フィギュアスケートの全日本選手権最終日は27日、長野市ビッグハットで行われ、坂本花織は2位だった。
昨年の悔しさをこの全日本で晴らした。6位に沈んだ前回大会から1年。同じ「マトリックス」を大きなミスなく演じ切り、150・31点の2位。「去年のリベンジができたので、それがうれしいです」とほっとした表情を見せた。
耐えた演技だった。3連続ジャンプの2本目の3回転トーループがこらえる形になったが、全てのジャンプを着氷させた。スピン、ステップでは持ち前の迫力を披露。最後のクライマックスでは、足を振り上げ滑走し、審判員がのけぞる場面も。演技後は右手で作った拳を振り下げ、喜びを表現した。
2連覇が懸かった昨年大会は、フリーで大崩れし、涙を流した。苦しいシーズンから一転、今年は「気持ちの持ち方が違う」のだという。新型コロナウイルス禍でリンクに乗れない期間があったが、「ここでどれだけ自分が頭一つ抜け出せるか」と前向きさを失わなかった。受け身姿勢だった練習に、いつのまにか意欲的に取り組むようになった。
4回転を成功させ、優勝した紀平の点数を取材エリアで聞いた坂本は、「えぐい。すごい」と驚いた。自身の4回転への挑戦を問われると、「4回転だけを考えると、去年みたいに気持ちだけが先走る。現状を保ちつつ、プラスアルファで4回転の練習もできたら」と意欲をにじませた。(久保まりな)