず

現代社会ではパンデミックが繰り返される運命だ

中国・武漢発の新型肺炎が世界的に猛威をふるっている。今のところ、スペイン風邪(これにも中国起源説が根強い)ほどの惨劇になっていないのは不幸中の幸いだ。

一般的な衛生環境や栄養需状態が100年前とは様変わりしていることも、感染の拡大阻止、被害の縮小に大いに役立っているのは間違いがないであろう。

逆に、1世紀前と比べて航空機を始めとした交通網の発達が著しく、感染拡大のスピードが早まり、範囲も広がったと考えられる。

ライト兄弟が世界初の有人動力飛行に成功したのが1903年。スペイン風邪が流行した1918~1920年当時、飛行機はもっぱら軍事用で民間人が利用することは稀であった。

スペイン風邪 1918年 by US National Museum of Health and Medicine

現在、新型肺炎流行によって旅客機の発着は厳しく制限されているが、2019年の世界第1位、米国ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港の旅客数は1億人を超えている。世界第5位の東京国際空港は約8600万人である。

1999年以降米国で流行しているウエストナイル熱、2002~03年のSARS大流行、2014年のエボラ出血熱流行でも、航空機による移動と感染拡大の関連が指摘された。しかし、いくら指摘されても2019年の数字が示すように航空機による移動を止めることができなかった……

現在広範囲にストップしている航空機の発着もいずれは再開されるであろうが、そうなれば今回の新型肺炎はもちろんそれ以外の感染症の世界的感染リスクも再び高まる。ウイルスや細菌も生き残りのため常に進化(変異)するから、感染症と人類の戦いは永遠に続くはずだ。

 

だとすれば、我々人類は感染症と共存していくしかないのだが、とても気になるのが、その共存対策の根幹となるはずの日本の医療システムに山積する問題である。

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