人々が新たな一歩を踏み出すための希望の光に 安倍晴明演じる大沢たかおさん

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舞台「INSPIRE 陰陽師」に主演する俳優の大沢たかおさん=佐々木順一撮影
舞台「INSPIRE 陰陽師」に主演する俳優の大沢たかおさん=佐々木順一撮影

 神秘的な術を操り、平安時代の人々を災いから救ったとして絶大な人気を誇る陰陽師、安倍晴明。混迷する現代に晴明が舞い降り、世界を希望へと導く舞台「INSPIRE 陰陽師」が6日まで、東京・日生劇場で上演される。主演は、これまでに何度も晴明役の打診を受けながら実現していなかったという大沢たかお。満を持しての挑戦に「晴明をやるうえでいろんなタイミングがぴたりと重なった」と語る。

「大事なこと」を見つめ直した

 晴明が生きた時代は、神やもののけ、鬼などが存在すると信じられていた。時代の流れとともにそうした目に見えないものに対する意識は薄れてきたが近年、特に日本人は目に見える価値だけを追い求める傾向が強まっているのを感じるという。「極端に物質主義というか、日本が昔とは正反対のところに来てしまったのではないか。そう考えるうちに、陰陽師がどんな感覚で見えないものに触れていたのかに興味を持つようになりました」

 一方で、目に見えるものに価値を見いだす現代人が、期待や不安など形のないものに振り回されていることも気になっていたという。そんな時にコロナ禍が世界を覆った。「ウイルスももちろん怖いけど、それによる混乱や世間のムードに多くの人が押し流されていると感じる。言い換えれば、形のないものは自分の感覚次第でどうにでも転ぶのだから、次の選択をどうするかは僕ら一人一人の責任ではないでしょうか」。見えない何かと真正面から向き合った晴明が現代に現れ、希望の光を示せば2021年に人々が新たな一歩を踏み出すきっかけになるのではと期待する。

 これまでの常識が崩れ、価値観の見直しを迫られた昨年、大沢にとっても自分を見つめ直す時間になった。「家でじっと考えたり読書をしたり、時間がなくてできなかったことをしていると大事だと思いこんでいたことが実はそれほど大事ではなかったと気づくこともありました」。…

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