巨大ITの金融規制、なぜ難問中の難問か 山岡浩巳氏
パクスなき世界 フューチャー取締役
巨大IT(情報技術)企業が金融業にも参入し、従来の規制で対応が難しくなっている。技術革新がもたらした「断層」にどう対応していくべきか。日銀の元決済機構局長で、バーゼル銀行監督委員会委員などを務めたフューチャーの山岡浩巳取締役に聞いた。
――決済などでIT企業の存在感が高まっています。
「GAFAなど巨大IT企業は決済サービスを個人から手数料を取らずに提供できる。集めたデータを他のビジネスに使えるからだ。従来の銀行には規制があり同じことができない。金融規制の対象であることが競争力の差になっている」
「2008年のリーマン・ショックのときに金融当局は大手金融機関が制御不能になりつつあると痛感した。それで規制が強まった。10年代半ばに規制強化の風向きが変わった
新型コロナウイルスの危機は世界の矛盾をあぶり出し、変化を加速した。古代ローマの平和と秩序の女神「パクス」は消え、価値観の再構築が問われている。「パクスなき世界」では、どんな明日をつくるかを考えていく。