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「僕たちは皆、女性らしさと男性らしさを併せ持っている。どちらも受け入れる必要がある」──ジェイソン・モモアがピンクを着る理由。【救うことばvol.3】

日常生活のあらゆる場面にジェンダーバイアスは潜んでいるが、「ピンクは可愛らしい女の子の色」という思い込みもその一つだ。だが、そんな偏見をまったく意に介さず、ジェイソン・モモアは「ピンクが好き」と公言する。その理由は至極シンプルなものだ。

Apple TV+で配信中のドラマ「See 〜暗闇の世界〜」のイベントにて。Photo: Rodin Eckenroth/FilmMagic

TVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のカール・ドロゴ役で一躍ブレイクし、DCコミックスのスーパーヒーロー映画『アクアマン』(18)でタイトルロールを演じたジェイソン・モモアは、ティモシー・シャラメ主演の『DUNE/デューン 砂の惑星』(21)ほか、新作が続々待機中だ。鍛え上げられた肉体と役柄からマスキュリンな印象が強いが、レッドカーペットにはたびたびピンクのスーツ姿で登場している。彼がピンクを愛する理由、そして自身のフェミニニティと向き合う必要性について、US版『InStyle』のインタビューで語った。

「ピンクが好きなのは、単純に美しい色だから。それで自分の男性らしさが揺らぐことはないし、誰がどう思おうと、まったく気にしていない」

“Pink is just a beautiful color. And I’m pretty secure in my masculinity. I don’t really give a shit what anyone thinks.”

2019年のアカデミー賞には、妻のリサ・ボネットとともにピンクの装いで来場。Photo: Steve Granitz/WireImage

インタビューでは、幼い頃に人種の違いやファッションの好みが理由でいじめられた過去も明かした。また最近始めたセラピーでは、「男性の脆さ」について探求しているという。自身がシングルマザーの母親に育てられたため、今年12歳になる息子への接し方についても当初は手探りだったようだ。「頭ごなしに言うことはしたくないし、心でつながりたい。息子には脆く、そしてオープンであってほしい」と語っている。

「僕たちはみんな、女性らしさと男性らしさを併せ持っている。どちらも受け入れる必要があるんだ」

“We all have the feminine and the male side in us, and we need to embrace both.”

バイクやサーフィン、トマホーク(斧投げ)などをアクティブに楽しむ傍ら、アートや音楽を愛し、環境活動家としての顔もある。「男性らしさ」の固定概念にとらわれず、好きな色を自由にまとって表現するジェイソンが見せる多面性は、ステレオタイプなジェンダーの捉え方に一石を投じるはずだ。

Text: Mirei Hirose